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第17話【勝利の戦利品】

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村での戦闘が終わった。

数にして十三匹のコボルトを、全裸の俺一人で倒した。

村人たちは逃げ惑うだけで、誰一人として戦っていなかった。

まあ、俺のレベルも5にアップしたし、己の強さがコボルト相手なら無双できるレベルだと分かったから良しとする。

しかし、残り半数ぐらいのコボルトには逃げられた。

俺の強さに恐れをなして逃げて行ったのだ。

残りのコボルトたちに逃げられたのは、数が多すぎて、俺一人では対処しきれなかったからだ。

蜘蛛の子を散らすように四方八方に逃げられれば追いきれない。

できれば殲滅したかったのだが、仕方なかった。

殲滅は、またの機会だ。

村の安全を考えればコボルトの残党は野放しにして置けない。

必ず殲滅しなければ、また村を襲撃して来る可能性が高いだろう。

俺は倒したコボルトの装備品を奪って集めた。

そこから選別をする。

魔力感知でマジックアイテムを探して見れば、+1のショートソードが一本と、クリスタルの破片+1に、魔法のバンダナ+ 1が見付かった。

それと魔法のスクロールを一枚だけ持っていた。

お金は合計39Gゲットする。

コボルトから服を剥ぎ取るのは諦めた。

すべて血塗れで気持ち悪そうだったからだ。

剣で戦っていたから鮮血が飛び散り派手に汚れたのだろう。

とても着れる状態じゃあない。

服は諦めて、もうしばらく全裸スタイルを貫く。

この世界に来てから全裸が度々続いているから、大分慣れて来ていた。

とりあえず、一段落付いたので、その辺の岩に座ってからマジックアイテムの鑑定を始める。

俺は御菓子のおまけ箱を開けるような気分で鑑定作業に取り組んだ。

そして鑑定結果が直ぐに出る。

【ショートソード+1。攻撃速度の小向上】

【クリスタルの破片+1。病気抵抗力の向上】

【魔法のバンダナ+1。歌唱力の向上】

うむ──。

魔法のバンダナは要らない能力だな。

カラオケでも行かないと、歌なんか歌わねえしさ。

大きさが小さくて腰巻きにも使えないしさ。

ち○こを隠せないや。

それと効果で『向上』と『小向上』と二種類あるのに気が付いた。

『向上』より『小向上』のほうが、効果的に低いってことなのだろう。

ならば『大向上』とかあるのだろうか?

とりあえず魔法のバンダナにクリスタルの破片をくるんで首に巻いた。

これで持ち運ぼう。

俺の成りは首にバンダナを巻いて、腰にはベルトから剣の鞘を下げた、全裸姿に成っていた。

まだまだ変態の成りである。

寧ろ中途半端に何かを身に付けたために、変態度を増した感じがするのは、俺の気のせいだろうか?

続いてステータス画面を開いて新スキルを覚えていないかチェックする。

流石にレベル二個分も上がっているのだ、三つも新スキルをおぼえていた。

やったね!

どれどれ、どんな新スキルかな?

【パッシブ・ソードマン。剣系武器の戦闘技術が向上】

【パッシブ・メイサー。鈍器系武器の戦闘技術が向上】

【ウェポンスマッシュ。すべての武器で強打力と攻撃速度が1.25倍された一撃を放てるように成る。一日に撃てる回数は、本人レベルの5おきに一回追加される】

んー。

ソードマンとメイサーはパッシブだから、普段から剣と鈍器の武器で戦う場合は修正が加わっているってことだろうな。

もしかして、これを覚えたのは、俺が骨の棍棒ボーンクラブとショートソードで戦ってたからかな。

斧は一回だけ投げた程度だから習得レベルまで達していないだけなのか。

だとするなら、実戦で訓練すればレベルアップ時にスキルとして覚える感じのシステムなのかな。

まあ、それはさて置き──。

ウェポンスマッシュは完全に、ここぞと言うところで使うような必殺技系のスキルなんだろう。

回数は本人レベルが5おきに一発追加か。

今の俺は一日一回しか撃てないってことなのね。

まあ、いざって時に使おうか。

さて、最後は魔法の羊皮紙スクロールだ。

どんな魔法が記載されているのか楽しみだな。

「アイテム鑑定!」

【マジックアローの羊皮紙スクロール。羊皮紙を広げた状態で魔法名を読めば魔法が取得できる。使用しない場合は羊皮紙を閉じた状態で保管しましょう】

マジックアローですか!

攻撃魔法ですね!

ついに攻撃魔法が来たぜ!

あ、ても効果は習得しないと、分からないんだっけ。

では、早速ながら習得します。

スクロールを広げて──。

「マジックアロー!」

すると羊皮紙が青白く燃え上がって灰になる。

俺は速攻でステータス画面から説明文書を読んでみた。

【マジックアロー。攻撃力は小。無属性。射程距離15メートルの飛翔体魔法。回数は本人レベルが3置きに、一日一回ずつ撃てる。発動条件は魔法名を口に出す】

あー、攻撃力が小なのか。

でも、使えるだろう。

今後はもう、斧とか投げなくても済みそうだ。

これもウェポンスマッシュと同じで、今は一日一回しか撃てないけれど有りがたい。

それなりの戦力になるだろう。

さてさて、こんなものかな。

そして、辺りを見回せば、生き残った村人たちが俺のことを、物陰から遠目に見ていた。

まだ、コボルトの襲撃直後だから怯えているな。

見慣れない俺すら怯えた目で見てやがる。

いや、全裸だから不審者だと思っているのかな……。

後者のほうが可能性は高そうだ。

どうしよっかな。

どう村人とコンタクトを取ったら良いものやら。

そんな風に俺が悩んでいると、あの鼻垂れ小僧が駆け寄って来た。

そして、小さな声で言った。

「あ、ありがとう……」

「どういたしまして──」

俺がそう返すと、鼻垂れ小僧が俺の下半身にハグして来た。

丁度、鼻垂れ小僧の顔面が、俺の股間部分に押し付けられた。

鼻垂れ小僧は泣きながら顔をグリグリしてくる。

止めてもらいたかったが、今回だけは許した。

好きなだけ、泣かしてやる。


【つづく】
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