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【第十四章】太陽のモンスター編。
14-39【笑いを誘う】
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俺はジャイアントサンライズを倒した日の夜をボルトン男爵の小さな屋敷で過ごした。
小さな屋敷だが客間は在ったので世話になったのだ。
晩飯はメイドさんが作ってくれた。
メイドさんは村の若い女性で、ボルトン男爵が村に派遣されて来た時から家事掃除を支えているらしい。
素朴だが気立ての良い女性だと思った。
美人か美人じゃあないかと言えば、それには触れないことにする。
人の好みによるだろう。
俺は嫌いではない。
そして、彼女も食事を一緒のテーブルで取っていたし、親しくボルトン男爵と会話を弾ませていた。
ジャイアントサンライズを三つも解体しなければならないとか、しばらく忙しくなるとかを楽しそうに話している。
それにたまに俺の顔を見ると「ぷぷっ」て可愛く笑うのだ。
何故だろう?
まあ、とにかく、和気藹々だな。
まるで二人は夫婦のように見えた。
たぶんこの二人は数年以内に結婚するなっと思ったぜ。
うんうん、間違い無いだろうさ。
そして俺は、その晩を狭い客間で寝ることになった。
「狭い……」
本当に狭い部屋だった……。
四畳半ぐらいの部屋に、ベッドとクローゼットが一つあるだけの小部屋である。
たぶんこの村には、ほとんど客人なんて来ないんだろうな。
「いくらなんでも当主の家の客間がこの程度って可笑しいだろ……」
流石は倹約家だぜ。
ベッドに腰かけた俺は、愚痴りながらステータス画面を開いて新スキルをチェックする。
さてさて、今回はどんな新スキルを習得したかな~。
んん~、定番の二つかぁ~。
まあ、そんなもんだろ。
では、一つ目は──。
【リローデッドスピードLv1】
弩系武器の再装填が速くなる。
なるほどね~。
クロスボウなどの速打ちが可能になったのかな。
いや、そこまで速打ちってわけではないかな~。
でも、ガンガンと再装填できるんだろ。
それは有難い話だな。
よし、次は~。
【熱波耐久Lv1】
暑い気候での生存率が向上して、暑い環境下でも涼しく過ごせる。
なんじゃいそれ……。
炎耐性スキルとは違うのかよ?
ちょっと意味ワカメだわ……。
まあ、今回はこんなもんかな~。
ちょっと冴えなくて寂しい感じもするが、まあいいかぁ~。
よし、寝るぞ。
明日は朝食を頂いたらゴモラタウンに帰ろっと~。
そして俺はベッドに潜り込むと一瞬で睡魔に襲われた。
あれだけの灼熱地獄の戦いだったから、相当なカロリーを消費していたのだろう。
だいぶ疲れた感覚がある。
少し痩せた感じもするしね。
まあ、とにかく寝よう。
そして、あっと言うまに朝が来た。
俺が朝食を頂いて村を旅立とうとすると、ボルトン男爵や村人たちが見送りに来てくれた。
皆が白装束だった。
訊けばこれから仕事に出る人や、徹夜で解体作業をしていた者もいるらしい。
本当にこの村の人々は働き者が多いよね。
マジで偉い偉い。
でも、何故だろう。
村人たちが俺を見て「ぷぷっ」て笑ってやがる。
フレンドリー効果かな?
「じゃあな、アスラン殿。良い旅を──。……ぷっ」
また、笑った。
「ボルトン男爵、あんたもな。学校が早く出来るといいな」
「それももう少しだ」
ボルトン男爵が白装束頭巾の下で微笑んだ。
明るくって良い笑みである。
「またジャイアントサンライズが逃げ出したら、俺を呼んでくれよ。また退治してやるからよ」
「いや、次は柵に戻せるように何か作戦を立てるよ。いつまでも逃げたから殺すってわけにもいかんだろ」
「あー、確かに……」
ならば俺の仕事はここまでかな──。
それはそれで寂しいが、当然だろう。
納得できる。
「じゃあ俺は行くぜ、またな~」
俺は異次元宝物庫から金馬のトロフィーを出すとアキレスに変化させて跨がった。
ボルトン男爵と村人たちに大きく手を振るとアキレスを走らせる。
そして、ゴモラタウンを目指す。
あとはワイズマンが預かってる500000Gを受け取ってミッション完了である。
そして俺は日が沈む前の夕暮れにゴモラタウンに到着した。
俺はワイズマンの屋敷を目指す。
「これはこれはアスラン様。お帰りなさいませ。……ぷっ」
俺がワイズマンの屋敷に到着すると、玄関前で執事の爺さんが待っていた。
何故だ?
