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【第20章】喧嘩祭り編
20-32【式神の魔獣】
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ソファーに腰掛けるギレンが足を組みながら背凭れにふんずり返りながら述べた。
「その鬼たちは使えるぞ。警護に回していた鬼とは角の数が異なる」
ロン毛の三角鬼、女性の四角鬼、そしてマッチョな五角鬼が俺の前に歩み寄って来る。
三角鬼はレザーアーマーで両手にダガーを持っている。
五角鬼は赤いふんどし一丁で太い金棒を背負っている。
四角鬼の女は虎柄のビキニを纏って鎖鎌を持っていた。その鎖分銅をクルクルと振り回している。威嚇のつもりなのだろう。
ギレンが薄笑いを浮かべながら述べる。
「その長髪の男は、両親を役人に殺されて、その恨みを晴らすために呪い呪われ鬼に落ちた。女は恋人だった男を奪った女を呪い、大男は自分を騙して畑を奪った地上げ屋を呪うために鬼になったんだ。どいつもこいつも人を呪って鬼に落ちた人間の挫折者たちだ。まあ、鬼に成るべきして鬼に成ったと言えよう」
俺は三人の後ろで呑気に座っているギレンを睨みながら凄んだ。
「それもこれも、お前が呪いに手を貸して落としたんだろ」
「それが私の仕事だからな。呪術師ってのは、そう言う者だ」
「人を奈落に落とす仕事で威張るなよ!」
「金貸しが貧乏人に金を貸して儲けるのと代わらないだろ。人を恨んで呪い殺したいと考える人間が居るから呪術師も居るのだよ」
「そんな奴は、この世に要らねえよ!!」
俺は怒りの噴出と同時にダッシュした。低い位置から滑り込むように虎柄ビキニの足元に流れ込むと、斜め下からメイスを振るう。そして、斜め下から昇ったメイスの先が僅かに鬼女の顎先を叩いた。
カツンっと微細な音が鳴る。
ほんの僅かなヒットに四角鬼の眼球が激しく揺れた。両眼がグルリと回ったのだ。
すると途端に鬼女の鎖分銅を回していた手が止まると、彼女は内股で膝から崩れ落ちた。白目を向いて口から涎を垂らしながら倒れ込む。
そして俺は、鬼女が完全にノックダウンするのを確認もせずに三角鬼の鳩尾をメイスで横殴った。
「ぐはっ!!」
その一打で三角鬼が前のめりに身体を曲げる。
俺は屈んだ三角鬼の延髄を上からメイスで叩き付けた。その勢いのままに三角鬼が長髪を乱しながら床に顔面を叩き付ける。
鈍い音を立ててバウンドする鬼の頭。だが、立ち上がって来ない。気絶している。
「ふがぁぁああああ!!」
いきなり五角鬼が俺の背後から金棒で殴り掛かって来た。俺は横振りの金棒を屈んで躱すとスェーバックで床を滑べってからマッチョマンの更に背後に回り込む。
「背後を取ったぜ」
そして背後から二本のメイスを左右に振るって五角鬼の両足を広げるように外に払った。
「ががっ!?」
すると五角鬼は股を180度に広げながら尻餅を付いた。
ゴキゴキっと鈍い音が股座から聞こえて来たから、股関節が脱臼でも下のだろう。
まあ、ガニ股で真下に転倒したのだ、股関節が裂けても仕方あるまい。
「フィニッシュね~」
俺は最後にメイスのフルスイングで五角鬼の後頭部を打ち殴った。パコンっと音が鳴る。その一打で五角鬼は股を広げたTの字でダウンする。
計十秒ぐらいだっただろうか──。
俺は僅かな秒数で鬼三体を瞬殺撃破して見せた。そして、意地悪い笑みで言ってやる。
「どこが使える連中なんだ?」
「己れ……」
奥歯を噛み締めるギレンがソファーから立ち上がった。オールバックで眉無しの眼光が少し怖いな。親父のギデン同様に強面な表情だ。
だが、体格はいたって普通である。ギデンのように大柄でもない。むしろ痩せている。おそらく亡くなった前妻のマクベさんに似たのだろう。
俺は両手に持った二成のメイスを手首で回しながら言った。
「さあ、大人しくガルマルの町に帰ろうぜ。今ならパパさんは幽閉だけで許してくれるからさ」
しかし、ギレンは反抗的な眼差しで述べる。
「幽閉なんぞされてたまるか!!」
口調を荒くしたギレンが懐から六枚の御札を取り出した。そして指を絡めながら印を組む。何か術を使うつもりだ。
「貸し込み貸し込みたもれ我が式神たちよ。ここに来たりて我に従え!!」
そうギレンが唱えると六枚の御札を宙に投げた。そして、宙を舞う御札が怪しく闇を吹き出すと動物を形取り始める。
「うひょ~、式神なんて使うんだ! 陰陽師らしくないか!?」
そして、闇の中から出て来た式神がギレンの前に並ぶ。
その数は六体の動物。
それは、カンガルー、カピバラ、コアラが二体ずつだった。
「えっ…………」
コアラはギレンの両腕にしがみつき、カンガルーとカピバラが俺の前に立ちはだかる。
キシリアお嬢様が部屋の入り口に隠れながら呟いた。
「何、あのおぞましい動物は……」
ええ…………。
何さ、この世界にはカンガルーもコアラも居ないのかよ!?
