上 下
92 / 604

第92話【アイアンシップの戦利品】

しおりを挟む
もう日が沈み、ソドムタウンに夜が訪れていた。

「ただいま~」

俺はやっとのことでスカル姉さんの下宿まで帰ってこれた。

「おお、アスラン。無事に帰ってこれ、ぶっ!!」

あっ、スカル姉さんめ、一目で笑ったな。

まあ、勿論俺が全裸であるからだ。

「な、なんでお前は全裸なんだ!?」

「なんでって、ビキニアーマーより全裸のほうがましかなって思ってね」

「馬鹿か、お前は! いいから中に入って服を着て来い!」

「もー、怒るなよ」

「怒るわ、馬鹿餓鬼が!!」

俺はスカル姉さんに急かされて部屋に上がる。

服を着て三階に上がると温かい食事が準備されていた。

有難い──。

俺は楽しい会話を弾ませながらスカル姉さんと食事を交わした。

食事が終わると俺は下の階に戻った。

壁に掛けられたウエイトレスの制服を眺めながら考える。

バトルアックスなどの貴重品は異次元宝物庫に入れてあって無事だが、アイアンシップから連れて来た牛などはどうなったのだろうか?

もう、全部略奪されてるよね。

この世界は、そういうところだしね。

まあ、仕方ないか、諦めよう。

念のため明日にでも見に行こうかな。

もしかしたら牛たちが、ゲート前で寂しく俺の帰りを待っているかも知れないし。

あ、そうだ。

仕事の終わりを冒険者ギルドに報告もしてないや。

まあ、それも明日だな。

明日は明日で忙しそうだわ。

とりあえず寝る前に確認でもしておくか。

今回の冒険でレベルが二つ上がった。

オークたちと戦ったのと、ランドワームと戦ってだ。

ランドワームと戦っている最中にレベル14にアップしています。

覚えた新スキルは五つである。

【パッシブ・ロングボウマスタリー。大型弓系武器の戦闘技術が向上】

【パッシブ・ショートボウマスタリー。小型弓系武器の戦闘技術が向上】

うむ、これでショートボウとロングボウのマスタリーはコンプリートしたわい。

やっだね!

【ハイディングシャドー。物陰に隠れたさい見付かり難くなる】

うし、隠密行動に更なる磨きが掛かったぜ。

これで不意打ち闇討ちし放題だな。

んー、なんか違うぞ。

これでは正々堂々とした派手なスタイルじゃあないじゃないか……。

地味で卑劣じゃんか……。

まあ、いいか。

負けるよりましだよね。

次は──。

【乗馬スキル。馬の操作ができるようになる】

おお、馬車の運転技術から覚えたぞ。

俺はてっきり戦車操縦から覚えるかと思ったのにな。

これはこれで正解である。

そして最後のスキルがこれだ。

【ヘルムクラッシャー。すべての武器で、兜割り限定の縦振り強打を放つ。それは攻撃力が1.5倍された一撃である。一日に撃てる回数は、本人レベルの10おきに一回追加される】

よーし!

ナイス戦闘用スキルだぜ!

これで戦いかたのバリエーションがアップしたってもんだ!

ウキウキだぜ。

さてさて、今回は戦利品も幾つかゲットしている。

マジックアイテム以外は牛と一緒に失ったけれど、貴重品は異次元宝物庫に収めてあるから心配ない。

じゃあ今回は魔法の羊皮紙スクロールから見てみるか。

スクロールは全部で三枚だ。

一枚目は──。

【魔法キャッチファイアー。指先に小さな炎をつける。一日にレベルの2おきに一回ずつ使える】

んー、釜戸に火をつけるための魔法かな?

まあ、無いよりましかな。

さて、次は──。

【魔法オーバーラン。一日に一回一分間だけ、かなりのスピードで走れるが、なかなか止まれない】

うーわ、最近逃げることが多い俺に取っては最後の秘策的な魔法だな。

これは絶対に役に立つだろうさ。

さてさて、最後の一枚は──。

【魔法ライトニングボルト。攻撃力は中。雷属性。射程距離10メートルの飛翔体魔法。回数は本人レベルが8おきに一回ずつ撃てる。発動条件は魔法名を口に出す】

おお、攻撃魔法だな!

