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第67話【ドラゴン】
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レッドドラゴンの登場により今までの冒険の中で、現在が最大のピンチだろう。
てか、今までゴブリンとかコボルトとかとしか戦っていなかったのにさ、急にモンスターランクが上がりすぎじゃあねえ!?
最弱モンスターから最高位モンスターに飛びすぎじゃあないかい!?
兎に角さ、急展開過ぎね!?
これは大苦戦しそうだわ……。
最悪はミッション失敗を自分から告げれば良い。諦めれば良いのだ。
相手がドラゴンならギルガメッシュさんも理解してくれるだろうさ。
だが、何もしない段階で諦めて、白旗を振るのは嫌だな。
やれることは全力でやってから諦めたい。
死なない程度にだ……。
俺は一旦ソドムタウンに帰った。
最初っから作戦を立て直す。
これは本腰を入れて立ち向かわなければならん案件だろう。
だとすれば、まずは情報収集からだ。
情報は大事だ。
情報がすべてを左右しかねない。
この世界においてのドラゴンの存在と、その強さを知りたいのだ。
モンスターの中でも最高位なのは、俺が知ってるドラゴンと同じだろうさ。
知識が高いか低いかでも対策は大きく異なる。
それもこれもまずは情報収集からだな。
手っ取り早いところで、元冒険者のスカル姉さんに訊くのが一番早くて賢明だろう。
俺はソドムタウンに到着すると、直ぐにスカル姉さんの診療所に戻った。
もう空は夕暮れである。
スカル姉さんは診療所の机で居眠りをしていた。
しめしめと俺はこっそりと近付く。
そして、「わっ!」っと大きな声を出して驚かせた。
スカル姉さんが「わひゃ!」っと驚いて椅子から滑り落ちる。
ま~ぬけ~!
大成功~。てってれえー♪
俺がゲラゲラと笑っているとスカル姉さんが全力で俺を殴り付けた。
グーで顔面を殴られる。
「あべしっ!」
鼻が曲がったぞ!
鼻血がブーっと飛び散ったよ!!
「クソガキ、何してくれるんだ!」
「ご、ごめんなさい。あまりにもスカル姉さんが無防備に寝ていたから脅かしたくなってさ……」
「女の子の私が無防備に寝ていたのなら、キスの一つぐらいしろや!」
「なんで?」
「素に戻って首を傾げるなよ、アスラン!」
それから俺はヒーラー魔法のセルフヒールで傷を癒した。
それを見ていたスカル姉さんが驚きながら言う。
「おまえ、ヒール系の魔法が使えるのか?」
「ああ、まだこれだけだけどな」
「じゃあ、ヒーラー志望の冒険者なんだな。昔の私と一緒だな。ならばこれから私のことを先輩と呼べよ」
「俺は今のところ9種類の魔法が使えるぞ」
「それは凄いな──」
あー、スカル姉さんは信じていない様子だった。
俺の話を受け流したスカル姉さんが、手を振って出入り口に進むと、診療所の看板をclosedに裏返す。
どうやら診療所の営業も終わりらしい。
「じゃあ、夕飯にでもするか、アスラン。これから支度をするわ」
「手伝おうか?」
「邪魔だからいい」
「そうですか……」
しばらくして夕飯の支度が終わる。
俺はスカル姉さんとテーブルに向かい合い夕飯にした。
俺は不味い食事を食べながらスカル姉さんにドラゴンについて訊いてみる。
ちなみにスカル姉さんの作った食事が飛び抜けて不味いわけではない。
この世界には調味料が一般でも塩ぐらいしかない。
砂糖も胡椒も高級品なのだ。
ほとんど一般人の口には届かない代物である。
だから誰が飯を作ってもほとんど不味い。
それはさておき、スカル姉さんがドラゴンの話をしてくれる。
「お前はドラゴンを見たことがないのか?」
「遠目に見たことは有るけど、詳しく知らないから訊いているんだよ」
嘘ではない。遠目には見た。
「ドラゴンの何が知りたい?」
「元冒険者としてスカル姉さんが知っているすべてが知りたい」
