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【第十三章】魔王城攻略編
13-30【巨漢オークグールとの決戦】
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巨漢オークグールの登場に俺の心はワクワクと踊っていた。
何故ならば、そいつが装備している黒いフルプレートがマジックアイテムだからだ。
しかも、高品質っぽい。
グールが着込んでいるのに傷一つ無い輝きと艶。
漆黒だが細やかな装飾が存分に施されたフレーム。
それにオークに似合わない赤いマント。
明らかに業物で値打ち物だ。
要するに、一目で高価な甲冑だと分かる。
だから是非に欲しい。
「グルグルグルゥ……」
そして、唸る巨漢オークグールはグレートアックスを装備している。
柄の長い戦斧だ。
それは大きいだけで普通の武器だ。
マジックアイテムでは無い。
だから、あまり興味が湧かないわん。
「グルグルグルゥ……」
ノシリと前に出る巨漢オークグール。
その一歩の動きで体重の重さが鑑みれた。
スピードはトロそうだが、逆にパワーは有りそうだ。
ならばスピードで翻弄するか──。
俺は周囲を見渡した。
まずは足場が悪いな。
周り一面に、先程倒したばかりのオークグールやゴブリングールの死体がたくさん転がっている。
巨漢オークグールは、それらを踏みつけながらヨタヨタと近寄って来る。
これでは足場が悪くて走ったり飛んだりするのに邪魔だろう。
ならば──。
「ファイアーボール!」
俺は巨漢オークグールの足元にファイアーボールを撃ち込んだ。
爆炎が巨漢オークグールを包むと同時に周囲の死体を吹き飛ばした。
オークグールやゴブリングールの死体が壁際まで吹き飛ぶ。
「よし、これで土俵が完成したぞ」
「グルグルグルゥ……」
爆煙の中から巨漢オークグールが歩み出て来た。
その姿は無傷だ。
「ちっ、やっぱりその鎧か……」
これで分かったことがある。
あの鎧には高度な魔法防御効果が有るぞ。
ますます欲しくなってきたぜ。
本当に俺の欲を沸き立たせてくれるな。
「よし、行くぜ!」
「グルグルグルゥ……」
俺はダッシュしながら魔法を放った。
「ファイアーシャード!」
炎の飛礫が巨漢オークグールの顔面目掛けて飛んで行くが、命中する寸前で消えてしまう。
やはり効かない。
だが、目眩ましには十分だろう。
俺は跳躍してから巨漢オークグールの顔面に鍵爪を突き立てた。
巨漢オークグールが被っているヘルムは顔面部分がTの字に開いている。
俺はそこを狙った。
「もらった!!」
だが、巨漢オークグールがグレートアックスを勢い良く振り上げる。
その上げられたグレートアックスの柄が、眼前に飛び迫る俺の股間を下から打ったのだ。
「うごっ!!」
俺の脳内にキーーンっと音が鳴る。
「き、金的を打たれた!?」
それだけでない。
俺の体は4メートルほど有る天井まで飛ばされて頭を打ち付ける。
「ふごっ」
なんたるパワーだ。
それに移動速度は遅いが攻撃速度は速いじゃんか。
そして、打ち上げられた俺が落ちて来るところをグレートアックスで横振りに殴られる。
まるで野球のような力強いバッティングホームでだ。
「グルッ!!」
「のぉわああああ!!」
大型戦斧で打たれた俺は、何とかインセクトクローナックルと左腕の鉄腕でガードが出来ていた。
ほとんどたまたまの偶然だ。
しかし、死体で出来た土俵の輪から飛ばされて、数メートルほど転がった。
「うはっ……」
舐めていた……。
うっ、内蔵が弾んで気持ち悪い……。
畜生……。
俺はフラフラと立ち上がる。
巨漢オークグールのほうを見れば、死体の輪から出て俺を追って来るところだった。
予想外だ……。
こいつ、強いぞ……。
グールで巨漢の癖に反応が速い。
ならば、今度こそ!
