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【第二章】最臭兵器スバル編
2-26【定例儀式】
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今現在俺は、ツインテール眼鏡っ娘美少女の前で苦しんでいた。
いつものようにエロイ妄想をモンモンと巡らせて、糞女神の呪いに苦しめられているのではない。
ただ漂う悪臭に苦しめられているのだ。
俺は鼻の穴から侵入して呼吸気管を通り越し肺の中まで汚染してくる悪臭に耐えながらツインテール眼鏡っ娘美少女の話を聞いていた。
俺の額から熱いわけでもないのに冷たい汗がダラダラと流れ落ちて行く。
話しているのは薬師魔法使いのスバルちゃんだった。
赤毛のツインテールに眼鏡っ子というチャーミングポイントを有した美少女なのに、非常に非常に非常に非じょ~~に、残念だ!
美少女を前にして俺は、エロイ妄想をする余裕すら与えられないほどに苦しんでいた。
とにかく、半端なく臭いのだ。
完全に悪臭レベルの体臭だ。
スバルちゃんの小さな体から、とんでもない体臭が漂って来るのだ。
それはもう毒ガスのレベルだった。
小さな虫なら近付いただけで死んでしまうだろう。
彼女が全身から醸し出す謎の体臭が、周囲の空気を爛れるほどに汚している。
とにかく、超臭いのだ。
すっごい体臭なのだ。
残念なことに、スバルちゃんは、毒ガス美少女だったのだ。
最初は家の中で話さないかと言われたが、なんやかんや苦しい言い訳を並べて、それだけは避けた。
もしも閉鎖空間でこの子と一緒に居たら長くは持たないだろう。
間違いなく酸欠か、気持ち悪くなって倒れてしまうだろうさ。
なので俺たちは彼女の家の前で、立ち話程度に打ち合わせを済ませることにした。
それにしても、これだけの悪臭を体から放つスバルちゃんは何者なのだろうと考える。
自分では、この体臭に気付いてないのだろうか?
てか、周りの誰も忠告してくれないのだろうか?
それにゾディアックさんは大丈夫なのだろうか?
そう思いゾディアックさんの様子を窺ったが普通に彼女と話している。
しかし、よぉ~く見てみると鼻の穴の中に何か白い物が詰まっていた。
鼻栓だ!
この人は知ってて自分だけ鼻栓で悪臭を防御していやがる!!
なんて卑劣な!!
俺だけが悪臭の洗礼を受けているのかよ!!
すげー、不公平である!!
なので俺は出来るだけ早く話を済ませようと世話しなく急いだ。
薬草採取に出るのは明日の朝からにして、細かい話は道中で聞くことにしたのだ。
スバルちゃん曰く、戦闘になる可能性もあるそうなので、戦闘の準備だけは怠らないようにとのことだった。
件の薬草が生えているのは、何らかのモンスターの生息地のようだ。
だから一人で採取しに行けずに護衛の冒険者を雇うのだろう。
そこまで打ち合わせを済ませると、俺は逃げるようにスバルちゃんの前から立ち去った。
20メートルほど速足で歩いたところで深呼吸を深々とする。
そして、俺は思う。
まさか、こんなに町の空気が美味しかったとは知らなかった。
清々しさすら感じられる。
すると速足で歩いていた俺にゾディアックさんが追い付いて来た。
「待ってくれよ、アスランく~ん」
呑気な声でゾディアックさんが俺を呼び止める。
イラッとした俺は踵を返すと同時に、ゾディアックさんのボディーに怒りの鉄拳を打ち込んだ。
「オラっ!」
「ゲフっ!」
ゾディアックさんの鼻の穴から詰めていた白い綿が飛び出した。
打たれた腹を押さえながら両膝をついたゾディアックさんが苦しそうに言う。
「い、いきなり何をするんだい……?」
俺はヤンキーのように顔をしかめながら言ってやった。
「てめー、知ってて黙ってたな、ゴラァ!」
「ああ、済まない。これもすべては定例儀式だよ……」
「ああーん、何が定例だ!」
「彼女と初見で会う人々に、彼女の恐ろしさを直に知って貰うためにだよ……」
確かに恐ろしい出会いであった。
これなら次から鼻栓は忘れまいと思うだろう。
いいや、むしろ彼女といつどこで出会ってもいいように鼻栓を常備しておこうと心掛けるようになるだろう。
それだけ恐ろしい体臭&悪臭だった。
ゾディアックさん曰く、彼女からの薬草採取の依頼は数ヶ月起きにちょくちょくある仕事らしいのだ。
だから初見の冒険者には定例儀式のように報せないで彼女と会わせるらしい。
おそらくは、一番最初の冒険者が知らずに体臭毒ガスを浴びたのを根にもって、後継者に教えなかったのが定例儀式となったのだろう。
俺も絶対に、次のヤツには教えたくないと思う。
俺が受けた苦しみを、是非に次のヤツにも味わってもらいたいのだ。
てか、毒ガスの洗礼を受けずに薬草取りの依頼を受けることは、もうなんぴとたりとも許されないだろう。
この定例儀式は正しいことだ!
