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【第20章】喧嘩祭り編
20-5【プログラム】
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どうやらペンスさんから聞いた話では、ガルマルの町の収穫祭は三日間行われるらしい。俺はその初日に、たまたまガルマルの町に到着したようだ。
そして、俺が腕試しとして参加しようと思っている喧嘩祭りのコーナーは、祭りの二日目に予選会のバトルロイヤルが行われ、祭りの最終日に決勝トーナメントが行われるらしい。
決勝トーナメントに進める人数は八名だ。予選は全員参加のバトルロイヤルなのだが、勝ち残った八名は、その晩に領主の屋敷に招かれて食事会を開くらしい。
どうやら、その食事会がキシリアお嬢様とのお見合いの席になるらしいのだ。
参加申込書に描かれていたキシリアお嬢様の似顔絵は可愛かった。金髪ツインテールで目がパッチリしたロリキャラだ。年齢は十五歳ぐらいに窺える。
「よ~し、これで申込は済んだぞ」
喧嘩祭りの申込みを済ませた俺はテント前に戻ってペンスさんと食事を取っていた。ペンスさんが焚き火を使ってスープを作ってくれたのだ。なので屋台で買ってきたガルマル饅頭と一緒に食べている。
「旨いな、このガルマル饅頭ってさ。中に豚肉とタケノコが入っているのか」
「それとニラとツクシも入っているんだぞ」
「ツクシなんか使ってるのかよ。ツクシを食べるのは初めてだ」
「この辺は山の幸が豊富に取れるからな」
「スープもキノコが満載だもんな~」
俺、あんましキノコは好きくないんだよね。まあ、残すほどでもないから食べるけれどさ。
「今朝、その辺で取ってきたばかりのキノコなんだぜ」
「あら、このキノコスープは旨々だな」
予想外だ。旨いキノコなんて初めてだ。意外と行けるな。
こうして俺たちは昼飯を青空の下で堪能した。食後直ぐにペンスさんは近くの小川でキノコスープを煮込んだ鍋を洗っている。
「なあ、ペンスさん。俺はちょっと喧嘩祭りの会場を下見してくるわ~」
「ちょっと待ちなよ。今、食器を洗ったら私も行くからさ」
「ペンスさんは試合に参加しないんだからいいだろ?」
「暇なんだよ。それに試合は観戦しに行くからさ。この収穫祭の醍醐味だからね」
「じゃあ、早くして~」
俺はペンスさんが洗い物を済ませるのをマッタリとしながらまった。やがでペンスさんは食器などを洗い終わってテントに片付ける。
「よし、じゃあ会場でも見に行こうか、アスラン君」
「おうよ」
それから俺たち二人は喧嘩祭りの会場に入った。会場は思ったよりも立派な物だった。
擂鉢状の丘の中心に四角い石畳が敷かれて闘技場が作られている。闘技場の広さは20メートル四方ぐらいだろうか。結構広いな。
四角いノーロープのリングだ。天下一な武道会が開催出来そうなステージである。
その闘技場の正面に、見渡しの良い雛壇が作られていて、その中央に玉座が三つ並んでいる。たぶんあそこに領主夫婦とキシリアお嬢様が並んで観戦するのだろう。一般の観客は周囲の丘で観戦なのかな。
既にリングには何人かの男たちが上がって周囲を見回していた。喧嘩祭りの参加者なのだろうさ。俺と同じで下見に来たのだろうか。
俺も石作りの闘技場に登ってみた。石畳の高さは1メートルぐらいかな。流石に大きさが20メートルほどもあると、かなり広く感じられる。
「かなり広いな」
俺の呟きを聞いたペンスさんが言う。
「でも、予選のバトルロイヤルで、ここに五十人ぐらいが上がるんだよ。その時は狭く感じるさ」
「予選会で五十人か」
「あんまり参加者が多すぎると、二組の二試合に別けられることもあるんだけど、最近は一試合がほとんどさ」
「なんでだ?」
「ここ数年は決勝トーナメントに上がるメンバーが決まっているからな。だから参加者も遠慮して、観戦に回ってるんだよ」
