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【最終章】魔王城の決戦編
最終章-19【第九】
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魔法使いたちの先頭に立つゾディアックが愛用のルーンスタッフを翳しながら叫んだ。
「全員で攻撃魔法を一斉に発射です!!」
魔法使いたちが各々の杖を構えて魔法を念ずる。すると赤、青、緑に紫と、色鮮やかな魔法陣が空中に浮かび上がった。
「もう少し引き付けろ!」
タイミングを計るゾディアックが目標を見上げる。
高さ約30メートル。直径約8メートル。二つの球体を車輪に前進して来る黒光りする巨棍の先にアマデウスが立っていた。アマデウスは足元のゾディアックたちを無視して真っ直ぐ魔王城を睨み付けている。
ルーンスタッフを構えるゾディアックが呟いた。
「アマデウス……。あんな化け物を持ち出すとは……」
ゾディアックの隣に立つドクトル・スカルが、その呟きを聞いて質問した。
「ゾディアック、あの大きなチ◯コはいったい何なんだ?」
ゾディアックは表情を引き締めながら答える。
「あれは、ただのチ◯コじゃあない。っと、言いますか……。チ◯コじゃないよ、ドクトル……」
「私には、どの角度から見てもモザイク処理が必要な案件にしか見えないが?」
「あれは、第九だよ」
「第九?」
スカル姉さんは聞き慣れない単語に首を傾げた。その時、第九と呼ばれる巨大チ◯コが魔法使いたちの射程に入る。その瞬間をゾディアックは逃さない。
「今だ、発射っ!!」
ゾディアックの掛け声に合わせて魔法が一斉発射された。色取り取りの魔法が集中砲火される。
「ファイアーボール!」
「アイスジャベリン!」
「ライトニングボルト!」
「ウィンドカッター!」
「マジックミサイル!」
ほぼ同時に様々な魔法が複数発射された。瞬時に第九が爆炎爆風爆光の爆裂に包まれる。攻撃魔法での袋叩きだ。
「これは、凄いな……」
爆風に長い髪を靡かせながらドクトル・スカルが第九を見上げていると、硝煙の中から巨棍が姿を表した。
「無傷っ!?」
傷一つ刻まれるどころか揺らいでもいない。
「ゾディアック、ぜんぜん効いてないんじゃあないか……」
「だろうね……」
「だろうねって、お前な……」
「たぶん絶対的な魔法防御陣が形成されているのだろうさ。アマデウスが引っ張り出した第九だ。そのぐらいのギミックは予想できていたよ」
「そもそも第九とは、なんだ?」
ゾディアックが巨根の柱を睨み上げながら述べる。
「前魔王の遺体から作られたゴーレムだ」
「魔王の遺体だと!?」
ドクトル・スカルが驚いていると、魔法使いたちの前を守っていたフォーハンドスケルトンウォリアーたちが列をなして前進を開始した。槍や剣を構えて第九に突進して行く。
だが、フォーハンドスケルトンたちは第九の開店するタマタマに次々と踏み潰されて粉砕して行った。まるで鑿岩機に巻き込まれて行くような光景である。
「撃て、撃てっ!!」
無駄だと分かっていながらも、ゴリが爆発のハープーンガンを撃ち込んでいた。ミーちゃんもマジックアイテムのロングボウで矢を撃ち込む。しかし、第九は銛や矢も弾き返していた。
そもそもが第九の黒光りする柱に攻撃が届いていない。銛も矢も巨棍の寸前で見えない壁に弾かれている。あれが完全防御の魔法壁なのだろう。
「ならば、相撲だ!!」
今度はサイクロプスのミケランジェロが第九の前に出た。そのまま両腕を広げて襲いかかる。掴み掛かる気だろう。
「スリープクラウド!」
「うぐっ!!」