俺はダガーを一本抜くと全力ホームで投擲した。
狙いは顔面。
そして、飛翔したダガーが見事にTの字ゾーンの除き穴に命中した。
オークグールの眉間に俺の投げたダガーが突き刺さっている。
だが、巨漢オークグールは気にもせず突っ込んで来た。
怯んでもいないし、突進の勢いも緩んでいない。
顔面にダガーが突き刺さったままにだ。
「当たりが浅かったか!?」
「グルグルグルゥ!!」
巨漢オークグールが振りかぶったグレートアックスを真っ直ぐ縦に振り下ろす。
俺は片足を軸に体を軽く横にずらしただけで大型戦斧の兜割りを躱した。
俺の眼前を過ぎた斧刀が石作の床に、激音と共に深々と突き刺さった。
グラリと周囲が揺れる。
だが、俺は冷静な眼でオークグールを睨み付けた。
視線を僅かにも反らさない。
「それっ!!」
攻撃で体が前のめりになった巨漢オークグールに、俺は熊手で反撃を仕掛ける。
ヘルムと胸当ての隙間に鍵爪を滑り込ませた。
「地獄突きだ。喉をかっ切ってやる!!」
そして、ザクリとした感触が鉤爪の先から伝わってきた。
しかし、次の瞬間には俺の腕が動かなくなってしまう。
「なにっ!?」
この野郎!!
爪先が刺さったのに顎で熊手を挟んで固定しやがったぞ!!
「グルグルグル!!」
再び横に振りかぶられるグレートアックスが見えた。
「ヤバイ!!」
ダメージを感じさせないオークグールがグレートアックスを力強く振るった。
俺は熊手から自分の手を引き抜くと、振られたグレートアックスを紙一重でくぐって躱した。
俺の頭上を斧が過ぎる。
「この野郎……」
俺は距離を取るため後方に飛ぶ。
そして俺は、着地と同時に異次元宝物庫内に手を突っ込んだ。
「なんでもいいから武器をくれ!!」
見えないが何かを手渡された。
んん?
柔らかい?
俺は異次元宝物庫から手を引き抜いて、掌内の物を見た。
「ハンカチ?」
すると異次元宝物庫内からヒルダが答える。
『わたくしのパンツです』
「お前のパンティーは武器か!!」
俺は壁に向かって全力ホームでパンツを投げ捨てる。
『あ……』
「真面目な武器を寄越せ!!」
『はい、畏まりました……』
ヒルダの声は暗かった。
次に武器を出してくれたのは、いつもの亡者だった。
「サトウさん、サンキュー!」
武器は戦斧である。
【バトルアックス+1】
装備者のみ、この斧の重量軽減効果。
「斧には斧ってことか。まあ、これでいいや」
俺が戦斧を構える間に、巨漢オークグールが壁際に走って行く。
狙いは俺が投げたパンツだった。
「ヒルダのパンティーに誘き寄せられているのか!?」
どうやらヒルダのパンティーには亡者を引き寄せる特殊効果があるようだ。
案外と武器かも知れん……。
それは置いといて──。
俺はここぞとばかりに背後からオークグールへ斬り掛かった。
「もらったぜ!!」
「シャッ!!」
えっ!?
突然何かがオークグールのマント内から飛び出してくる。
「キョェエエエ!!」
ゴブリングール!?
マントの中に潜んでたのか!!
ゴブリングールのダガーの一突きが俺の顔面を狙う。
「くっ!!」
頬を切っ先がかすった。
ちょっぴり血が飛ぶ。
続いてパンツを手にした巨漢オークグールが、振り向きざまにグレートアックスを片手で振るった。
「のわわっ!!」
俺は腹を引っ込めて斧を躱す。
更にコンビネーションでパンツを握り締めた拳が飛んで来た。
これは躱せないぞ。
ヒット。
俺は黒い鉄小手を装着した拳で頬を殴り付けられた。
それでも当たりが浅く、俺は吹っ飛んだが倒れない。
「野郎……」
あれ、ゴブリングールが居ないぞ?