「そうなのか」
「それに、喧嘩祭りに参加していない者たちは、賭けに参加できるからな」
「賭け?」
「盗賊ギルドが主催して、賭けが開かれんだ。ただし、喧嘩祭りに参加している者や、その人物の身内は賭けに参加できないけれどな」
「如何様や、八百長防止なのね」
「そうだ」
「ならば、ペンスさんは、俺に全額賭けてみな。ボロ儲けさせてやるぜ」
「馬鹿言うな、小僧。俺は去年の優勝者ジオンググに賭けるって決めてるんだ」
「ジオンググ?」
「どんな野郎も一撃パンチで仕留めてしまう、拳豪だ。職業は農夫なんだが、腕力はピカイチなんだぜ」
「前回の優勝者で、今回の優勝候補か~」
「まだまだ強い男はたくさん居るんだぜ。連続拳のグフザク。気合いのズゴックス。巨漢のビグザムル。鍛冶屋のグゲルグ。それに今年は王都から騎士団のジェガン様も参加するとか噂されているんだ」
「王都の騎士団?」
「この町から王都に旅立った若者が騎士団まで登り積めたんだ。それがジェガン様だ」
「なるほどね。今年も腕に自信が有る野郎ばかりが参加するんだ」
「だから私はジオンググを本命に賭けて、押さえにジェガン様に賭けるのさ」
「ジェガンって野郎は騎士団員なのだろ。ならばそいつに賭けるのが本命じゃあないのか?」
何せ騎士団ならば、戦いのプロだもんな。
「しかしな~。剣技の対決ならば、ジェガン様だろう。でも、これは喧嘩祭りだ。剣技より拳だ。喧嘩だから、腕力と根性のある奴が勝ち残るんだよ」
「殺し合いと喧嘩は別物か」
「そうだ」
俺は1メートルある高さの石畳からジャンプしながら飛び降りた。その際に、高く飛んで膝を抱えながらクルクルと回ってから、今度は身体を伸ばして捻りを加えてから着地した。体操のムーンサルト気味に可憐なダイブを演じたのだ。
「わおっ……」
ペンスさんが目を剥いて驚いていた。俺は着地してから穏やかに言う。
「悪いことは言わないから、大穴で俺にも賭けて置いたほうがいいぜ。絶対に儲かるからさ」
「そ、そうだな。少し考えておくよ……」
よし、明日の予選が楽しみだな。可愛子ちゃんのために、ちょっと張り切っちゃおうかな~。
そして、俺が腕試しとして参加しようと思っている喧嘩祭りのコーナーは、祭りの二日目に予選会のバトルロイヤルが行われ、祭りの最終日に決勝トーナメントが行われるらしい。
決勝トーナメントに進める人数は八名だ。予選は全員参加のバトルロイヤルなのだが、勝ち残った八名は、その晩に領主の屋敷に招かれて食事会を開くらしい。
どうやら、その食事会がキシリアお嬢様とのお見合いの席になるらしいのだ。
参加申込書に描かれていたキシリアお嬢様の似顔絵は可愛かった。金髪ツインテールで目がパッチリしたロリキャラだ。年齢は十五歳ぐらいに窺える。
「よ~し、これで申込は済んだぞ」
喧嘩祭りの申込みを済ませた俺はテント前に戻ってペンスさんと食事を取っていた。ペンスさんが焚き火を使ってスープを作ってくれたのだ。なので屋台で買ってきたガルマル饅頭と一緒に食べている。
「旨いな、このガルマル饅頭ってさ。中に豚肉とタケノコが入っているのか」
「それとニラとツクシも入っているんだぞ」
「ツクシなんか使ってるのかよ。ツクシを食べるのは初めてだ」
「この辺は山の幸が豊富に取れるからな」
「スープもキノコが満載だもんな~」
俺、あんましキノコは好きくないんだよね。まあ、残すほどでもないから食べるけれどさ。
「今朝、その辺で取ってきたばかりのキノコなんだぜ」
「あら、このキノコスープは旨々だな」
予想外だ。旨いキノコなんて初めてだ。意外と行けるな。
こうして俺たちは昼飯を青空の下で堪能した。食後直ぐにペンスさんは近くの小川でキノコスープを煮込んだ鍋を洗っている。
「なあ、ペンスさん。俺はちょっと喧嘩祭りの会場を下見してくるわ~」
「ちょっと待ちなよ。今、食器を洗ったら私も行くからさ」