第九に飛び掛かろうとしたミケランジェロが眠りの霧に包まれた。次の瞬間、ミケランジェロは膝から崩れて三階建ての家に寄り掛かるようにして寝てしまう。
「すぴ~、すぴ~」
ミケランジェロは心地良さそうに寝てしまった。第九の頂上に控えるアマデウスの攻撃魔法だ。
「アマデウスが得意の安眠魔法だ!」
「糞~、一旦引くぞ、ゾディアック!」
「ああ、ドクトル……」
ゾディアックはスカル姉さんに言われて魔法使いたちを引かせた。退却する魔法使いたちは建物の陰に隠れる。
第九は遅い歩みで魔王城を目指すばかりで魔法使いたちやゴリたちには無関心の様子だった。
建物の物陰に隠れたスカル姉さんが再度ゾディアックに問う。
「もしかして、本当にあれは魔王のチ◯コなのか?」
真剣な表情でゾディアックが答える。
「あれは、500年前の魔王の遺体じゃあないんだ。あれは、1000年前の魔王だよ」
「1000年前だと?」
「そう、先々代の魔王だ」
「1000年前の魔王と言えば、九番目の魔王。ようするに、それで第九か?」
「ピンポ~ン」
「だが、なんでそんな凄い物をアマデウスのようなボンクラウィザードが持っているんだ?」
「それは僕も知らないよ……。その辺はアマデウス本人に訊いてくれないか」
「肝心なところで役に立たない男だな」
「ひどっ!」
スカル姉さんが第九を見上げながら親指の爪を噛んだ。
「問題は、あの第九をどう止めるかよ。このままだと魔王城に突っ込んじゃうわよ。あんなの突っ込まれたらガバガバのユルユルになっちゃうじゃないの」
「な、何が~……」
「折角、莫大な予算と時間を費やして修繕させてる魔王城を、アトラクションとしてオープンさせる前に潰されたらたまんないわよ!!」
「アトラクション? オープン??」
「兎に角、あれを止めなさい、ゾディアック!」
「無茶な~……」
ゾディアックが言うとおり無茶である。相手は物理攻撃も魔法攻撃も効かない巨大な黒柱だ。しかも、乗り込むアマデウスの援護魔法まで付いてくる。故に止めようが無い。
だが、ドクトル・スカルが述べたとおり止めなくては魔王城に衝突してしまう。あんなのが魔王城に倒れ込んだだけで甚大な被害がでるだろう。それだけは避けなければならない正面衝突事故である。
しかし、やはりながら止めようが無いのも事実だ。
ゾディアックは考えた。ここで格好良く第九を止めればドクトル・スカルも自分を見直してくれるのではないかと──。惚れ直してくれるかもしれないかと──。
そうである。ここは男を見せるチャンスだ。そして、ゾディアックは決意する。
「ここは一丁、張り切っちゃおうかな!」
決意を決めたゾディアックが物陰から前に出る。
ドクトル・スカルが問う。
「ゾディアック。何か策でもあるのか!?」
ゾディアックはクールに気取りながら述べた。
「冒険者を引退してからも密かに研究していた究極魔法を使う時が来たようだな!」
「究極魔法だと!?」
「そう、古の破壊魔法、ノーザンライトメテオストライクだ!!」
そう言いゾディアックが呪文を唱え始めると、彼の周りで魔力が渦巻き始めた。それを見たドクトル・スカルがスタスタとゾディアックに近付いて行く。
「それは却下ね……」
言うなりドクトル・スカルがゾディアックの首根っこを掴んで建物の陰に引き戻した。
引きずられるゾディアック。
「えっ、えっ、なんで!!」
「あんたはバカか。大破壊魔法を町中で撃ったら被害が拡大しちゃうじゃない!」
「えっ、でも、でも!!」
「いいから引っ込んでろ、役に立たない魔法使いだな!」
「えっ、えっ、えっ……」
ゾディアックは泣きそうな顔で狼狽していた。
するとドクトル・スカルが言う。
「どうやら真打ち登場よ」
「真打ちだって?」