何故に爺さんまで笑う?
俺はアキレスから降りると執事の爺さんに問う。
「なに、わざわざ俺を出迎えか?」
「いえいえ、まさか──。……ぷっ」
デスよね~。
違うらしい……。
てか、今笑ったよね?
「旦那様と奥様が、もう間も無く帰宅するのでお待ちしているのです」
「すげー、忠義だな~」
「執事でありますから」
「すまん、俺は中で待たせてもらうぜ。ワイズマンから依頼の成功報酬を貰いたいんでね」
「畏まりました。……ぷっ」
すると執事の爺さんは「ぷっ」と笑ったあとに、屋敷内へ声を掛ける。
「誰か、アスラン様を案内して差し上げなさい」
執事の辞意さんの呼び掛けに一人のメイドさんが現れると俺を屋敷の中に案内する。
メイドさんも俺の顔を見るなり「ぷっ」と笑った。
しかし直ぐに冷静を気取り直す。
もちろんながら何度もお邪魔している屋敷だから案内なんて要らないけれど、メイドさんの後ろ姿が可愛かったので見とれてしまっていた。
「メイド服って、ラブリー……」
俺の前を歩いていたメイドさんが振り返る。
そして不思議そうな表情で言った。
「アスラン様、何かおっしゃいましたか。……ぷっ」
振り返ったメイドさんが質問のあとに「ぷっ」て笑った。
「いや、なんでもないよ……」
やべ、今のような独り言を聞かれたら、変態と勘違いされてまうわ……。
気をつけなければ……。
てか、今さ、笑ったよね?
そして俺は応接間に案内されると出されたお茶を啜りながらワイズマンを待った。
お茶を運んで来た別のメイドさんも俺を見て「ぷっ」と笑った。
何故だろう?
それにしても──。
「暇だ~。たまには漫画とか読みたいな~。誰か漫画が描ける異世界転生人とかが活躍してないかな~」
そんな話しも噂も聞いたことが無い。
可能性は皆無だろう。
しばらくすると執事の爺さんが応接間に顔を出す。
「失礼します、アスラン様」
「おっ、ワイズマンが帰ったか?」
執事の爺さんは申し訳無さそうに述べた。
「大変申し訳ありません、アスラン様……」
あれ、気まずそうだな?
なんか笑いを堪えているようにも見えるしさ。
「どうしたん?」
「旦那様はお城におられまして、まだ帰らぬとのことです……」
「あらら、そうなの?」
「更に、当主のベオウルフ様がアスラン様をお呼びとか……。お城から馬車がお迎えに来ております」
「馬車が?」
んんー、何か俺にようかな?
てか、ベオウルフってポラリスの親父さんだよな。
あの短気でグダグタと小五月蝿い髭オヤジだよな。
うぜーなー、行きたくないなー……。
更に執事の爺さんが言う。
「なんでも何やら仕事の依頼があるようです。……ぷっ」
今さ、顔を反らしながら笑ったよね?
絶対に笑ったよね?
「仕事の依頼だって?」
ならば行くしかないだろう。
俺をご指名で仕事の依頼が来るのなら、それを無視することは出来ないだろうさ。
俺は頼られたら無視できないのだ。
自称いい人だ。
「よし、分かった。それじゃあ行ってくるよ」
「行ってらっしゃいませ、アスラン様。……ぷぷっ」
執事の爺さんは深々とお辞儀をして俺を見送った。
でも、完全に最後は笑ってたよね?
何故だろう?
俺は黒い貴族馬車に乗り込んだ。
「ベルセルクにベオウルフかぁ~」
俺は馬車にゆられながら独り言を呟く。
「さて、次の依頼はどんなかな~。今は金を稼がないとならんからな。とにかく働くしかないか~」
俺が馬車の窓から外を見ると、丁度城門をくぐるところだった。
遠くを見れば、懐かしい城が夜の空に浮き上がって見える。
ゴモラタウンの城だ。
今回の救いは、あの城にポラリスが居無いことだろう。
現在ポラリスはソドムタウンで領主をやっているはずだ。
でも、この時に俺は、ポラリス以上の怪物がこの城に待ち受けているとも想像すらしていなかった。
待っているのは、怪物幼女である。
そして、俺は何気無く頭を触った。
それで気付く──。
「あーー、髪の毛がねえーー!!」
完全に忘れてたぜ!!
髪の毛が焼け落ちているのを!!
