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【第五章】閉鎖ダンジョン前編
5-6【根回し】
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そこは右も左も豪華絢爛なロビーだった。
屋敷全体が豪華なのである。
金色に輝く甲冑の置物に、畳み一枚分もあるモッチリワイズマンの肖像画。
床のカーペットは情熱的に真っ赤だし、高い天井からは鮮やかなシャンデリアがキラキラとぶら下がっていやがる。
ロビーの広さだけで、俺がベルセルクから借りた部屋の数十倍はありそうであった。
なんだろう、世界って不平等だよね。
スカル姉さんの下宿が犬小屋に見えてきた。
あー、なんだかな~。
なんか火を付けたくなって来たわ。
そんな感じで俺がプチ絶望を味わっていると、二階の廊下からワイズマンが姿を現した。
「いや~、マヌカハニーくん、遅かったね。そんなに仕事に手間取っていたのかい~?」
優雅にワイングラスを片手に持ったワイズマンは俺の姿を確認していなかった。
おそらくマヌカハニーが俺を連れて来るとは思ってもいなかったのだろう。
そんなことよりだ。
ワイズマンの姿に問題があった。
俺はそれを苦言してやる。
「ワイズマンのおっさん。なんでお前さんは、ブラジャーにパンティー姿なんだ?」
「はっ!?」
俺の声を聞いて驚くワイズマンが、女性物の下着姿を両手で慌てて隠した。
勿論ながら、隠しきれていないがな。
「な、なんでアスランくんがここにいるのだ!?」
「仕事でゴモラタウンに来たんだよ」
「ちょ、ちょっと待ってなさい!」
慌てて部屋に戻ったワイズマンが白いバスローブを羽織って戻って来ると、わざとらしい笑みで言い訳を述べる。
「いやいや~、失礼したね……。マヌカハニーくんだけかと思ったから、ついついいつものオープンな格好で出てきてしまったよ……」
「いやいや、マヌカハニーさんに失礼だろ。あれは完全にセクハラだぞ」
「私は慣れていますから、構いませんよ」
「何故に慣れた!?」
「最近ワイズマン様がソドムタウンに遊びに行くようになってから、異変が多くて心配していたのですがね。まあ、あんな下品な町に遊びに行くのですから、それ相応のご趣味をお持ちなのだと理解を深めたしだいで」
微妙に酷い言い方だな……。
まあ、反論できないだろうけどさ。
「しかも最近では自宅内で、あのような変態的な格好ばかりしております。それをわざわざ私に見せて反応を楽しんで居る節もございますから」
「一片の曇りもないぐらいのセクハラだな。訴えて良しだ」
「まあ、私としては楽しいので構いませんがね」
「うん、あんたも俺が思っていた以上に変態だな」
そんなこんなで俺とマヌカハニーさんは客間に通される。
普通の着物に着替えたワイズマンが戻って来た。
「ところでアスランくんが、何故ゴモラタウンに居るんだい?」
「さっきも言っただろ。仕事だよ」
「冒険者のかい?」
俺は胸元から銀のプレートネックレスを出して見せる。
「ほほう、城に居るのか。なんだか大事のようだね」
「分かる~?」
「お城の誰が上げたか知らないが、城に冒険者が入るなんて、そうそうない話だからね」
「へぇ~、そうなんだ」
「でぇ、このワイズマンに話とは何かな?」
俺は畏まってから答えた。
「おそらくなんだけどさ。しばらくこの町で、拾ってきた様々なアイテムを捌きたいんだけど、どこで取り扱ってくれるのか教えてもらえないか?」
「ああ、物にもよるが、キミが集めて来そうな物なら私が預かって捌いてやろう。そのぐらいの人脈は持っているぞ」
よし、期待通りだぜ。
話が早くて助かった。
「あと、至急ベッドが欲しい。今日寝る場所がないぐらいだからさ」
「んー、それは急いで手配しないと間に合わないな。それならどうだろう。今日は私の家に泊まっていくってのは、はぁー、はぁー……」
何故に息が荒くなる!?
こえーーよ!!