俺は後方に下がって周囲を見回した。
やはり居ない。
また、マントの中に隠れたか。
俺が消えたゴブリングールを探していると、パンツを鎧の隙間に押し込む巨漢オークグールが、少しずつ近寄ってきた。
その顔面にはダガーが突き刺さっており、喉にも熊手が突き刺さったままである。
厄介だ……。
この巨漢オークグールだけでも面倒臭いのに、おまけのゴブリングールまで潜んでやがる。
「ちっ……」
舌打ちしちゃったよ。
しゃあないか……。
俺は切られた頬の血を拭いながら言った。
「そろそろ本気で行きますかね」
俺は頭上まで翳した武器を前に振るうと、両手で戦斧を力強く構えた。
ここからが本気である。
何故ならば、そいつが装備している黒いフルプレートがマジックアイテムだからだ。
しかも、高品質っぽい。
グールが着込んでいるのに傷一つ無い輝きと艶。
漆黒だが細やかな装飾が存分に施されたフレーム。
それにオークに似合わない赤いマント。
明らかに業物で値打ち物だ。
要するに、一目で高価な甲冑だと分かる。
だから是非に欲しい。
「グルグルグルゥ……」
そして、唸る巨漢オークグールはグレートアックスを装備している。
柄の長い戦斧だ。
それは大きいだけで普通の武器だ。
マジックアイテムでは無い。
だから、あまり興味が湧かないわん。
「グルグルグルゥ……」
ノシリと前に出る巨漢オークグール。
その一歩の動きで体重の重さが鑑みれた。
スピードはトロそうだが、逆にパワーは有りそうだ。
ならばスピードで翻弄するか──。
俺は周囲を見渡した。
まずは足場が悪いな。
周り一面に、先程倒したばかりのオークグールやゴブリングールの死体がたくさん転がっている。
巨漢オークグールは、それらを踏みつけながらヨタヨタと近寄って来る。
これでは足場が悪くて走ったり飛んだりするのに邪魔だろう。
ならば──。
「ファイアーボール!」
俺は巨漢オークグールの足元にファイアーボールを撃ち込んだ。
爆炎が巨漢オークグールを包むと同時に周囲の死体を吹き飛ばした。
オークグールやゴブリングールの死体が壁際まで吹き飛ぶ。
「よし、これで土俵が完成したぞ」
「グルグルグルゥ……」
爆煙の中から巨漢オークグールが歩み出て来た。
その姿は無傷だ。
「ちっ、やっぱりその鎧か……」
これで分かったことがある。
あの鎧には高度な魔法防御効果が有るぞ。
ますます欲しくなってきたぜ。
本当に俺の欲を沸き立たせてくれるな。
「よし、行くぜ!」
「グルグルグルゥ……」
俺はダッシュしながら魔法を放った。
「ファイアーシャード!」
炎の飛礫が巨漢オークグールの顔面目掛けて飛んで行くが、命中する寸前で消えてしまう。
やはり効かない。
だが、目眩ましには十分だろう。
俺は跳躍してから巨漢オークグールの顔面に鍵爪を突き立てた。
巨漢オークグールが被っているヘルムは顔面部分がTの字に開いている。
俺はそこを狙った。
「もらった!!」
だが、巨漢オークグールがグレートアックスを勢い良く振り上げる。
その上げられたグレートアックスの柄が、眼前に飛び迫る俺の股間を下から打ったのだ。
「うごっ!!」
俺の脳内にキーーンっと音が鳴る。
「き、金的を打たれた!?」
それだけでない。
俺の体は4メートルほど有る天井まで飛ばされて頭を打ち付ける。
「ふごっ」
なんたるパワーだ。
それに移動速度は遅いが攻撃速度は速いじゃんか。
そして、打ち上げられた俺が落ちて来るところをグレートアックスで横振りに殴られる。
まるで野球のような力強いバッティングホームでだ。
「グルッ!!」
「のぉわああああ!!」
大型戦斧で打たれた俺は、何とかインセクトクローナックルと左腕の鉄腕でガードが出来ていた。
ほとんどたまたまの偶然だ。
しかし、死体で出来た土俵の輪から飛ばされて、数メートルほど転がった。
「うはっ……」
舐めていた……。
うっ、内蔵が弾んで気持ち悪い……。
畜生……。
俺はフラフラと立ち上がる。
巨漢オークグールのほうを見れば、死体の輪から出て俺を追って来るところだった。
予想外だ……。
こいつ、強いぞ……。
グールで巨漢の癖に反応が速い。
ならば、今度こそ!