ゾディアックが大通りを見ると、進行する第九が足を止めていた。その前に一人の男が立っている。人間だ。
「あれは……」
モヒカンヘアーに上半身裸。そして筋肉質。ズボンを吊るしたサスペンダーで乳首を隠している。その背中からも変態臭が漂って来ていた。
あれは――。
「「ギルガメッシュ!」」
そう、彼こそがソドムタウン冒険者ギルドの変態マスター。ギルガメッシュ、その人である。
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ルーンスタッフを構えるゾディアックが呟いた。
「アマデウス……。あんな化け物を持ち出すとは……」
ゾディアックの隣に立つドクトル・スカルが、その呟きを聞いて質問した。
「ゾディアック、あの大きなチ◯コはいったい何なんだ?」
ゾディアックは表情を引き締めながら答える。
「あれは、ただのチ◯コじゃあない。っと、言いますか……。チ◯コじゃないよ、ドクトル……」
「私には、どの角度から見てもモザイク処理が必要な案件にしか見えないが?」
「あれは、第九だよ」
「第九?」
スカル姉さんは聞き慣れない単語に首を傾げた。その時、第九と呼ばれる巨大チ◯コが魔法使いたちの射程に入る。その瞬間をゾディアックは逃さない。
「今だ、発射っ!!」
ゾディアックの掛け声に合わせて魔法が一斉発射された。色取り取りの魔法が集中砲火される。
「ファイアーボール!」
「アイスジャベリン!」
「ライトニングボルト!」
「ウィンドカッター!」
「マジックミサイル!」
ほぼ同時に様々な魔法が複数発射された。瞬時に第九が爆炎爆風爆光の爆裂に包まれる。攻撃魔法での袋叩きだ。
「これは、凄いな……」
爆風に長い髪を靡かせながらドクトル・スカルが第九を見上げていると、硝煙の中から巨棍が姿を表した。
「無傷っ!?」
傷一つ刻まれるどころか揺らいでもいない。
「ゾディアック、ぜんぜん効いてないんじゃあないか……」
「だろうね……」
「だろうねって、お前な……」
「たぶん絶対的な魔法防御陣が形成されているのだろうさ。アマデウスが引っ張り出した第九だ。そのぐらいのギミックは予想できていたよ」
「そもそも第九とは、なんだ?」
ゾディアックが巨根の柱を睨み上げながら述べる。
「前魔王の遺体から作られたゴーレムだ」
「魔王の遺体だと!?」
ドクトル・スカルが驚いていると、魔法使いたちの前を守っていたフォーハンドスケルトンウォリアーたちが列をなして前進を開始した。槍や剣を構えて第九に突進して行く。
だが、フォーハンドスケルトンたちは第九の開店するタマタマに次々と踏み潰されて粉砕して行った。まるで鑿岩機に巻き込まれて行くような光景である。
「撃て、撃てっ!!」
無駄だと分かっていながらも、ゴリが爆発のハープーンガンを撃ち込んでいた。ミーちゃんもマジックアイテムのロングボウで矢を撃ち込む。しかし、第九は銛や矢も弾き返していた。
そもそもが第九の黒光りする柱に攻撃が届いていない。銛も矢も巨棍の寸前で見えない壁に弾かれている。あれが完全防御の魔法壁なのだろう。
「ならば、相撲だ!!」
今度はサイクロプスのミケランジェロが第九の前に出た。そのまま両腕を広げて襲いかかる。掴み掛かる気だろう。
「スリープクラウド!」
「うぐっ!!」
第九に飛び掛かろうとしたミケランジェロが眠りの霧に包まれた。次の瞬間、ミケランジェロは膝から崩れて三階建ての家に寄り掛かるようにして寝てしまう。
「すぴ~、すぴ~」
ミケランジェロは心地良さそうに寝てしまった。第九の頂上に控えるアマデウスの攻撃魔法だ。
「アマデウスが得意の安眠魔法だ!」
「糞~、一旦引くぞ、ゾディアック!」
「ああ、ドクトル……」
