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40.メディック

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「パラシュート確認。これより救助を開始します。」

航空救難団のヘリコプターが数機、パラシュートに近づくと同時に幸田たちの方にも迫っていた。

「落としますか?」

サハクィエルがサハクィエルの契約者に聞いた。

「いや、それはまずい。」



※サハクィエルの契約者の名前はいつ出てくるの?と思っている方もいるだろうが、そのうち判明しますのでご了承下さい。

「俺の天使(フレイヤ)も何もするなよ。」

幸田がフレイヤに向かって言ったのだが……、

「幸田……それは、あの~……もっとなんか違うのなかったの?」

沙夜がほのかに笑いながら言った。

「他のなかったんですか?気持ち悪いです。」

フレイヤも慣れない呼ばれ方というのもあるが……、

「天使と呼ばれるには正直抵抗あるんですよ?」

それよりも神という存在でありながら、天使と呼ばれるのは、自身のプライドというのか……何かが一応許さないらしい。

「じゃあ、なんと呼べと……。」

幸田は悩む。

「そんなに悩むこと……?ならいっそ呼ばなきゃいいんじゃない?」

沙夜がそんな提案をしたが……、

「そういうわけにはいかないよ!不便だし……、でもフレイヤ以外の呼び方が思い付かないんだよ!」

航空救難団が迫っていること、フレイヤの正体がバレてはいけないこと、呼び方を必死に探すことが幸田の頭の中で、大渋滞を起こしたことが原因だろう。

事故は起きてしまった……。


「あ…………。」

「あ~。」

「あっ、呼びましたね……。」

「ん?」

幸田はフレイヤと言った覚えがないらしい。

「フレイヤだと?」

「北欧神話の神ですか。」

どうやら、サハクィエルとサハクィエルの契約者にその発言は届いてしまったらしい。

「え……?俺今言った?」

『言いましたっ!!』

ブリュンヒルデ、沙夜、フレイヤが声を揃えて言った。

「あの……それよりですね。」

真希が割って入る。

「パラシュート回収終わったようです。」

真希とサタナエルが航空救難団の様子を伺っていたようだ。

「来るか……。」

ヘリコプターが迫る。

『我々は危害を加えない、約束する。我々は航空救難団 メディックだ。
繰り返す、我々は航空救難団 メディック。危害は一切加えない約束する。だから同行して欲しい。』 

「どうします?」

フレイヤが指示を待つ。

「いこう。」

幸田はそう言った。

「アウェーで直接対決かな?やってやろうじゃねぇか!」

サハクィエルの契約者はそう言いながら右腕を大きく回した。

彼らはヘリコプターという名の新たな戦場に足を踏み入れるのだった―。
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