当たりですよ!

しかも攻撃力が中ですわ。

マジックアローもファイアーシャードも攻撃力が小だったからナイスですわ。

でも、レベル8おきに一回か。

今の俺だと一回しか撃てないな。

これは使いどころを見極めないとならんぞ。

さてさて、ここからが本番ですよ!

続きましてはマジックアイテムだ。

今回ゲットしているマジックアイテムは、全部で四つですよ。

まず最初の一つ目は、これだ!

【木馬の置物+1。一日に一回、五時間の間、木馬が輝く】

ライトの電化アイテムですね。

はーい、売り決定。

ではでは、続きまして、これだ!

【魔法の水筒+1。水を入れて暫くたつとワインに変わる】

んんー、のんべーには良いアイテムだね。

はい、売り決定!

続いては──。

【パワーブレスレット+1。所有者の腕力向上】

うし、当たりだね!

外観は銀のシンプルな腕輪ですな。

続きましては~~。

【パワーメイス+2。所有者の腕力小向上。命中率向上】

おお、プラス2ですわ!

しかも能力はなかなか当たりですね。

次の冒険はこれを使って暴れて見るかな。

うむうむ、今回のマジックアイテムはなかなかでしたね。

要らない物は明日にでも魔法使いギルドに売りに行こうかな。

明日は町の中なのに、忙しくなりそうだぜ。

牛を見に行って、魔法使いギルドに要らないマジックアイテムを売って、冒険者ギルドに仕事完了の報告かな。

よし、さっさと寝ようかな。

それにしても、明日は町に出るのが怖いな……。

俺の全裸噂とビキニアーマー噂のどっちが大きいだろうかな……。

兎に角、現実が恐ろしいよ……。

ぐすん……。

寝よ……。

お休みなさい───。


【つづく】
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

転生したら神だった。どうすんの?

埼玉ポテチ
ファンタジー
転生した先は何と神様、しかも他の神にお前は神じゃ無いと天界から追放されてしまった。僕はこれからどうすれば良いの? 人間界に落とされた神が天界に戻るのかはたまた、地上でスローライフを送るのか?ちょっと変わった異世界ファンタジーです。

ハズレスキル【分解】が超絶当たりだった件~仲間たちから捨てられたけど、拾ったゴミスキルを優良スキルに作り変えて何でも解決する~

名無し
ファンタジー
お前の代わりなんざいくらでもいる。パーティーリーダーからそう宣告され、あっさり捨てられた主人公フォード。彼のスキル【分解】は、所有物を瞬時にバラバラにして持ち運びやすくする程度の効果だと思われていたが、なんとスキルにも適用されるもので、【分解】したスキルなら幾らでも所有できるというチートスキルであった。捨てられているゴミスキルを【分解】することで有用なスキルに作り変えていくうち、彼はなんでも解決屋を開くことを思いつき、底辺冒険者から成り上がっていく。

幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話

妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』 『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』 『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』  大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。

幼馴染み達が寝取られたが,別にどうでもいい。

みっちゃん
ファンタジー
私達は勇者様と結婚するわ! そう言われたのが1年後に再会した幼馴染みと義姉と義妹だった。 「.....そうか,じゃあ婚約破棄は俺から両親達にいってくるよ。」 そう言って俺は彼女達と別れた。 しかし彼女達は知らない自分達が魅了にかかっていることを、主人公がそれに気づいていることも,そして,最初っから主人公は自分達をあまり好いていないことも。

転生したら赤ん坊だった 奴隷だったお母さんと何とか幸せになっていきます

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
転生したら奴隷の赤ん坊だった お母さんと離れ離れになりそうだったけど、何とか強くなって帰ってくることができました。 全力でお母さんと幸せを手に入れます ーーー カムイイムカです 今製作中の話ではないのですが前に作った話を投稿いたします 少しいいことがありましたので投稿したくなってしまいました^^ 最後まで行かないシリーズですのでご了承ください 23話でおしまいになります

処理中です...