「私のすべてが知りたいのか。おまえ、エロイな。ぽっ……」
「何が、ぽっ、だよ。ドラゴンのすべてだって言っているだろ!」
「私のすべてに興味は無いのか、おまえは!?」
「ねぇーーよ! そんなの興味の欠片もねぇーーよ!!」
「なんだと、むきーーーー!!!」
「やるか、このーーーー!!!」
しばらくして、二人が落ち着く。
「で、なんの話だったっけ?」
「ドラゴンの話が聞きたいんだけど?」
「ああ、そうだったな──」
こうして俺はスカル姉さんが知っているドラゴンの情報をすべて教えて貰えた。
やはりドラゴンはモンスターの生態系で頂点に君臨している存在らしい。
しかし、その強さも生態も様々だそうな。
それに個体数も少ない。
まあ、ウジャウジャ居られたら困るわな。
そして、成長には段階が有るらしい。
まず、ドラゴンは長生きしているドラゴンほど強くて賢く成るらしいのだ。
その寿命は、ほぼ無限だとか。
老衰して死ぬドラゴンの話は聞いたことが無いらしい。
そして、産まれたてのドラゴンは動物並みの知能しかなく、地龍と呼ばれる。
この地龍はまだ空すら飛べずに翼すら生えていない。
だから主に洞窟やダンジョンに巣くっているとか。
続いて100年ぐらい成長すると、ドラゴンに翼が生えて天龍と成るらしい。
翼が生えたことから空を飛び交い行動範囲もかなり広がり人間の脅威にも成ることがしばしばで始める。
時には害敵として人間たちに狩られることもあるとか。
ただし、人間サイドがドラゴンを狩ると言っても並みの話ではない。
人間側の損害も相当量になるとのことだ。
まあ、当然だろう。
そして、更に成長したドラゴンは、神龍、聖龍、魔龍などと特殊な名前で呼ばれるように成る。
このクラスに成ると知能も高く人語も喋れて魔法も使えるように成るそうだ。
こうなると、もう人間の力でどうにか成るレベルではないそうな。
彼らの怒りは神の怒りと同様で、怒らせたら最後、町や国が滅ぶらしい。
しかもドラゴンは自分たちが最強だと誇り、人間を下等生物だと見下す。
だからドラゴンと人間社会の間には、敵対関係に成らなくても友好関係にも発展することが少ないらしい。
ドラゴンとは、中立で自由なのだ。
はい、ここまで聞いて、あの洋館に居たレッドドラゴンが神龍のクラスだと分かったよね。
だって魔法で小さくなったり、扉の開け閉めもちゃんとやってたもんね。
間違いなく頭もいいはずだ。
賢い子だよ。
うん、だから討伐は有り得ませんな。
むーりーでーす。
戦うだけ自殺行為だわ。
討伐案は無しってことで。
だとするなら、話し合いしかない。
無理かも知れないが、洋館から立ち退いて貰えるように交渉するしかない。
こうなると、俺の交渉スキルが問われることになる。
なーるーがー!
俺にそんなスキルは無い!
無いのだよ!
ゲームシステム的にもリアル的にも持ってないわ!
今までの交渉は、何となく終えているけど成功しているのか良く分からない。
成り行きでどうにかこうにか状況を乗り越えているだけだ。
今回の相手は神龍レベルだよ。
怒らせたらさ、町とか国とかが滅んじゃうレベルだよ。
失敗したら、ソドムタウンが火の海だわ。
これは触れぬ神に祟り無しかな?
でもさ、そこに山があれば登りたくなるのが山男の性なら、オッパイがあれば揉みたくなるのが男の子だよぉぉおおおがあがあがぉおが!!!
やーべぇ!!
詰まらないネタでボケようとして、呪いの苦痛に踏み込んでしまったぜ!!
兎に角、俺が言いたかったのは、そこにドラゴンが居るのに挑まない冒険者がいるのだろうか、と言いたかったのだ。
まあ、慎重に考えてドラゴンに戦いを挑まなくても、コンタクトを試みないのは勿体無いと言うことだ。
これは依頼がどうあれドラゴンに絡まないわけにはいかんだろ。
ビッグイベントだよ!
参加しないは損だろう!
もう、完全に振りだわ!
よし、決めた!!
