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41.衝撃

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「契約者の方々、初めまして。航空救難団ではありませんが、この事態の説明をするために同行してきました。」

ヘリコプター内でそう挨拶した者がいた。

「俺らに攻撃を仕掛けたのはなぜ?」

サハクィエルの契約者はそう言って、自衛隊員を睨んだ。

「ここ数日、我々の基地を荒らす者が現れました。」

「自衛隊基地に侵入だと?」

「はい、非公開なのですが最新戦闘機や、ステルス戦闘機が何機か破壊されました。」

その者は1枚の紙を幸田たちに渡した。

「これは?」

幸田がそれを見て言った。

「我々は、365日24時間体制でそういったことを防ぐため警戒をしています。それでも、その事件が起こったことにより我々は警戒を強化、レーダーまで使用して調査しました。」 

「その結果がこれですか……。」

フレイヤは静かにそう言った。

「はい、そこにある通り結果はすべて不明。交代で24時間付近の警備をしましたが、不審者を誰も目撃することはありませんでした。ですが、点検をすると破壊されているという状況です。」

「で、上からという考えか?」

サハクィエルの契約者は言った。
すると、自衛隊員はモニターを棒で差した。

「その通り、我々は空からという可能を考え、レーダーやカメラを使いました。ですが、そこにはなにも映りませんでした。にも関わらず日々被害は増えているという状況です。」

自衛隊が警備強化をしても捕らえられない、最新機器でさえも発見できないそんなことができるとすれば……、もちろん。

「天使か悪魔の仕業。」

ブリュンヒルデがそう呟いて、ヘリコプターの窓から外を見る。

「そう確信しました。しかし、日本全国にはまだ多くの契約者がいます。日本だけではない、広い世界で契約者の数は数えきれない。」

自衛隊員はさらに続けた。

「そこで上空を探り、手がかりを見つけようとしていたところ、ある戦闘機が上空での戦闘を確認。止めるべく攻撃命令を下しました。」

「上空3500メートルでミサイルかよ、回避されて地上に着弾でもしたら大惨事では収まらないんじゃないか?」

「えぇ、しかしそれ以外に手段がありませんでしたので……。」

「な……無茶苦茶な……。」

サハクィエルの契約者はひどく怒った。

「申し訳ありません、仲部さん。」

自衛隊員はそう言った。

「え、知り合い?」

沙夜が驚く。

「あぁ、自己紹介がまだだったな。俺は仲部友久《なかべともひさ》、元航空自衛隊 一等空佐。」

『えぇぇぇ!?』

幸田たちはしばらく固まった……。

そんな空気を壊すように、

「レーダーに反応あり!!何者かの攻撃接近中。到達までおよそ3分と思われます!」

「なんだと!?」

危険は迫っていたのだったー。
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