「そ、それは遠慮しとくぜ……」
「そうかね。それは残念だ。では、どこに届ければいいんだね?」
「城に泊まってるから、城に頼むわ」
「貴族プレートを持って城に泊まってるのに、ベッドがないのかね。それは可笑しくないか?」
「うん。ベッドのない部屋をあてがわれた」
「それ、誰か城の者に言って、ベッドを用意してもらったほうが早くないか?」
「んー、俺が城に居るのは、秘密みたいだから、そんなわがままいいのかな?」
「そのぐらい、良くないか?」
「分かった。ベッドは城の人に訊いてみるわ」
「それがいいんじゃあないかね。──でだ」
そこまで言ってワイズマンの顔色が怪しく染まった。
悪巧みの顔である。
「どんな仕事をしているんだい?」
「本当は秘密なんだが、少しだけヒントをくれてやろう」
「おお、ありがたや!」
「城にある閉鎖ダンジョンの入り口から入って、ある人を探してくるって仕事だよ」
あれ、ほぼほぼまんまになったかな?
まあ、いいか~。
「ほほう。やはり噂は本当だったのだね」
「噂って?」
「閉鎖ダンジョンは年に一度だけ、三日間解放される。しかし城からなら何時でも入れるって噂話があったのだよ。昔からね」
「へぇー、そうなんだ~」
「なるほど、なるほど。そこから持ち出したマジックアイテムを私に捌いてもらいたいってことだな」
「まあ、そんなところだ」
そこまで話していると、部屋の扉が開いてパンダの剥製がお茶を運んで来る。
「なぜ!?」
驚く俺を見てワイズマンが小首を捻りながら問う。
「何を驚いているのかね、アスランくん?」
「なんでソドムタウンの冒険者ギルドにあるパンダの剥製がここにあるんだよ!?」
「ああ、これかね。この製品は私の店の代物だよ」
「えっ、マジ!?」
「ああ、本当だとも」
「なら、幾らなんだよ。値段しだいで俺も買うぞ!」
「マヌカハニーくん、このパンダのゴーレムは、幾らぐらいで販売されているのかね?」
俺の隣でお茶を啜っていたマヌカハニーさんが静かに答える。
「たしか100000Gちょっとだったと思いますが」
高い!?
ババァ~の首と同じぐらいの値段かよ!!
パンダは高額だな、おい!!
屋敷全体が豪華なのである。
金色に輝く甲冑の置物に、畳み一枚分もあるモッチリワイズマンの肖像画。
床のカーペットは情熱的に真っ赤だし、高い天井からは鮮やかなシャンデリアがキラキラとぶら下がっていやがる。
ロビーの広さだけで、俺がベルセルクから借りた部屋の数十倍はありそうであった。
なんだろう、世界って不平等だよね。
スカル姉さんの下宿が犬小屋に見えてきた。
あー、なんだかな~。
なんか火を付けたくなって来たわ。
そんな感じで俺がプチ絶望を味わっていると、二階の廊下からワイズマンが姿を現した。
「いや~、マヌカハニーくん、遅かったね。そんなに仕事に手間取っていたのかい~?」
優雅にワイングラスを片手に持ったワイズマンは俺の姿を確認していなかった。
おそらくマヌカハニーが俺を連れて来るとは思ってもいなかったのだろう。
そんなことよりだ。
ワイズマンの姿に問題があった。
俺はそれを苦言してやる。
「ワイズマンのおっさん。なんでお前さんは、ブラジャーにパンティー姿なんだ?」
「はっ!?」
俺の声を聞いて驚くワイズマンが、女性物の下着姿を両手で慌てて隠した。
勿論ながら、隠しきれていないがな。
「な、なんでアスランくんがここにいるのだ!?」
「仕事でゴモラタウンに来たんだよ」
「ちょ、ちょっと待ってなさい!」
慌てて部屋に戻ったワイズマンが白いバスローブを羽織って戻って来ると、わざとらしい笑みで言い訳を述べる。
「いやいや~、失礼したね……。マヌカハニーくんだけかと思ったから、ついついいつものオープンな格好で出てきてしまったよ……」
「いやいや、マヌカハニーさんに失礼だろ。あれは完全にセクハラだぞ」
「私は慣れていますから、構いませんよ」
「何故に慣れた!?」
「最近ワイズマン様がソドムタウンに遊びに行くようになってから、異変が多くて心配していたのですがね。まあ、あんな下品な町に遊びに行くのですから、それ相応のご趣味をお持ちなのだと理解を深めたしだいで」