明日に成ったらレッドドラゴンに会いに行こう。
出来るだけ友好的にな。
でも、フル装備でだ。
何が起きてもいいように……。
【つづく】
てか、今までゴブリンとかコボルトとかとしか戦っていなかったのにさ、急にモンスターランクが上がりすぎじゃあねえ!?
最弱モンスターから最高位モンスターに飛びすぎじゃあないかい!?
兎に角さ、急展開過ぎね!?
これは大苦戦しそうだわ……。
最悪はミッション失敗を自分から告げれば良い。諦めれば良いのだ。
相手がドラゴンならギルガメッシュさんも理解してくれるだろうさ。
だが、何もしない段階で諦めて、白旗を振るのは嫌だな。
やれることは全力でやってから諦めたい。
死なない程度にだ……。
俺は一旦ソドムタウンに帰った。
最初っから作戦を立て直す。
これは本腰を入れて立ち向かわなければならん案件だろう。
だとすれば、まずは情報収集からだ。
情報は大事だ。
情報がすべてを左右しかねない。
この世界においてのドラゴンの存在と、その強さを知りたいのだ。
モンスターの中でも最高位なのは、俺が知ってるドラゴンと同じだろうさ。
知識が高いか低いかでも対策は大きく異なる。
それもこれもまずは情報収集からだな。
手っ取り早いところで、元冒険者のスカル姉さんに訊くのが一番早くて賢明だろう。
俺はソドムタウンに到着すると、直ぐにスカル姉さんの診療所に戻った。
もう空は夕暮れである。
スカル姉さんは診療所の机で居眠りをしていた。
しめしめと俺はこっそりと近付く。
そして、「わっ!」っと大きな声を出して驚かせた。
スカル姉さんが「わひゃ!」っと驚いて椅子から滑り落ちる。
ま~ぬけ~!
大成功~。てってれえー♪
俺がゲラゲラと笑っているとスカル姉さんが全力で俺を殴り付けた。
グーで顔面を殴られる。
「あべしっ!」
鼻が曲がったぞ!
鼻血がブーっと飛び散ったよ!!
「クソガキ、何してくれるんだ!」
「ご、ごめんなさい。あまりにもスカル姉さんが無防備に寝ていたから脅かしたくなってさ……」
「女の子の私が無防備に寝ていたのなら、キスの一つぐらいしろや!」
「なんで?」
「素に戻って首を傾げるなよ、アスラン!」
それから俺はヒーラー魔法のセルフヒールで傷を癒した。
それを見ていたスカル姉さんが驚きながら言う。
「おまえ、ヒール系の魔法が使えるのか?」
「ああ、まだこれだけだけどな」
「じゃあ、ヒーラー志望の冒険者なんだな。昔の私と一緒だな。ならばこれから私のことを先輩と呼べよ」
「俺は今のところ9種類の魔法が使えるぞ」
「それは凄いな──」
あー、スカル姉さんは信じていない様子だった。
俺の話を受け流したスカル姉さんが、手を振って出入り口に進むと、診療所の看板をclosedに裏返す。
どうやら診療所の営業も終わりらしい。
「じゃあ、夕飯にでもするか、アスラン。これから支度をするわ」
「手伝おうか?」
「邪魔だからいい」
「そうですか……」
しばらくして夕飯の支度が終わる。
俺はスカル姉さんとテーブルに向かい合い夕飯にした。
俺は不味い食事を食べながらスカル姉さんにドラゴンについて訊いてみる。
ちなみにスカル姉さんの作った食事が飛び抜けて不味いわけではない。
この世界には調味料が一般でも塩ぐらいしかない。
砂糖も胡椒も高級品なのだ。
ほとんど一般人の口には届かない代物である。
だから誰が飯を作ってもほとんど不味い。
それはさておき、スカル姉さんがドラゴンの話をしてくれる。
「お前はドラゴンを見たことがないのか?」
「遠目に見たことは有るけど、詳しく知らないから訊いているんだよ」
嘘ではない。遠目には見た。
「ドラゴンの何が知りたい?」
「元冒険者としてスカル姉さんが知っているすべてが知りたい」
「私のすべてが知りたいのか。おまえ、エロイな。ぽっ……」
「何が、ぽっ、だよ。ドラゴンのすべてだって言っているだろ!」
「私のすべてに興味は無いのか、おまえは!?」