ここで皆が笑っていた理由に、やっとこさ気付いたのである。
「まあ、ウケてるなら、いいかな……」
小さな屋敷だが客間は在ったので世話になったのだ。
晩飯はメイドさんが作ってくれた。
メイドさんは村の若い女性で、ボルトン男爵が村に派遣されて来た時から家事掃除を支えているらしい。
素朴だが気立ての良い女性だと思った。
美人か美人じゃあないかと言えば、それには触れないことにする。
人の好みによるだろう。
俺は嫌いではない。
そして、彼女も食事を一緒のテーブルで取っていたし、親しくボルトン男爵と会話を弾ませていた。
ジャイアントサンライズを三つも解体しなければならないとか、しばらく忙しくなるとかを楽しそうに話している。
それにたまに俺の顔を見ると「ぷぷっ」て可愛く笑うのだ。
何故だろう?
まあ、とにかく、和気藹々だな。
まるで二人は夫婦のように見えた。
たぶんこの二人は数年以内に結婚するなっと思ったぜ。
うんうん、間違い無いだろうさ。
そして俺は、その晩を狭い客間で寝ることになった。
「狭い……」
本当に狭い部屋だった……。
四畳半ぐらいの部屋に、ベッドとクローゼットが一つあるだけの小部屋である。
たぶんこの村には、ほとんど客人なんて来ないんだろうな。
「いくらなんでも当主の家の客間がこの程度って可笑しいだろ……」
流石は倹約家だぜ。
ベッドに腰かけた俺は、愚痴りながらステータス画面を開いて新スキルをチェックする。
さてさて、今回はどんな新スキルを習得したかな~。
んん~、定番の二つかぁ~。
まあ、そんなもんだろ。
では、一つ目は──。
【リローデッドスピードLv1】
弩系武器の再装填が速くなる。
なるほどね~。
クロスボウなどの速打ちが可能になったのかな。
いや、そこまで速打ちってわけではないかな~。
でも、ガンガンと再装填できるんだろ。
それは有難い話だな。
よし、次は~。
【熱波耐久Lv1】
暑い気候での生存率が向上して、暑い環境下でも涼しく過ごせる。
なんじゃいそれ……。
炎耐性スキルとは違うのかよ?
ちょっと意味ワカメだわ……。
まあ、今回はこんなもんかな~。
ちょっと冴えなくて寂しい感じもするが、まあいいかぁ~。
よし、寝るぞ。
明日は朝食を頂いたらゴモラタウンに帰ろっと~。
そして俺はベッドに潜り込むと一瞬で睡魔に襲われた。
あれだけの灼熱地獄の戦いだったから、相当なカロリーを消費していたのだろう。
だいぶ疲れた感覚がある。
少し痩せた感じもするしね。
まあ、とにかく寝よう。
そして、あっと言うまに朝が来た。
俺が朝食を頂いて村を旅立とうとすると、ボルトン男爵や村人たちが見送りに来てくれた。
皆が白装束だった。
訊けばこれから仕事に出る人や、徹夜で解体作業をしていた者もいるらしい。
本当にこの村の人々は働き者が多いよね。
マジで偉い偉い。
でも、何故だろう。
村人たちが俺を見て「ぷぷっ」て笑ってやがる。
フレンドリー効果かな?
「じゃあな、アスラン殿。良い旅を──。……ぷっ」
また、笑った。
「ボルトン男爵、あんたもな。学校が早く出来るといいな」
「それももう少しだ」
ボルトン男爵が白装束頭巾の下で微笑んだ。
明るくって良い笑みである。
「またジャイアントサンライズが逃げ出したら、俺を呼んでくれよ。また退治してやるからよ」
「いや、次は柵に戻せるように何か作戦を立てるよ。いつまでも逃げたから殺すってわけにもいかんだろ」
「あー、確かに……」
ならば俺の仕事はここまでかな──。
それはそれで寂しいが、当然だろう。
納得できる。
「じゃあ俺は行くぜ、またな~」
俺は異次元宝物庫から金馬のトロフィーを出すとアキレスに変化させて跨がった。
ボルトン男爵と村人たちに大きく手を振るとアキレスを走らせる。
そして、ゴモラタウンを目指す。
あとはワイズマンが預かってる500000Gを受け取ってミッション完了である。
そして俺は日が沈む前の夕暮れにゴモラタウンに到着した。
俺はワイズマンの屋敷を目指す。
「これはこれはアスラン様。お帰りなさいませ。……ぷっ」
俺がワイズマンの屋敷に到着すると、玄関前で執事の爺さんが待っていた。
何故だ?