そんなこんなあって、俺はひたすら謝るゾディアックさんを許すと町中で別れた。
それから一人でスカル姉さんの診療所に帰ることにした。
診療所に帰ると明日から冒険の依頼で旅立つことをスカル姉さんに告げると、もう一つスカル姉さんにお願いをする。
「畏まってお願いとはなんだ?」
俺は済まなそうにお願いごとを語る。
「スカル姉さん、済まないけれど、医療用の綿を幾分か分けて貰えないかな?」
「綿を?」
「鼻に詰めるから……」
「また外で、変な遊びを覚えてきたのか、アスラン?」
俺は理由を述べなかった。
ただ黙って鼻栓用の綿を分けて貰う。
必須の準備を怠らないためにだ。
いつものようにエロイ妄想をモンモンと巡らせて、糞女神の呪いに苦しめられているのではない。
ただ漂う悪臭に苦しめられているのだ。
俺は鼻の穴から侵入して呼吸気管を通り越し肺の中まで汚染してくる悪臭に耐えながらツインテール眼鏡っ娘美少女の話を聞いていた。
俺の額から熱いわけでもないのに冷たい汗がダラダラと流れ落ちて行く。
話しているのは薬師魔法使いのスバルちゃんだった。
赤毛のツインテールに眼鏡っ子というチャーミングポイントを有した美少女なのに、非常に非常に非常に非じょ~~に、残念だ!
美少女を前にして俺は、エロイ妄想をする余裕すら与えられないほどに苦しんでいた。
とにかく、半端なく臭いのだ。
完全に悪臭レベルの体臭だ。
スバルちゃんの小さな体から、とんでもない体臭が漂って来るのだ。
それはもう毒ガスのレベルだった。
小さな虫なら近付いただけで死んでしまうだろう。
彼女が全身から醸し出す謎の体臭が、周囲の空気を爛れるほどに汚している。
とにかく、超臭いのだ。
すっごい体臭なのだ。
残念なことに、スバルちゃんは、毒ガス美少女だったのだ。
最初は家の中で話さないかと言われたが、なんやかんや苦しい言い訳を並べて、それだけは避けた。
もしも閉鎖空間でこの子と一緒に居たら長くは持たないだろう。
間違いなく酸欠か、気持ち悪くなって倒れてしまうだろうさ。
なので俺たちは彼女の家の前で、立ち話程度に打ち合わせを済ませることにした。
それにしても、これだけの悪臭を体から放つスバルちゃんは何者なのだろうと考える。
自分では、この体臭に気付いてないのだろうか?
てか、周りの誰も忠告してくれないのだろうか?
それにゾディアックさんは大丈夫なのだろうか?
そう思いゾディアックさんの様子を窺ったが普通に彼女と話している。
しかし、よぉ~く見てみると鼻の穴の中に何か白い物が詰まっていた。
鼻栓だ!
この人は知ってて自分だけ鼻栓で悪臭を防御していやがる!!
なんて卑劣な!!
俺だけが悪臭の洗礼を受けているのかよ!!
すげー、不公平である!!
なので俺は出来るだけ早く話を済ませようと世話しなく急いだ。
薬草採取に出るのは明日の朝からにして、細かい話は道中で聞くことにしたのだ。
スバルちゃん曰く、戦闘になる可能性もあるそうなので、戦闘の準備だけは怠らないようにとのことだった。
件の薬草が生えているのは、何らかのモンスターの生息地のようだ。
だから一人で採取しに行けずに護衛の冒険者を雇うのだろう。
そこまで打ち合わせを済ませると、俺は逃げるようにスバルちゃんの前から立ち去った。
20メートルほど速足で歩いたところで深呼吸を深々とする。
そして、俺は思う。
まさか、こんなに町の空気が美味しかったとは知らなかった。
清々しさすら感じられる。
すると速足で歩いていた俺にゾディアックさんが追い付いて来た。
「待ってくれよ、アスランく~ん」
呑気な声でゾディアックさんが俺を呼び止める。
イラッとした俺は踵を返すと同時に、ゾディアックさんのボディーに怒りの鉄拳を打ち込んだ。
「オラっ!」
「ゲフっ!」
ゾディアックさんの鼻の穴から詰めていた白い綿が飛び出した。
打たれた腹を押さえながら両膝をついたゾディアックさんが苦しそうに言う。
「い、いきなり何をするんだい……?」
俺はヤンキーのように顔をしかめながら言ってやった。
「てめー、知ってて黙ってたな、ゴラァ!」
「ああ、済まない。これもすべては定例儀式だよ……」
「ああーん、何が定例だ!」
「彼女と初見で会う人々に、彼女の恐ろしさを直に知って貰うためにだよ……」
確かに恐ろしい出会いであった。
これなら次から鼻栓は忘れまいと思うだろう。
いいや、むしろ彼女といつどこで出会ってもいいように鼻栓を常備しておこうと心掛けるようになるだろう。
それだけ恐ろしい体臭&悪臭だった。
ゾディアックさん曰く、彼女からの薬草採取の依頼は数ヶ月起きにちょくちょくある仕事らしいのだ。
だから初見の冒険者には定例儀式のように報せないで彼女と会わせるらしい。
おそらくは、一番最初の冒険者が知らずに体臭毒ガスを浴びたのを根にもって、後継者に教えなかったのが定例儀式となったのだろう。
俺も絶対に、次のヤツには教えたくないと思う。
俺が受けた苦しみを、是非に次のヤツにも味わってもらいたいのだ。
てか、毒ガスの洗礼を受けずに薬草取りの依頼を受けることは、もうなんぴとたりとも許されないだろう。
この定例儀式は正しいことだ!
そんなこんなあって、俺はひたすら謝るゾディアックさんを許すと町中で別れた。
それから一人でスカル姉さんの診療所に帰ることにした。
診療所に帰ると明日から冒険の依頼で旅立つことをスカル姉さんに告げると、もう一つスカル姉さんにお願いをする。
「畏まってお願いとはなんだ?」
俺は済まなそうにお願いごとを語る。
「スカル姉さん、済まないけれど、医療用の綿を幾分か分けて貰えないかな?」
「綿を?」
「鼻に詰めるから……」
「また外で、変な遊びを覚えてきたのか、アスラン?」
俺は理由を述べなかった。
ただ黙って鼻栓用の綿を分けて貰う。
必須の準備を怠らないためにだ。
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