俺はダガーを一本抜くと全力ホームで投擲した。
狙いは顔面。
そして、飛翔したダガーが見事にTの字ゾーンの除き穴に命中した。
オークグールの眉間に俺の投げたダガーが突き刺さっている。
だが、巨漢オークグールは気にもせず突っ込んで来た。
怯んでもいないし、突進の勢いも緩んでいない。
顔面にダガーが突き刺さったままにだ。
「当たりが浅かったか!?」
「グルグルグルゥ!!」
巨漢オークグールが振りかぶったグレートアックスを真っ直ぐ縦に振り下ろす。
俺は片足を軸に体を軽く横にずらしただけで大型戦斧の兜割りを躱した。
俺の眼前を過ぎた斧刀が石作の床に、激音と共に深々と突き刺さった。
グラリと周囲が揺れる。
だが、俺は冷静な眼でオークグールを睨み付けた。
視線を僅かにも反らさない。
「それっ!!」
攻撃で体が前のめりになった巨漢オークグールに、俺は熊手で反撃を仕掛ける。
ヘルムと胸当ての隙間に鍵爪を滑り込ませた。
「地獄突きだ。喉をかっ切ってやる!!」
そして、ザクリとした感触が鉤爪の先から伝わってきた。
しかし、次の瞬間には俺の腕が動かなくなってしまう。
「なにっ!?」
この野郎!!
爪先が刺さったのに顎で熊手を挟んで固定しやがったぞ!!
「グルグルグル!!」
再び横に振りかぶられるグレートアックスが見えた。
「ヤバイ!!」
ダメージを感じさせないオークグールがグレートアックスを力強く振るった。
俺は熊手から自分の手を引き抜くと、振られたグレートアックスを紙一重でくぐって躱した。
俺の頭上を斧が過ぎる。
「この野郎……」
俺は距離を取るため後方に飛ぶ。
そして俺は、着地と同時に異次元宝物庫内に手を突っ込んだ。
「なんでもいいから武器をくれ!!」
見えないが何かを手渡された。
んん?
柔らかい?
俺は異次元宝物庫から手を引き抜いて、掌内の物を見た。
「ハンカチ?」
すると異次元宝物庫内からヒルダが答える。
『わたくしのパンツです』
「お前のパンティーは武器か!!」
俺は壁に向かって全力ホームでパンツを投げ捨てる。
『あ……』
「真面目な武器を寄越せ!!」
『はい、畏まりました……』
ヒルダの声は暗かった。
次に武器を出してくれたのは、いつもの亡者だった。
「サトウさん、サンキュー!」
武器は戦斧である。
【バトルアックス+1】
装備者のみ、この斧の重量軽減効果。
「斧には斧ってことか。まあ、これでいいや」
俺が戦斧を構える間に、巨漢オークグールが壁際に走って行く。
狙いは俺が投げたパンツだった。
「ヒルダのパンティーに誘き寄せられているのか!?」
どうやらヒルダのパンティーには亡者を引き寄せる特殊効果があるようだ。
案外と武器かも知れん……。
それは置いといて──。
俺はここぞとばかりに背後からオークグールへ斬り掛かった。
「もらったぜ!!」
「シャッ!!」
えっ!?
突然何かがオークグールのマント内から飛び出してくる。
「キョェエエエ!!」
ゴブリングール!?
マントの中に潜んでたのか!!
ゴブリングールのダガーの一突きが俺の顔面を狙う。
「くっ!!」
頬を切っ先がかすった。
ちょっぴり血が飛ぶ。
続いてパンツを手にした巨漢オークグールが、振り向きざまにグレートアックスを片手で振るった。
「のわわっ!!」
俺は腹を引っ込めて斧を躱す。
更にコンビネーションでパンツを握り締めた拳が飛んで来た。
これは躱せないぞ。
ヒット。
俺は黒い鉄小手を装着した拳で頬を殴り付けられた。
それでも当たりが浅く、俺は吹っ飛んだが倒れない。
「野郎……」
あれ、ゴブリングールが居ないぞ?
俺は後方に下がって周囲を見回した。
やはり居ない。
また、マントの中に隠れたか。
俺が消えたゴブリングールを探していると、パンツを鎧の隙間に押し込む巨漢オークグールが、少しずつ近寄ってきた。
その顔面にはダガーが突き刺さっており、喉にも熊手が突き刺さったままである。
厄介だ……。
この巨漢オークグールだけでも面倒臭いのに、おまけのゴブリングールまで潜んでやがる。
「ちっ……」
舌打ちしちゃったよ。
しゃあないか……。
俺は切られた頬の血を拭いながら言った。
「そろそろ本気で行きますかね」
俺は頭上まで翳した武器を前に振るうと、両手で戦斧を力強く構えた。
ここからが本気である。
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