「ペンスさんは試合に参加しないんだからいいだろ?」
「暇なんだよ。それに試合は観戦しに行くからさ。この収穫祭の醍醐味だからね」
「じゃあ、早くして~」
俺はペンスさんが洗い物を済ませるのをマッタリとしながらまった。やがでペンスさんは食器などを洗い終わってテントに片付ける。
「よし、じゃあ会場でも見に行こうか、アスラン君」
「おうよ」
それから俺たち二人は喧嘩祭りの会場に入った。会場は思ったよりも立派な物だった。
擂鉢状の丘の中心に四角い石畳が敷かれて闘技場が作られている。闘技場の広さは20メートル四方ぐらいだろうか。結構広いな。
四角いノーロープのリングだ。天下一な武道会が開催出来そうなステージである。
その闘技場の正面に、見渡しの良い雛壇が作られていて、その中央に玉座が三つ並んでいる。たぶんあそこに領主夫婦とキシリアお嬢様が並んで観戦するのだろう。一般の観客は周囲の丘で観戦なのかな。
既にリングには何人かの男たちが上がって周囲を見回していた。喧嘩祭りの参加者なのだろうさ。俺と同じで下見に来たのだろうか。
俺も石作りの闘技場に登ってみた。石畳の高さは1メートルぐらいかな。流石に大きさが20メートルほどもあると、かなり広く感じられる。
「かなり広いな」
俺の呟きを聞いたペンスさんが言う。
「でも、予選のバトルロイヤルで、ここに五十人ぐらいが上がるんだよ。その時は狭く感じるさ」
「予選会で五十人か」
「あんまり参加者が多すぎると、二組の二試合に別けられることもあるんだけど、最近は一試合がほとんどさ」
「なんでだ?」
「ここ数年は決勝トーナメントに上がるメンバーが決まっているからな。だから参加者も遠慮して、観戦に回ってるんだよ」
「そうなのか」
「それに、喧嘩祭りに参加していない者たちは、賭けに参加できるからな」
「賭け?」
「盗賊ギルドが主催して、賭けが開かれんだ。ただし、喧嘩祭りに参加している者や、その人物の身内は賭けに参加できないけれどな」
「如何様や、八百長防止なのね」
「そうだ」
「ならば、ペンスさんは、俺に全額賭けてみな。ボロ儲けさせてやるぜ」
「馬鹿言うな、小僧。俺は去年の優勝者ジオンググに賭けるって決めてるんだ」
「ジオンググ?」
「どんな野郎も一撃パンチで仕留めてしまう、拳豪だ。職業は農夫なんだが、腕力はピカイチなんだぜ」
「前回の優勝者で、今回の優勝候補か~」
「まだまだ強い男はたくさん居るんだぜ。連続拳のグフザク。気合いのズゴックス。巨漢のビグザムル。鍛冶屋のグゲルグ。それに今年は王都から騎士団のジェガン様も参加するとか噂されているんだ」
「王都の騎士団?」
「この町から王都に旅立った若者が騎士団まで登り積めたんだ。それがジェガン様だ」
「なるほどね。今年も腕に自信が有る野郎ばかりが参加するんだ」
「だから私はジオンググを本命に賭けて、押さえにジェガン様に賭けるのさ」
「ジェガンって野郎は騎士団員なのだろ。ならばそいつに賭けるのが本命じゃあないのか?」
何せ騎士団ならば、戦いのプロだもんな。
「しかしな~。剣技の対決ならば、ジェガン様だろう。でも、これは喧嘩祭りだ。剣技より拳だ。喧嘩だから、腕力と根性のある奴が勝ち残るんだよ」
「殺し合いと喧嘩は別物か」
「そうだ」
俺は1メートルある高さの石畳からジャンプしながら飛び降りた。その際に、高く飛んで膝を抱えながらクルクルと回ってから、今度は身体を伸ばして捻りを加えてから着地した。体操のムーンサルト気味に可憐なダイブを演じたのだ。
「わおっ……」
ペンスさんが目を剥いて驚いていた。俺は着地してから穏やかに言う。
「悪いことは言わないから、大穴で俺にも賭けて置いたほうがいいぜ。絶対に儲かるからさ」
「そ、そうだな。少し考えておくよ……」
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