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【第20章】喧嘩祭り編
20-13【第一試合、グゲルグvsササビー】
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『それでは第一試合、グゲルグ選手vsササビー選手戦の始まりです。両者入場!!』
進行役のアナウンスに続いて、これから対戦する二人がステージに上がった。
『まずは右からステージに上がって来たのは鍛冶屋の娘でグゲルグ嬢24歳独身。現在彼氏募集中だ!!』
なに、彼氏が居ないのか!?
綺麗な艶が輝くショートボブで、顔立ちも整っている。スタイルも腹筋が勇ましく割れているが美しいアスリート体型だ。胸も十分なサイズ感なのに、彼氏が居ないのか。勿体無いな。
『続きまして左からステージに上るのは農夫のササビー選手。奥さんが妊娠したので今年が最後の喧嘩祭りと決意を決めての出場です!!』
ササビーさんは爪先で跳ねるようにジャンプを繰り返していた。
身体を暖めているのだろう。ステージの下でゴリと並んで立っていた俺はゴリに訊いてみた。
「なあ、ゴリ。ササビーさんとグゲルグって、どっちが勝つかな?」
瓦割りのデモンストレーションではササビーさんのほうが多く瓦を割っている。純粋なパンチ力だけなら、若干だがササビーさんのほうが上だ。
ゴリは真っ直ぐステージの上を見ながら答えた。
「掴まれなければササビーさんにも勝ち目はあると思うぞ」
「掴まれなければって、なんだ?」
「グゲルグは小さなころ柔道って言う素手の格闘術を習っていたんだ」
「柔道だって……」
ストレッチしながら身体の筋肉を解しているグゲルグの腰には黒い帯が巻かれていた。タンクトップにスパッツ姿のせいで、帯の存在に注目していなかったが、あれは柔道の黒帯ってことかい。
って、ことは──。
グゲルグの柔道の実力は黒帯レベルなのか。そりゃあ怖いわ。
「誰だよ、鍛冶屋の娘に柔道なんて教えた異世界転生者はよ……」
勿体無いぞ……。もしも彼女が柔道なんてやらないで、普通の女の子として育っていれば、きっと可愛らしい嫁さんになっていたかも知れないのにさ。
この田舎町は綺麗な花を肥溜めの横に植えてしまったのだ。本当に勿体無いな。
グゲルグとササビーさんがリング中央で向かい合う。両者が真剣な眼差しで睨み合っていた。
『それでは、第一試合開始だ!!』
進行役が叫ぶと試合開始の鐘がカーンっと鳴り響く。すると会場の観客たちが一斉に沸き上がった。
声援が多く飛ぶが殆どがグゲルグに向けてだろう。やはり人気では女性選手のほうが圧倒のようだな。
「行くぞ、お嬢さん!!」
「来いや、オッサン!!」
「そりゃ!」
先手はササビーさんがグゲルグのボディーにパンチを飛ばした。
そして、ヒット。
だが、グゲルグは揺らぎもしない。割れた美しいシックスパックで受け止める。
「気を使わないで、オッサン。女だからって舐めてると、痛い目に合うわよ!!」
「ぬぬぅ……」
ササビーさんは女性相手だから顔を殴らずボディーを狙ったのだろう。優しいな。
だが、あの割れた腹筋を破るほどのパンチ力はササビーさんには無かったようだ。
「女を甘く見ていると、後悔するわ、よっと!!」
グゲルグのハイキック。
その上段廻し蹴りは綺麗に脚が伸びていた。しなやかな鞭のように振るわれササビーさんの頭部を狙う。
「ぐぐっ!!」
ササビーさんのガードが寸前で間に合った。腕を立てて防御に成功したが、大きくよろめいてしまう。
それにしても、身体が柔らかいな。あんなに高く脚を上げて股を開いたら視線が釘付けになっちまうぞ。観客も今の蹴りで一層と盛り上がったしよ。
「まだまだ、行くよ!」
グゲルグがダッキングから肘打ちをササビーさんの鳩尾に突き立てる。
「ごっ!!」
肘が楔のように水月に刺さった。
更に屈んだ体制から跳ね上がるようにアッパーカット。
だが、顎先を狙った拳は空を切り天を指す。
避けた。ナイス、ササビーさん!