ゾディアックはスカル姉さんに言われて魔法使いたちを引かせた。退却する魔法使いたちは建物の陰に隠れる。
第九は遅い歩みで魔王城を目指すばかりで魔法使いたちやゴリたちには無関心の様子だった。
建物の物陰に隠れたスカル姉さんが再度ゾディアックに問う。
「もしかして、本当にあれは魔王のチ◯コなのか?」
真剣な表情でゾディアックが答える。
「あれは、500年前の魔王の遺体じゃあないんだ。あれは、1000年前の魔王だよ」
「1000年前だと?」
「そう、先々代の魔王だ」
「1000年前の魔王と言えば、九番目の魔王。ようするに、それで第九か?」
「ピンポ~ン」
「だが、なんでそんな凄い物をアマデウスのようなボンクラウィザードが持っているんだ?」
「それは僕も知らないよ……。その辺はアマデウス本人に訊いてくれないか」
「肝心なところで役に立たない男だな」
「ひどっ!」
スカル姉さんが第九を見上げながら親指の爪を噛んだ。
「問題は、あの第九をどう止めるかよ。このままだと魔王城に突っ込んじゃうわよ。あんなの突っ込まれたらガバガバのユルユルになっちゃうじゃないの」
「な、何が~……」
「折角、莫大な予算と時間を費やして修繕させてる魔王城を、アトラクションとしてオープンさせる前に潰されたらたまんないわよ!!」
「アトラクション? オープン??」
「兎に角、あれを止めなさい、ゾディアック!」
「無茶な~……」
ゾディアックが言うとおり無茶である。相手は物理攻撃も魔法攻撃も効かない巨大な黒柱だ。しかも、乗り込むアマデウスの援護魔法まで付いてくる。故に止めようが無い。
だが、ドクトル・スカルが述べたとおり止めなくては魔王城に衝突してしまう。あんなのが魔王城に倒れ込んだだけで甚大な被害がでるだろう。それだけは避けなければならない正面衝突事故である。
しかし、やはりながら止めようが無いのも事実だ。
ゾディアックは考えた。ここで格好良く第九を止めればドクトル・スカルも自分を見直してくれるのではないかと──。惚れ直してくれるかもしれないかと──。
そうである。ここは男を見せるチャンスだ。そして、ゾディアックは決意する。
「ここは一丁、張り切っちゃおうかな!」
決意を決めたゾディアックが物陰から前に出る。
ドクトル・スカルが問う。
「ゾディアック。何か策でもあるのか!?」
ゾディアックはクールに気取りながら述べた。
「冒険者を引退してからも密かに研究していた究極魔法を使う時が来たようだな!」
「究極魔法だと!?」
「そう、古の破壊魔法、ノーザンライトメテオストライクだ!!」
そう言いゾディアックが呪文を唱え始めると、彼の周りで魔力が渦巻き始めた。それを見たドクトル・スカルがスタスタとゾディアックに近付いて行く。
「それは却下ね……」
言うなりドクトル・スカルがゾディアックの首根っこを掴んで建物の陰に引き戻した。
引きずられるゾディアック。
「えっ、えっ、なんで!!」
「あんたはバカか。大破壊魔法を町中で撃ったら被害が拡大しちゃうじゃない!」
「えっ、でも、でも!!」
「いいから引っ込んでろ、役に立たない魔法使いだな!」
「えっ、えっ、えっ……」
ゾディアックは泣きそうな顔で狼狽していた。
するとドクトル・スカルが言う。
「どうやら真打ち登場よ」
「真打ちだって?」
ゾディアックが大通りを見ると、進行する第九が足を止めていた。その前に一人の男が立っている。人間だ。
「あれは……」
モヒカンヘアーに上半身裸。そして筋肉質。ズボンを吊るしたサスペンダーで乳首を隠している。その背中からも変態臭が漂って来ていた。
あれは――。
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