「ねぇーーよ! そんなの興味の欠片もねぇーーよ!!」
「なんだと、むきーーーー!!!」
「やるか、このーーーー!!!」
しばらくして、二人が落ち着く。
「で、なんの話だったっけ?」
「ドラゴンの話が聞きたいんだけど?」
「ああ、そうだったな──」
こうして俺はスカル姉さんが知っているドラゴンの情報をすべて教えて貰えた。
やはりドラゴンはモンスターの生態系で頂点に君臨している存在らしい。
しかし、その強さも生態も様々だそうな。
それに個体数も少ない。
まあ、ウジャウジャ居られたら困るわな。
そして、成長には段階が有るらしい。
まず、ドラゴンは長生きしているドラゴンほど強くて賢く成るらしいのだ。
その寿命は、ほぼ無限だとか。
老衰して死ぬドラゴンの話は聞いたことが無いらしい。
そして、産まれたてのドラゴンは動物並みの知能しかなく、地龍と呼ばれる。
この地龍はまだ空すら飛べずに翼すら生えていない。
だから主に洞窟やダンジョンに巣くっているとか。
続いて100年ぐらい成長すると、ドラゴンに翼が生えて天龍と成るらしい。
翼が生えたことから空を飛び交い行動範囲もかなり広がり人間の脅威にも成ることがしばしばで始める。
時には害敵として人間たちに狩られることもあるとか。
ただし、人間サイドがドラゴンを狩ると言っても並みの話ではない。
人間側の損害も相当量になるとのことだ。
まあ、当然だろう。
そして、更に成長したドラゴンは、神龍、聖龍、魔龍などと特殊な名前で呼ばれるように成る。
このクラスに成ると知能も高く人語も喋れて魔法も使えるように成るそうだ。
こうなると、もう人間の力でどうにか成るレベルではないそうな。
彼らの怒りは神の怒りと同様で、怒らせたら最後、町や国が滅ぶらしい。
しかもドラゴンは自分たちが最強だと誇り、人間を下等生物だと見下す。
だからドラゴンと人間社会の間には、敵対関係に成らなくても友好関係にも発展することが少ないらしい。
ドラゴンとは、中立で自由なのだ。
はい、ここまで聞いて、あの洋館に居たレッドドラゴンが神龍のクラスだと分かったよね。
だって魔法で小さくなったり、扉の開け閉めもちゃんとやってたもんね。
間違いなく頭もいいはずだ。
賢い子だよ。
うん、だから討伐は有り得ませんな。
むーりーでーす。
戦うだけ自殺行為だわ。
討伐案は無しってことで。
だとするなら、話し合いしかない。
無理かも知れないが、洋館から立ち退いて貰えるように交渉するしかない。
こうなると、俺の交渉スキルが問われることになる。
なーるーがー!
俺にそんなスキルは無い!
無いのだよ!
ゲームシステム的にもリアル的にも持ってないわ!
今までの交渉は、何となく終えているけど成功しているのか良く分からない。
成り行きでどうにかこうにか状況を乗り越えているだけだ。
今回の相手は神龍レベルだよ。
怒らせたらさ、町とか国とかが滅んじゃうレベルだよ。
失敗したら、ソドムタウンが火の海だわ。
これは触れぬ神に祟り無しかな?
でもさ、そこに山があれば登りたくなるのが山男の性なら、オッパイがあれば揉みたくなるのが男の子だよぉぉおおおがあがあがぉおが!!!
やーべぇ!!
詰まらないネタでボケようとして、呪いの苦痛に踏み込んでしまったぜ!!
兎に角、俺が言いたかったのは、そこにドラゴンが居るのに挑まない冒険者がいるのだろうか、と言いたかったのだ。
まあ、慎重に考えてドラゴンに戦いを挑まなくても、コンタクトを試みないのは勿体無いと言うことだ。
これは依頼がどうあれドラゴンに絡まないわけにはいかんだろ。
ビッグイベントだよ!
参加しないは損だろう!
もう、完全に振りだわ!
よし、決めた!!
明日に成ったらレッドドラゴンに会いに行こう。
出来るだけ友好的にな。
でも、フル装備でだ。
何が起きてもいいように……。
【つづく】
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