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【第五章】閉鎖ダンジョン前編

5-12【探索初日の戦利品】

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俺が閉鎖ダンジョンから地上に戻ると、出入り口側で待っていたパーカーさんが迎え入れてくれた。

「よう、勇者様のお帰りだな」

「ただいま、パーカーさん」

俺が閉鎖ダンジョンから出ると、パーカーさんが出入り口の鉄扉を閉めて施錠する。

これで今日の冒険は終了だ。

「どうだい、成果はあったかい?」

「ぼちぼちかな。思った以上に複雑で広いダンジョンだよ。おそらく今日回っただけだと、1/100ぐらいも回っていないかも知れないや」

「だろうな、今まで数多くの冒険者が挑んでは朽ちて行った伝説の大ダンジョンだからな。そうそう攻略できたならば苦労もしないぜ」

「ところでスパイダーさんは、どうなったの?」

「上に居るぜ……」

なんだかパーカーさんの態度が微妙である。

まだ伝染屁は止まってないのかな?

「まだ、あの屁はとまらないのか?」

「まあ、見てやってくれ……」

俺たち二人が上の階に戻ると椅子に縛られたスパイダーさんの姿があった。

猿轡をされて項垂れている。

その尻からはプリップリップリッと軽快に音が奏でられていた。

「うん、止まってないな……。ガス漏れ全快中か……」

「この屁はどうしたもんかね……?」

「とりあえず神官さんに見せたらどう?」

「あー、呪いって可能性もあるか。じゃあ、俺は城の神官さんのところに行って来るわ」

「いやいや、ちょっとまってよパーカーさん」

「なんだ?」

「俺、お腹が空いてるんだけど?」

「飯なら勝手に作って食えよ」

「俺は飯が作れない。目玉焼きから怪鳥をふかさせるほどの料理音痴だ」

「それはある意味で凄いぞ……」

そうなのだ。

いつもスカル姉さんが作ってくれた飯や、冒険者ギルドの酒場で飯を食っている。

冒険中は、保存食を噛りながら過ごしているのだ。

俺には飯を作るっていう技術を覚える気すらないのである。

「あー、じゃあ、先に飯にするか~」

「有り難うございますダ!」

その間もスパイダーさんは項垂れながら、死人のように振る舞っていた。

尻からはプリプリと屁の音が続いている。

俺はパーカーさんが作ってくれた不味い飯を食べた後に部屋に戻った。

そして、今日閉鎖ダンジョンで手に入れたマジックアイテムを異次元宝物庫から出すと、床へ綺麗に並べた。

今日の冒険で拾ったマジックアイテムのラインナップはこれである。

ショートソード、ウォーハンマー、バックラー、方位磁石、ブラックオニキスの原石。

これの他に魔法のスクロールが三枚だ。

まあ、そこそこの戦利品だろう。

じゃあ、まずはショートソードから鑑定してみる。

【ショートソード+1】
攻撃力が向上する。

うん、まあこんなものかな。

ノーマルのショートソードよりましだよね。

それにガーゴイルみたいにマジックアイテムしか効かないモンスターもいるみたいだしな。

まあこれでショートソードもマジックアイテムになったぞって感じである。

続きましてはウォーハンマーだ。

【ウォーハンマー+2】
マジックトーチが一回使える。ウェポンスマッシュが一回使える。

んん~?

新しいパターンのマジックアイテムだな。

スキルが使えるのかね?

まあ、これはこれで良しとしとこう。

続きましてはバックラーだ。

腕に結び付ける小さな盾だわ。

【バックラー+1】
魔法耐久が向上する。

ん~、魔法の耐久性の向上なのかな?

まあ、ありがたく使わせてもらいますわ。

続きましては、謎の方位磁石ですね。

なんか役に立つようなマジックアイテムだと良いのだが。

【敵意の方位磁石】
半径10メートル以内に敵意を持った者が近付くと、その方向に針が指される。

おお、面白い効果だな。

これはいろいろと使えそうだわ。

最後はブラックオニキスの原石ですね~。

【魔法爆弾の原石】
何かにぶつけて砕かれると爆発を起こす。爆発すると原石は砕けて失われる。

おおう!

一発限りの爆弾攻撃ですな。

これは取って置きだから使いどころに悩んでしまって倉庫の肥やしになりかねないアイテムだぜ。

悩まずに出来るだけ使っていこうか。

さーて、今度は魔法のスクロールですよ~。

今回は三枚もあるから楽しみだわ~。

どれどれ、一枚目は~と?

【魔法マジックアローLv1】
攻撃力は小。光属性。射程距離15メートルの飛翔体魔法。一日に撃てる回数は、魔法レベル分だけ撃てる。

ぐふっ!

まさか、かぶるなんて……。

そうか、かぶるってパターンもありますよね。

当然か……。

しゃあないね、これはワイズマンに売ってもらおうか。

まだ、スクロールは二枚もあるから、新魔法は覚えられるさ。

次々~。

【魔法ファイアーエンチャントウェポンLv1】
武器に火属性の効果を与える。効果時間は5分。一日に使用できる回数は、魔法レベル分だけ使用可能。

おおう、これはなかなかの魔法をゲットしたぜ。

これなら戦闘で役に立つな。

よーし、最後の一枚だ!

【魔法ピュアヒールLv1】
傷に接触しながら使用すると小回復させる。他人にも使用出来る。一日に使用出来る回数は、魔法レベル分だけ使用可能。

よーし、ヒールをゲットだぜ!

これで、もっともっと戦えるかな。

うんうん、なかなか悪くない戦利品だったわい。

初日にしては良い感じだったからな。

屁、以外は……。

ちょっとスパイダーさんの様子でも見に行くか。

「んーー!! んーーー!!!」

あれ、猿轡されたスパイダーさんが暴れているぞ?

何かあったのかな?

「パーカーさん、どうしたの?」

「あのな、神官様に相談したら、何か悪いものに憑かれているかも知れないから教会まで連れて来てくれって頼まれてよ」

「あー、じゃあ俺も手伝おうか。そもそも俺の屁だったしさ」

「わるいな、アスランくん」

「いえいえ、最初は俺に憑いて来た屁の霊ですから」

「んんんんん!!!!」

プリッ、プリッ、プリッ……。

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