しかも、あんなに可愛いのにおぞましく見えますか!?
てか、カンガルーとかコアラを式神として召喚すんなよ。この異世界の陰陽師ってバカかよ!!
「食らえ、幽狩り毒素!!」
印を組んだギレンが叫ぶと、両腕にしがみついて居たコアラが緑色の液体を口から吐いた。
「うわっ、汚ねぇ!!」
俺が跳ねて躱すと緑色の液体が床に散らばる。その液体がブクブクと泡立っていた。床を溶かしている。
「うわぁ~……。これは腐りそうだな……」
「行け、式神どもよ!!」
ギレンが俺を指差すとカンガルーとカピバラが俺に襲い掛かって来た。
カンガルー二匹はインファイターボクサーのように両拳を顔の前に並べて跳ねて来る。
カピバラ二匹は長い出っ歯を光らせながら四足ダッシュで走って来た。
四匹の獣がつぶらな瞳に闘志を燃やしている。動物たちはヤル気満々だ。
「カピバラの癖に思ったより速いぞ!!」
俺の予想を超えるスピードで走り寄って来たカピパラ二匹が俺の足に噛み付いて来た。
俺は咄嗟に躱すがカピバラの出っ歯が俺の太股と脛を切り裂いて鮮血が飛ぶ。
更にカピバラに遅れて迫って来ていたカンガルーが素早くジャンプしてドロップキックを放って来た。ツープラトンのドロップキックである。
カピバラ二匹に気を取られて居た俺はカンガルー二匹のドロップキックをモロに食らう。顔面と胸に激しい衝撃が走った。
「ぬほぉぉおおおお!!」
ダブルのドロップキックを食らった俺は大きく蹴り飛ばされて地面を転がった。
「畜生……」
床を転がる俺は、流れる動作で直ぐさま立ち上がる。そして、両手のメイスを前に構えて動物たちを威嚇した。
「こいつらのほうが、さっきの鬼より強いじゃあねえか……」
ギレンがドヤ顔で延べた。
「そりゃあそうだろうさ。何せ地獄から召喚した上級魔獣たちだからな!」
オーストラリアって地獄なのかよ……。知らんかったぜ……。しかも上級なの……。
「まあいいさ。式神も六体だから、丁度使って見たかったマジックアイテムが有るんだよな」
俺は異次元宝物庫にメイスを仕舞うと代わりに二本のロングソードを取り出した。そして両手に構える。それから期待に笑顔を輝かせながら叫んだ。
「増幅分裂!!」
すると俺の腕が六本に増えて、その腕には六本のロングソードが握られる。言った通りに増幅して分裂したのだ。
ギレンが目を剥いて驚いていた。
「腕が増えた……。阿修羅か……」
俺が使用したマジックアイテムはこれだ。
【六腕のロングソード+1】
10分間、本体の腕を六本まで増やす。
【五分裂のロングソード+1】
10分間、このロングソードが五本に増える。
セットで使うと丁度良いマジックアイテムである。
俺はワシャワシャと六本腕を動かしながら六本のロングソードで牽制した。
「式神なら容赦無く殺せるぜ。それと式神って死体は残るのか。一度カンガルーのステーキを食べて見たかったんだ!」
俺は六本腕に六本の剣を構えながら微笑んでいた。実にゆかいである。
「その鬼たちは使えるぞ。警護に回していた鬼とは角の数が異なる」
ロン毛の三角鬼、女性の四角鬼、そしてマッチョな五角鬼が俺の前に歩み寄って来る。
三角鬼はレザーアーマーで両手にダガーを持っている。
五角鬼は赤いふんどし一丁で太い金棒を背負っている。
四角鬼の女は虎柄のビキニを纏って鎖鎌を持っていた。その鎖分銅をクルクルと振り回している。威嚇のつもりなのだろう。
ギレンが薄笑いを浮かべながら述べる。
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「それもこれも、お前が呪いに手を貸して落としたんだろ」
