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【第一章】アスラン伝説編

1-5【サバイバー】

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この名も知らない世界に転生してから一日が過ぎた。

日が沈み夜になってしまったのだ。

俺は、だだっ広い大草原のド真ん中で一晩を過ごしたのである。

夜空を見上げれば、満月と無数の星が目映く煌めいていた。

水も無い、火も起こせないから焚き火も無い。

幸い昼間にスケルトンから服をゲットしていたのだけが救いだった。

だが、夜は寂しい。

当然ながらベットも無ければ、お気に入りだったエロゲーキャラの抱き枕もないのだ。

スケルトンが履いていたパンティーだけが心の支えである。

こんな環境でまともに眠れるわけがない。

サバイバル過ぎる。

だから俺は朝が来ても寝不足気味だった。

夜は小さな岩の陰で寝て過ごした。

独りは寒くて寂しかったよ。

この寂しさはパンティーだけでは暖まらない。

それにパンティーばかりに気を向けていると心臓が痛み出すのだ。

だからあまり鑑賞すら出来ない。

とにかく糞女神の呪いが非常に腹が立つ。

しかも、たまに犬だか狼だかコヨーテだか分からない獣が遠吠えを上げていて怖かった。

いくら寂しくっても、あれとは仲良くできないと思ったぐらいである。

でも、めげてばかりもいられない。

明るくなると、直ぐにまた大草原を歩きだすことにした。

俺は考える。

喉が渇いた……。

腹も減ってきた……。

でも、水が無い。

食べ物も無い。

パンティーは食えない。

しかもこのパンティーはかなり汚い。

使用済みのパンティーだ。

たぶん綺麗なパンティーだったら食べれただろう。

辺りを見回してから俺は、少し悩んでしまう。

この雑草は食えるのかな?

埃っぽいし、硬そうだ。

無理っぽい……。

喉が渇いたよ。

俺、自分のオシッコとか、飲めるかな……。

山や海で遭難した人が、自分のオシッコを飲んで喉の渇きを凌いだって聞いたことがある。

自分のオシッコを飲む……。

そう言うプレイも最終手段として考えておかねばなるまい……。

それにしても、か、過酷だ……。

なんで、こんなに過酷なの……?

大自然って厳しくない?

何かが、何かが間違っているような気がする。

俺が糞女神から貰ったチートなスキルは、ハクスラスキルのはずだ。

無双も夢じゃない見たいなことを、あの糞女神も言ってたよな。

なのに俺は不意打ちで武器無しスケルトンを倒して得たものはボーンクラブとボロボロの服と薄汚れたパンティーだけだ。

あと、1Gと経験値10もか──。

何故かショボイ!

それに、あれ以来モンスターとも遭遇しない。

チートな冒険じゃなかったのか、この異世界転生は!?

異世界ギャルにモテモテウハウハの色欲全快ストーリーじゃあなかったのかよ!?

違うのか!

違うのかよ!?

なのに何故か次元の低いところを歩んでいるような気がしてならない。

ぜんぜん派手じゃないし、とにかく地味だ。

色欲の欠片すら見当たらない。

何よりも今は水を求めて放浪中だ。

水だよ、水!

求めているのは、ただの水だよ!

元居た世界ならば、ただ同然の水ですよ!

蛇口を捻れば飲み放題、浴び放題、チョメチョメし放題の水ですよ!

そ、それが……。

な、なんだか少し惨めである。

これが気のせいだと願う。

お腹もかなり空いてる。

ギュルギュルって空腹音を鳴らしまくってる。

異世界転生してから、まだ何も食べていないし、飲んでもいない。

雑草を食べて飢えを凌ぐしかないのかよ。

でも、雑草なんて、ほぼほぼ食えた代物じゃあないし、腹の足しにもならないだろう。

噛み切れるかも分からない。

とにかく、ひもじい……。

やっぱり絶対チートな大冒険とは程遠い!

何故だ!?

やはりあの糞女神を揶揄したのが悪かったのか?

天罰?

いや、違う!

あの糞女神の呪いか嫌がらせに決まっている!?

きっとそうだ!!

とにかくだ、水を求めて俺は歩き続けた。

そして、俺は見付けてしまう。

このだだっ広い草原のド真ん中で、発見してしまったのだ。

本来ならば喜ぶべきことなのかも知れない。

俺が正しい冒険者ならば歓喜する瞬間なのかも知れない。

だが、今は嬉しくない。

見つけてしまった物に、素直に喜べなかった。

しかし、足はそこから動かない。

男の欲求なのか──。

冒険者の希望なのか──。

はたまた覇者への夢なのか──。

俺は見つけてしまった物の前から動けなくなっていた。

今は水を探すのが一番の優先事項である。

こんな物に構っている暇などないはずなのだ。

だが、やはり俺の足はそこから動けなかった。

離れられないでいる。

見つけてしまった物を凝視する俺。

それは、岩陰にあった。

ポッカリと口を開いていた。

それが、何かって───?

それは────。

それは、ダンジョンの入り口だったんだよ。

岩陰の穴に、下る階段があったんだよ。

覗き込んだら深いの何のって……。

もうこれは、洞穴とか洞窟って感じじゃあなかったね。

壁や階段も煉瓦作りだったから、完璧に人工物のダンジョンですわ。

本当に何でこんな草原のド真ん中にダンジョンが在るんですかと問いたい!?

誰でもいいから問い詰めたい!?

出来ることなら可愛い乙女を問い詰めたい。

今日は何色の下着なのかと問い詰めたい。

イタタタタッ!!

マジで今一瞬だけ心臓が痛かったぞ。

止まるかと思ったぜ。

畜生、これも女神のペナルティーのせいか……。

それよりも、本当にタイミングが悪いよね。

今は水を探すのが一番大切なのに、なんでこのタイミングでダンジョンとかを発見しちゃうかな、俺。

とりあえず、入るか──。

入っちゃおうかな。

もしかしたらダンジョンの中に水辺があるやも知れない。

そうだよ、あるさ、きっとあるさ水辺がさ!

こんな広いだけの草原を、宛もなく彷徨し続けるより可能性は高いかもしれないじゃんか!

でも、行けるか、俺?

武器はボーンクラブだけだぞ。

ちょっと強いモンスターとか出てきたら、殺られるんじゃないか、簡単に……。

何せ、いまだにレベル1ですからね……。

武器無しスケルトンですら複数体出てきたら袋叩きに合うんじゃあないのか?

自分の戦力を鑑みれば、やはりダンジョンに入るのは早いような気がする……。

でも……。

でーもー、入りたーい。

すっごく入りたーい。

冒険がしたいよー。

んん、ここはやらない理由を探すより、やっぱりやる理由を探そうと思う。

やらずに後悔するよりも、やって後悔したほうがいいよね。

そのほうが人生的に後悔も少ないよね。

ほら、地下に進むんだから、もしかしたら雨水が溜まってるかも知れないし!

モンスターなんて巣くってないかも知れないし!!

なんかスゲーお宝があるかも知れないしね!!!

何よりエロ本が落ちてるかも知れないしね!!!

あたたったた……。

とにかくだ。

やっぱり入って見なきゃあ、分からないよね!!!!

シュレディンガーの猫は、箱を開けなきゃあ生きているか死んでいるかも分からないもんね!!!!!

よし、気合いが入ったぞ!

きーめた!

ダンジョンに入るぞ!!

とにかく入るぞ!!

よーし、よーし、初探検だぜ!!

なんだか異世界転生らしくなって来たぞ!

この際だから頭にパンティーを被ろう!

装着OK!

レッツラゴーだぜ!

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