何故に爺さんまで笑う?
俺はアキレスから降りると執事の爺さんに問う。
「なに、わざわざ俺を出迎えか?」
「いえいえ、まさか──。……ぷっ」
デスよね~。
違うらしい……。
てか、今笑ったよね?
「旦那様と奥様が、もう間も無く帰宅するのでお待ちしているのです」
「すげー、忠義だな~」
「執事でありますから」
「すまん、俺は中で待たせてもらうぜ。ワイズマンから依頼の成功報酬を貰いたいんでね」
「畏まりました。……ぷっ」
すると執事の爺さんは「ぷっ」と笑ったあとに、屋敷内へ声を掛ける。
「誰か、アスラン様を案内して差し上げなさい」
執事の辞意さんの呼び掛けに一人のメイドさんが現れると俺を屋敷の中に案内する。
メイドさんも俺の顔を見るなり「ぷっ」と笑った。
しかし直ぐに冷静を気取り直す。
もちろんながら何度もお邪魔している屋敷だから案内なんて要らないけれど、メイドさんの後ろ姿が可愛かったので見とれてしまっていた。
「メイド服って、ラブリー……」
俺の前を歩いていたメイドさんが振り返る。
そして不思議そうな表情で言った。
「アスラン様、何かおっしゃいましたか。……ぷっ」
振り返ったメイドさんが質問のあとに「ぷっ」て笑った。
「いや、なんでもないよ……」
やべ、今のような独り言を聞かれたら、変態と勘違いされてまうわ……。
気をつけなければ……。
てか、今さ、笑ったよね?
そして俺は応接間に案内されると出されたお茶を啜りながらワイズマンを待った。
お茶を運んで来た別のメイドさんも俺を見て「ぷっ」と笑った。
何故だろう?
それにしても──。
「暇だ~。たまには漫画とか読みたいな~。誰か漫画が描ける異世界転生人とかが活躍してないかな~」
そんな話しも噂も聞いたことが無い。
可能性は皆無だろう。
しばらくすると執事の爺さんが応接間に顔を出す。
「失礼します、アスラン様」
「おっ、ワイズマンが帰ったか?」
執事の爺さんは申し訳無さそうに述べた。
「大変申し訳ありません、アスラン様……」
あれ、気まずそうだな?
なんか笑いを堪えているようにも見えるしさ。
「どうしたん?」
「旦那様はお城におられまして、まだ帰らぬとのことです……」
「あらら、そうなの?」
「更に、当主のベオウルフ様がアスラン様をお呼びとか……。お城から馬車がお迎えに来ております」
「馬車が?」
んんー、何か俺にようかな?
てか、ベオウルフってポラリスの親父さんだよな。
あの短気でグダグタと小五月蝿い髭オヤジだよな。
うぜーなー、行きたくないなー……。
更に執事の爺さんが言う。
「なんでも何やら仕事の依頼があるようです。……ぷっ」
今さ、顔を反らしながら笑ったよね?
絶対に笑ったよね?
「仕事の依頼だって?」
ならば行くしかないだろう。
俺をご指名で仕事の依頼が来るのなら、それを無視することは出来ないだろうさ。
俺は頼られたら無視できないのだ。
自称いい人だ。
「よし、分かった。それじゃあ行ってくるよ」
「行ってらっしゃいませ、アスラン様。……ぷぷっ」
執事の爺さんは深々とお辞儀をして俺を見送った。
でも、完全に最後は笑ってたよね?
何故だろう?
俺は黒い貴族馬車に乗り込んだ。
「ベルセルクにベオウルフかぁ~」
俺は馬車にゆられながら独り言を呟く。
「さて、次の依頼はどんなかな~。今は金を稼がないとならんからな。とにかく働くしかないか~」
俺が馬車の窓から外を見ると、丁度城門をくぐるところだった。
遠くを見れば、懐かしい城が夜の空に浮き上がって見える。
ゴモラタウンの城だ。
今回の救いは、あの城にポラリスが居無いことだろう。
現在ポラリスはソドムタウンで領主をやっているはずだ。
でも、この時に俺は、ポラリス以上の怪物がこの城に待ち受けているとも想像すらしていなかった。
待っているのは、怪物幼女である。
そして、俺は何気無く頭を触った。
それで気付く──。
「あーー、髪の毛がねえーー!!」
完全に忘れてたぜ!!
髪の毛が焼け落ちているのを!!
ここで皆が笑っていた理由に、やっとこさ気付いたのである。
「まあ、ウケてるなら、いいかな……」
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