「それが私の仕事だからな。呪術師ってのは、そう言う者だ」
「人を奈落に落とす仕事で威張るなよ!」
「金貸しが貧乏人に金を貸して儲けるのと代わらないだろ。人を恨んで呪い殺したいと考える人間が居るから呪術師も居るのだよ」
「そんな奴は、この世に要らねえよ!!」
俺は怒りの噴出と同時にダッシュした。低い位置から滑り込むように虎柄ビキニの足元に流れ込むと、斜め下からメイスを振るう。そして、斜め下から昇ったメイスの先が僅かに鬼女の顎先を叩いた。
カツンっと微細な音が鳴る。
ほんの僅かなヒットに四角鬼の眼球が激しく揺れた。両眼がグルリと回ったのだ。
すると途端に鬼女の鎖分銅を回していた手が止まると、彼女は内股で膝から崩れ落ちた。白目を向いて口から涎を垂らしながら倒れ込む。
そして俺は、鬼女が完全にノックダウンするのを確認もせずに三角鬼の鳩尾をメイスで横殴った。
「ぐはっ!!」
その一打で三角鬼が前のめりに身体を曲げる。
俺は屈んだ三角鬼の延髄を上からメイスで叩き付けた。その勢いのままに三角鬼が長髪を乱しながら床に顔面を叩き付ける。
鈍い音を立ててバウンドする鬼の頭。だが、立ち上がって来ない。気絶している。
「ふがぁぁああああ!!」
いきなり五角鬼が俺の背後から金棒で殴り掛かって来た。俺は横振りの金棒を屈んで躱すとスェーバックで床を滑べってからマッチョマンの更に背後に回り込む。
「背後を取ったぜ」
そして背後から二本のメイスを左右に振るって五角鬼の両足を広げるように外に払った。
「ががっ!?」
すると五角鬼は股を180度に広げながら尻餅を付いた。
ゴキゴキっと鈍い音が股座から聞こえて来たから、股関節が脱臼でも下のだろう。
まあ、ガニ股で真下に転倒したのだ、股関節が裂けても仕方あるまい。
「フィニッシュね~」
俺は最後にメイスのフルスイングで五角鬼の後頭部を打ち殴った。パコンっと音が鳴る。その一打で五角鬼は股を広げたTの字でダウンする。
計十秒ぐらいだっただろうか──。
俺は僅かな秒数で鬼三体を瞬殺撃破して見せた。そして、意地悪い笑みで言ってやる。
「どこが使える連中なんだ?」
「己れ……」
奥歯を噛み締めるギレンがソファーから立ち上がった。オールバックで眉無しの眼光が少し怖いな。親父のギデン同様に強面な表情だ。
だが、体格はいたって普通である。ギデンのように大柄でもない。むしろ痩せている。おそらく亡くなった前妻のマクベさんに似たのだろう。
俺は両手に持った二成のメイスを手首で回しながら言った。
「さあ、大人しくガルマルの町に帰ろうぜ。今ならパパさんは幽閉だけで許してくれるからさ」
しかし、ギレンは反抗的な眼差しで述べる。
「幽閉なんぞされてたまるか!!」
口調を荒くしたギレンが懐から六枚の御札を取り出した。そして指を絡めながら印を組む。何か術を使うつもりだ。
「貸し込み貸し込みたもれ我が式神たちよ。ここに来たりて我に従え!!」
そうギレンが唱えると六枚の御札を宙に投げた。そして、宙を舞う御札が怪しく闇を吹き出すと動物を形取り始める。
「うひょ~、式神なんて使うんだ! 陰陽師らしくないか!?」
そして、闇の中から出て来た式神がギレンの前に並ぶ。
その数は六体の動物。
それは、カンガルー、カピバラ、コアラが二体ずつだった。
「えっ…………」
コアラはギレンの両腕にしがみつき、カンガルーとカピバラが俺の前に立ちはだかる。
キシリアお嬢様が部屋の入り口に隠れながら呟いた。
「何、あのおぞましい動物は……」
ええ…………。
何さ、この世界にはカンガルーもコアラも居ないのかよ!?