微妙に酷い言い方だな……。
まあ、反論できないだろうけどさ。
「しかも最近では自宅内で、あのような変態的な格好ばかりしております。それをわざわざ私に見せて反応を楽しんで居る節もございますから」
「一片の曇りもないぐらいのセクハラだな。訴えて良しだ」
「まあ、私としては楽しいので構いませんがね」
「うん、あんたも俺が思っていた以上に変態だな」
そんなこんなで俺とマヌカハニーさんは客間に通される。
普通の着物に着替えたワイズマンが戻って来た。
「ところでアスランくんが、何故ゴモラタウンに居るんだい?」
「さっきも言っただろ。仕事だよ」
「冒険者のかい?」
俺は胸元から銀のプレートネックレスを出して見せる。
「ほほう、城に居るのか。なんだか大事のようだね」
「分かる~?」
「お城の誰が上げたか知らないが、城に冒険者が入るなんて、そうそうない話だからね」
「へぇ~、そうなんだ」
「でぇ、このワイズマンに話とは何かな?」
俺は畏まってから答えた。
「おそらくなんだけどさ。しばらくこの町で、拾ってきた様々なアイテムを捌きたいんだけど、どこで取り扱ってくれるのか教えてもらえないか?」
「ああ、物にもよるが、キミが集めて来そうな物なら私が預かって捌いてやろう。そのぐらいの人脈は持っているぞ」
よし、期待通りだぜ。
話が早くて助かった。
「あと、至急ベッドが欲しい。今日寝る場所がないぐらいだからさ」
「んー、それは急いで手配しないと間に合わないな。それならどうだろう。今日は私の家に泊まっていくってのは、はぁー、はぁー……」
何故に息が荒くなる!?
こえーーよ!!
「そ、それは遠慮しとくぜ……」
「そうかね。それは残念だ。では、どこに届ければいいんだね?」
「城に泊まってるから、城に頼むわ」
「貴族プレートを持って城に泊まってるのに、ベッドがないのかね。それは可笑しくないか?」
「うん。ベッドのない部屋をあてがわれた」
「それ、誰か城の者に言って、ベッドを用意してもらったほうが早くないか?」
「んー、俺が城に居るのは、秘密みたいだから、そんなわがままいいのかな?」
「そのぐらい、良くないか?」
「分かった。ベッドは城の人に訊いてみるわ」
「それがいいんじゃあないかね。──でだ」
そこまで言ってワイズマンの顔色が怪しく染まった。
悪巧みの顔である。
「どんな仕事をしているんだい?」
「本当は秘密なんだが、少しだけヒントをくれてやろう」
「おお、ありがたや!」
「城にある閉鎖ダンジョンの入り口から入って、ある人を探してくるって仕事だよ」
あれ、ほぼほぼまんまになったかな?
まあ、いいか~。
「ほほう。やはり噂は本当だったのだね」
「噂って?」
「閉鎖ダンジョンは年に一度だけ、三日間解放される。しかし城からなら何時でも入れるって噂話があったのだよ。昔からね」
「へぇー、そうなんだ~」
「なるほど、なるほど。そこから持ち出したマジックアイテムを私に捌いてもらいたいってことだな」
「まあ、そんなところだ」
そこまで話していると、部屋の扉が開いてパンダの剥製がお茶を運んで来る。
「なぜ!?」
驚く俺を見てワイズマンが小首を捻りながら問う。
「何を驚いているのかね、アスランくん?」
「なんでソドムタウンの冒険者ギルドにあるパンダの剥製がここにあるんだよ!?」
「ああ、これかね。この製品は私の店の代物だよ」
「えっ、マジ!?」
「ああ、本当だとも」
「なら、幾らなんだよ。値段しだいで俺も買うぞ!」
「マヌカハニーくん、このパンダのゴーレムは、幾らぐらいで販売されているのかね?」
俺の隣でお茶を啜っていたマヌカハニーさんが静かに答える。
「たしか100000Gちょっとだったと思いますが」
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ババァ~の首と同じぐらいの値段かよ!!
パンダは高額だな、おい!!
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