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【第一章】アスラン伝説編

1-3【名前はアスラン】

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とりあえず、あれから一つだけ疑問が解決した。

ステータスの出し方が分かったのである。

俺が宛もなくだだっ広い草原をとぼとぼと歩きながら、あれこれ試していると判明したのだ。

ただ【ステータス】と声を出して呼べば出てくることが分かったのだ。

呼んだだけで半透明な画面が目の前に現れる。

そのステータス画面の下に、これまた半透明なキーボードが浮かんで見えた。

何かしらの入力ごとは、このキーボードを使ってやれば良いのだろう。

でも、ステータス画面には、たいした内容は書いていなかった。

名前の欄は空白だし、レベルは1だった。

アイテムスロットの枠があるが、やはり何も持っていない。

もうしばらくは全裸が続きそうだ。

それと【スキル】【魔法】と書かれた枠も有るが、記入されているのは【ハクスラスキル】だけだった。

早くもシステムが空気を読んで、勝手に訳してくれている。

あの糞女神よりも、よっぽど役に立つな、このシステムは。

さて、レベルは1だ。

経験値0と書かれている。

普通のRPG同様に、レベルはこれから自力でモンスターを倒して上げろってことだろうな。

だとすると、無双は程遠い話になるかも知れない。

何せレベル1だもの。

それと0Gとも書かれている。

Gはゴールドの略なのだろう。

文無しってことなのね、俺は。

さてさて──。

名前は勝手に付けていいのかな?

だって名前の欄が空白だもの。

まさか名無しってこともないだろう。

キーボードが付いているのだから、名前は自主記入だろうさ。

ならば、悩む……。

どんな名前を付けていいのか悩んでしまう。

もしかしたら、一度決めたら変更できないかも知れない。

おそらく、その可能性は高いだろう。

良くネトゲーで見られる恥ずかしい名前は止しておこう。

一般的な放送禁止用語が使えるかどうかを名前の決定時に試したけっか、変更出来ないでそのままDQNな名前でそのゲームをプレイしなければならないと言った醜態は避けたいからな。

ここは慎重に決めたほうがいいだろう。

それだとどのような名前にするかだな。

ザク、グフ、ジム、ドム……、

いやいや、そんなモビルスーツ見たいな安直な名前は後悔するかも知れないぞ。

ここは賢明に、よしておこう。

俺は半透明なキーボードに両手を添えながら考えた。

キーボードには慣れている。

中学のころから父のお古なPCで、ネットゲームを遊んでいたから問題はない。

そのPCのハードディスクに何本かのエロゲーが隠してあって、それをこっそり堪能したのは前世の楽しい想い出である。

お父さん、ありがとう!

でも、もうエロゲーも楽しめないのかな……。

流石に異世界にエロゲーなんて存在しないだろう。

それがちょっと寂しいぞ。

あれ、ちょっと胸が痛むわ……。

それにしても、マウスがないのが、ちょっと不便だと思う。

ドップ、ズゴック、ゲルググ……。

いやいや、ダメだダメだ!

ちゃんとした名前を考えろ。

俺はしばらく悩みながら草原を歩き続けた。

そして、やっと名前が決まる。

俺はカタカタと口で効果音を奏でながら透明なキーボードを指先で叩き込んで、考えに考え抜いた名前を入力した。

「この名前に、決まりだ!」

最後に景気良くエンターキーを華麗に叩き押した。

決定である。

俺が打ち込んだ名前は──

【アスラン】

それが転生した俺の名前だ。

有名な海外の小説から取っている。

しゃべるライオンの名前だ。

決してガ○ダムからではない。

俺は、空白の名前の欄に、そう打ち込んだ。

すると頭の中に女性の声が聴こえて来る。

【あなたの名前が決まりました。アスラン様、良い冒険をお楽しみくださいませ】

おお、美人そうな声だな。

AIのナレーションだろうか?

きっと銀縁眼鏡とレディーススーツが良く似合う女性だろう。

たぶん足元は黒ストッキングだろうな。

出来たらこの音声に放送禁止用語を言わせてみたいぞ。

キーボードで打ち込めば言ってくれたりしないかな?

ぐぐぐぅ………。

あぁ……、なにこれ……。

胸が痛いわ……。

このぐらいも駄目なのかよ……。

ペナルティー、厳しいな……。

しばらく座って休むと苦しさは直ぐに治まった

これからは煩悩には気を付けなくてはならんな。

畜生め……。

よし、とりあえずステータスの見かたも分かったし、名前も付けた。

次は何処を目指すかだ。

これによって俺の命運が決まるな。

飯も無い。

水も無い。

人間は水が無ければ、三日と持たないで死んでしまうみたいなことを聞いたことがある。

タイムリミットは三日か──。

それまでに水辺か人里を見付けなくてはならない。

とりあえす歩こう。

もくもくと歩こう。

トトくちのように歩こう。

山とは反対側に進めば海に出るかも知れない。

浜辺に出れれば、少しは希望があるかもしれないからな。

なんの根拠もないけれど──。

とにかく、歩くんだ、俺。

生き残るために!

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