しかも、あんなに可愛いのにおぞましく見えますか!?
てか、カンガルーとかコアラを式神として召喚すんなよ。この異世界の陰陽師ってバカかよ!!
「食らえ、幽狩り毒素!!」
印を組んだギレンが叫ぶと、両腕にしがみついて居たコアラが緑色の液体を口から吐いた。
「うわっ、汚ねぇ!!」
俺が跳ねて躱すと緑色の液体が床に散らばる。その液体がブクブクと泡立っていた。床を溶かしている。
「うわぁ~……。これは腐りそうだな……」
「行け、式神どもよ!!」
ギレンが俺を指差すとカンガルーとカピバラが俺に襲い掛かって来た。
カンガルー二匹はインファイターボクサーのように両拳を顔の前に並べて跳ねて来る。
カピバラ二匹は長い出っ歯を光らせながら四足ダッシュで走って来た。
四匹の獣がつぶらな瞳に闘志を燃やしている。動物たちはヤル気満々だ。
「カピバラの癖に思ったより速いぞ!!」
俺の予想を超えるスピードで走り寄って来たカピパラ二匹が俺の足に噛み付いて来た。
俺は咄嗟に躱すがカピバラの出っ歯が俺の太股と脛を切り裂いて鮮血が飛ぶ。
更にカピバラに遅れて迫って来ていたカンガルーが素早くジャンプしてドロップキックを放って来た。ツープラトンのドロップキックである。
カピバラ二匹に気を取られて居た俺はカンガルー二匹のドロップキックをモロに食らう。顔面と胸に激しい衝撃が走った。
「ぬほぉぉおおおお!!」
ダブルのドロップキックを食らった俺は大きく蹴り飛ばされて地面を転がった。
「畜生……」
床を転がる俺は、流れる動作で直ぐさま立ち上がる。そして、両手のメイスを前に構えて動物たちを威嚇した。
「こいつらのほうが、さっきの鬼より強いじゃあねえか……」
ギレンがドヤ顔で延べた。
「そりゃあそうだろうさ。何せ地獄から召喚した上級魔獣たちだからな!」
オーストラリアって地獄なのかよ……。知らんかったぜ……。しかも上級なの……。
「まあいいさ。式神も六体だから、丁度使って見たかったマジックアイテムが有るんだよな」
俺は異次元宝物庫にメイスを仕舞うと代わりに二本のロングソードを取り出した。そして両手に構える。それから期待に笑顔を輝かせながら叫んだ。
「増幅分裂!!」
すると俺の腕が六本に増えて、その腕には六本のロングソードが握られる。言った通りに増幅して分裂したのだ。
ギレンが目を剥いて驚いていた。
「腕が増えた……。阿修羅か……」
俺が使用したマジックアイテムはこれだ。
【六腕のロングソード+1】
10分間、本体の腕を六本まで増やす。
【五分裂のロングソード+1】
10分間、このロングソードが五本に増える。
セットで使うと丁度良いマジックアイテムである。
俺はワシャワシャと六本腕を動かしながら六本のロングソードで牽制した。
「式神なら容赦無く殺せるぜ。それと式神って死体は残るのか。一度カンガルーのステーキを食べて見たかったんだ!」
俺は六本腕に六本の剣を構えながら微笑んでいた。実にゆかいである。
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