だが──。
「掴まえた!」
あらら……。
ササビーさんがグゲルグに襟首を両手で掴まれちゃったよ。これは不味くね。
ここからは押し合い引き合いの戦いだ。
「放せっ!」
ササビーさんの膝蹴り。
だが、その膝がヒットするよりも早くグゲルグが体を捻った。凄い速度のスピンである。
するとグゲルグの身体がササビーさんの懐に潜り込む。
背負い投げの体勢だ。
「ぬああっ!!」
ヤバイ、担がれた。グゲルグの腰の上にササビーさんが完全に乗ってしまっている。
更にグゲルグが両足で地面を蹴った。それでササビーさんの両足が地面を離れる。浮く。
グゲルグがお辞儀をするように身体を曲げると、その背後をササビーさんが飛んで行った。
「どりゃぁあああ!!」
「ぐはっ!!」
ササビーさんが完全に投げられていた。
背負い投げで頭から前方に落とされる。綺麗な教科書通りの背負い投げであった。しかも、ササビーさんは受け身が取れていない。
だが、まだ意識は有るな。
「これで終わりだ!!」
グゲルグが倒れているササビーさんの片腕を取って胸元に引いた。そしてササビーさんの片腕と頭を両足で挟み込んだ。
三角締めだ。
「うぐぐぅ……」
両足の首四の字で締め付けられるササビーさんが顔を真っ赤にしながら踠いていた。
三角締めを外せそうにない。
俺は愕然としながら呟いた。
「う、羨ましい……。俺も一度で良いから女性に三角締めをされたいぞ。いいな~、あれは三角締めじゃあない、あれは幸せ固めだ!!」
苦しい顔のササビーさんがグゲルグの脚をポンポンっと叩いた。タップだ。ギブアップである。
『おお~~っと、ここでササビー選手のギブアップだ!!』
ササビーさんを三角締めから解放したグゲルグが立ち上がると、進行役のオッサンが勝者の腕を上げて勝利宣言をする。
『勝者、グゲルグ選手だ~~!!』
そのコールで観客が沸き上がる。
喧嘩祭り第一試合勝者、グゲルグ。
進行役のアナウンスに続いて、これから対戦する二人がステージに上がった。
『まずは右からステージに上がって来たのは鍛冶屋の娘でグゲルグ嬢24歳独身。現在彼氏募集中だ!!』
なに、彼氏が居ないのか!?
綺麗な艶が輝くショートボブで、顔立ちも整っている。スタイルも腹筋が勇ましく割れているが美しいアスリート体型だ。胸も十分なサイズ感なのに、彼氏が居ないのか。勿体無いな。
『続きまして左からステージに上るのは農夫のササビー選手。奥さんが妊娠したので今年が最後の喧嘩祭りと決意を決めての出場です!!』
ササビーさんは爪先で跳ねるようにジャンプを繰り返していた。
身体を暖めているのだろう。ステージの下でゴリと並んで立っていた俺はゴリに訊いてみた。
「なあ、ゴリ。ササビーさんとグゲルグって、どっちが勝つかな?」
瓦割りのデモンストレーションではササビーさんのほうが多く瓦を割っている。純粋なパンチ力だけなら、若干だがササビーさんのほうが上だ。
ゴリは真っ直ぐステージの上を見ながら答えた。
「掴まれなければササビーさんにも勝ち目はあると思うぞ」
「掴まれなければって、なんだ?」
「グゲルグは小さなころ柔道って言う素手の格闘術を習っていたんだ」
「柔道だって……」
ストレッチしながら身体の筋肉を解しているグゲルグの腰には黒い帯が巻かれていた。タンクトップにスパッツ姿のせいで、帯の存在に注目していなかったが、あれは柔道の黒帯ってことかい。
って、ことは──。
グゲルグの柔道の実力は黒帯レベルなのか。そりゃあ怖いわ。
「誰だよ、鍛冶屋の娘に柔道なんて教えた異世界転生者はよ……」
勿体無いぞ……。もしも彼女が柔道なんてやらないで、普通の女の子として育っていれば、きっと可愛らしい嫁さんになっていたかも知れないのにさ。
この田舎町は綺麗な花を肥溜めの横に植えてしまったのだ。本当に勿体無いな。
