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【第十五章】暗闇のハイランダーズ編

15-30【ハイランダーズのお引っ越し】

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【おめでとうございます。レベル43になりました!】

あっ、レベルアップしたよ。

「アスラン殿、いかがなされました?」

俺はパンナコッタに話し掛けられて我に戻る。

「いや、なんでもない」

「じゃあ、私を台座から抜いて、後ろの部屋に在る甲冑に戻してもらえませんか?」

「ああ、分かったよ」

俺はパンナコッタに言われるまま彼を台座から引き抜いた。

そしてアーティファクトドラゴンの背中に有る扉から外に出る。

「あそこの隅に私の甲冑がございますので──」

「ああ、これだな」

俺は壁に背を預けて腰かけるフルプレートの膝の上にパンナコッタの本体を置いた。

すると甲冑が動き出してパンナコッタの本体を手に取る。

「ふぅ~、アーティファクトドラゴンは強く成れた気が大きくなるのですが、痒いところに手が届かない感があって不便なんですよね~」

「あー、手が短いもんな」

俺とパンナコッタが話していると、ティラミスを担いだキャラメル師範が部屋に入って来た。

「どうやら勝敗が付いたようですな」

「おう、ティラミスにキャラメル師範か──。まあ、めでたくパンナコッタも仲間に入ってくれたから、皆して引っ越しだぞ」

「「「引っ越し?」」」

三名のハイランダーズが首を傾げた。

ああ、そうか。

こいつら俺が転送絨毯で閉鎖ダンジョン内を行き来しているのを知らないんだった。

「とりあえず仲間を全員ここに呼んで来てもらえないか、キャラメル師範」

「御意」

しばらくするとキャラメル師範が他のハイランダーズを連れて来る。

俺は崩れた壁の上に立って演説するように言った。

「えー、諸君。俺が君らの新しい主のアスランです。よろしく!」

するとハイランダーズがガシャガシャと拍手を奏でた。

ガントレットなのでパチパチと鳴らない。

「えー、まー、そこで、君たちには新しい住処に移ってもらいます」

俺の言葉を聞いたハイランダーズがざわつき始めた。

そりゃあそうだろうさね。

俺は異次元宝物庫から転送絨毯を取り出すと床に敷く。

「この絨毯はテレポーターだ。繋がってる先は地上の魔王城前だぜ」

するとハイランダーズが更にざわついた。

テレポーター、地上、魔王城。

そりゃあどよめくキーワードが多かろう。

ハイランダーズがざわついていると、キャラメル師範が訊いてきた。

「ち、地上に魔王城って……。アスラン殿は地上の魔王様なのですか!?」

「いやいや違う。魔王は500年も前に退治されてるらしいぞ。俺も魔王を見たことがない。ただ放置された魔王城を買い取り、その周辺に町を作ってるんだ」

「な、なるほど……」

「まあ、お前らも、その町の住人になってもらうってわけよ」

「「「「おお~~!」」」」

ハイランダーズから歓声にも似た声が上がった。

ハイランダーズのほとんどが地上に出たことがないと聞いている。だから歓喜しているのだろう。

「まあ、とりあえず引っ越しだ。荷物を纏めてここを出て行く準備をしてくれ。あと、ここに残りたいって奴がおるなら残ってもいいぞ。俺は止めないからさ」

俺の言葉にキャラメル師範が詰め寄って来る。

「いやいや、是非に地上に連れて行ってくだされ!!」

パンナコッタも続く。

「地上に出れると知っていれば、最初っから私だってアスラン殿に挑みなんてしませんでしたぞ!!」

「じゃあ早く荷物を纏めてこいよ。引っ越しの準備が出来た奴から地上に転送してやるからさ」

「「「「御意!!!」」」」

元気良く声を返した後にハイランダーズたちがダンジョンの奥に走って行く。

一人残ったパンナコッタが俺に訊いてきた。

「アスラン殿……」

「なんだ、パンナコッタ?」

「このアーティファクトドラゴンは、流石に持っていけないですよな。デカすぎるもん……」

「あー、このぐらいなら異次元宝物庫に入るだろうさ」

俺は試しに異次元宝物庫の扉をアーティファクトドラゴンの足元に、全開まで開いて見せた。

するとスッポリとアーティファクトドラゴンが異次元宝物庫内に落ちて行った。

「よし、入った」

「マジ!!」

パンナコッタが驚いているなかで、今度は異次元宝物庫内からエクレア嬢が話し掛けて来る。

「アスラン殿、ちょっとよろしいでしょうか?」

「なんだ、エクレア?」

「私たちも荷物を取りに行ってもいいでしょうか。私のスペアボディーもあるので」

「じゃあ、さっさと取りに行ってこいよ」

「御意」

俺は異次元宝物庫の扉を縦に開く。

中からはエクレア嬢を手に持ったバームとクーヘン兄弟が出て来た。

「「我々も引っ越ししてまいります」」

「ああ、それは構わんが、メイドたちの接合は進んでるか、ブラザーズ?」

「「はい、既に二体は接合に成功しております。あとはメイドたちが自力で接合作業を済ませられるでしょうぞ」」

「なるほど、サンキューな。バームとクーヘン兄弟」

「「へへ~」」

うわ!?

可愛らしく照れてやがるぞ、こいつら。

にやわねえ~。

そんな感じでハイランダーズの引っ越しが進んでいった。

地上の日が落ちる前には引っ越しも終わる。

こうして閉鎖ダンジョンの暗闇ハイランダーズエリアが空となる。

地上に初めて上がったハイランダーズは、太陽を見て、夕日を見て、星空を見て感動していた。

初めての野外だ。感じる物も俺とは違うのだろうさ。

俺ははしゃぐハイランダーズを見ながら考えていた。

剣豪のティラミス。

長槍のパンナコッタ。

炎剣氷剣のバームとクーヘン兄弟。

隼斬りのエクレア。

キャラメル師範。

タピオカ姫。

キャッサバ、スターチ、プディング、それに15名のハイランダーズ。

一気に戦士系の仲間が増えたぜ。

今や魔王城前の仲間もかなり増えている。

しかし亜種やモンスターが多い。

シルバーウルフファミリー。

ヒルダやプロ子たちメイド衆。

サイクロプスのミケランジェロ。

マッチョエルフ村の住人。

アインシュタインやビキニノームズ。

プロフェッサー・カイジナート。

マミーレイス婦人と亡霊大臣ズ。

ネクロ&ゴーレムマスターのハムナプトラとミミックちゃん。

あっ、無限合法ロリのガイアも人間じゃねえよな。あれはゴッドだ。

まあ、アンデッドが何人か混ざってる段階で、もう普通じゃあないよね。

人間の協力者よりも多いんだもの。これじゃあ本当に魔王城を作ってる見たいじゃあないか……。

てか、いっそのことだから魔王宣言でもしちゃおうかな?

でも、それだとウザイ勇者とかが攻めて来そうで嫌だわ~。

やはり最初のプラン通り、魔王城を観光アトラクションとしてオープンさせて、平和的に金を稼ぐのが一番町には良い営業方法だろうさ。

よし、このまま善なるモンスターを集めてみるか。

次は死海のクラーケンエリアだっけ……。

流石にタコだかイカだか分からないモンスターは仲間に出来ないか……。






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