グゲルグとササビーさんがリング中央で向かい合う。両者が真剣な眼差しで睨み合っていた。
『それでは、第一試合開始だ!!』
進行役が叫ぶと試合開始の鐘がカーンっと鳴り響く。すると会場の観客たちが一斉に沸き上がった。
声援が多く飛ぶが殆どがグゲルグに向けてだろう。やはり人気では女性選手のほうが圧倒のようだな。
「行くぞ、お嬢さん!!」
「来いや、オッサン!!」
「そりゃ!」
先手はササビーさんがグゲルグのボディーにパンチを飛ばした。
そして、ヒット。
だが、グゲルグは揺らぎもしない。割れた美しいシックスパックで受け止める。
「気を使わないで、オッサン。女だからって舐めてると、痛い目に合うわよ!!」
「ぬぬぅ……」
ササビーさんは女性相手だから顔を殴らずボディーを狙ったのだろう。優しいな。
だが、あの割れた腹筋を破るほどのパンチ力はササビーさんには無かったようだ。
「女を甘く見ていると、後悔するわ、よっと!!」
グゲルグのハイキック。
その上段廻し蹴りは綺麗に脚が伸びていた。しなやかな鞭のように振るわれササビーさんの頭部を狙う。
「ぐぐっ!!」
ササビーさんのガードが寸前で間に合った。腕を立てて防御に成功したが、大きくよろめいてしまう。
それにしても、身体が柔らかいな。あんなに高く脚を上げて股を開いたら視線が釘付けになっちまうぞ。観客も今の蹴りで一層と盛り上がったしよ。
「まだまだ、行くよ!」
グゲルグがダッキングから肘打ちをササビーさんの鳩尾に突き立てる。
「ごっ!!」
肘が楔のように水月に刺さった。
更に屈んだ体制から跳ね上がるようにアッパーカット。
だが、顎先を狙った拳は空を切り天を指す。
避けた。ナイス、ササビーさん!
だが──。
「掴まえた!」
あらら……。
ササビーさんがグゲルグに襟首を両手で掴まれちゃったよ。これは不味くね。
ここからは押し合い引き合いの戦いだ。
「放せっ!」
ササビーさんの膝蹴り。
だが、その膝がヒットするよりも早くグゲルグが体を捻った。凄い速度のスピンである。
するとグゲルグの身体がササビーさんの懐に潜り込む。
背負い投げの体勢だ。
「ぬああっ!!」
ヤバイ、担がれた。グゲルグの腰の上にササビーさんが完全に乗ってしまっている。
更にグゲルグが両足で地面を蹴った。それでササビーさんの両足が地面を離れる。浮く。
グゲルグがお辞儀をするように身体を曲げると、その背後をササビーさんが飛んで行った。
「どりゃぁあああ!!」
「ぐはっ!!」
ササビーさんが完全に投げられていた。
背負い投げで頭から前方に落とされる。綺麗な教科書通りの背負い投げであった。しかも、ササビーさんは受け身が取れていない。
だが、まだ意識は有るな。
「これで終わりだ!!」
グゲルグが倒れているササビーさんの片腕を取って胸元に引いた。そしてササビーさんの片腕と頭を両足で挟み込んだ。
三角締めだ。
「うぐぐぅ……」
両足の首四の字で締め付けられるササビーさんが顔を真っ赤にしながら踠いていた。
三角締めを外せそうにない。
俺は愕然としながら呟いた。
「う、羨ましい……。俺も一度で良いから女性に三角締めをされたいぞ。いいな~、あれは三角締めじゃあない、あれは幸せ固めだ!!」
苦しい顔のササビーさんがグゲルグの脚をポンポンっと叩いた。タップだ。ギブアップである。
『おお~~っと、ここでササビー選手のギブアップだ!!』
ササビーさんを三角締めから解放したグゲルグが立ち上がると、進行役のオッサンが勝者の腕を上げて勝利宣言をする。
『勝者、グゲルグ選手だ~~!!』
そのコールで観客が沸き上がる。
喧嘩祭り第一試合勝者、グゲルグ。
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