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37.届かない言葉

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「何の用だ?」

「襲撃ですか?」

上空3500メートル地点。

そこにサハクィエルとその契約者がいた。

「いえ、聞きたいことがあって来たのです。」

フレイヤ、幸田たちはサハクィエルとその契約者に、大天使ミカエルについて聞くことにしたのだが……、

「聞きたいことね……、とりあえずそこの天使。」

サハクィエルの契約者は、フレイヤを指差した。

「隠しているな、名前は?」


※何回も説明しているが、フレイヤは能力によって正体を曖昧にしている。



「さぁ、なんでしょうね。」

「では、無理やりでも聞きます。」

サハクィエルが言った。

「ちょっと待て。」

サハクィエルの契約者が言うが……、

「覚悟はいいですか?」

サハクィエルにはその言葉は届かなかった。

「無理やりですか……。」

「気を付けろよ。」

幸田はフレイヤに言った。

サハクィエルは目を瞑ると……、

「空の天使 名はサハクィエルが願います。
風よ、大地よ、輝きたる光を我が守護に……。」

サハクィエルは矢を射る構えをした。
すると……、

「来なさい、真実を射抜く弓矢よ……。」

光輝く弓矢がサハクィエルの手に現れた。

弓は燃えるような黄色いオーラを放ち、
矢は黄色く光るだけでなく、青いオーラを少し纏っている。

「真実を射抜く弓矢か……。では、こちらも。」

それに対してフレイヤは、両腕を前に伸ばすと、両手を空気を掴むように丸める。

その瞬間、フレイヤの両手には黄金の剣が出現した。

「やめろって、サハクィエルっ!」

サハクィエルの契約者が言うが、サハクィエルにはやはり届かない。

「んっ!!」

幸田たちが、太陽の光を遮るように腕を目の前被せるくらいの光と共に、フレイヤは鞘から剣をゆっくり抜いた。

「さすが……、太陽の光のように強い光を放つなんて……。」

ブリュンヒルデが驚いてそう言った。

空の天使 サハクィエルの真実を射抜く弓矢。

そして、神であるフレイヤの黄金の剣……。

両者は鋭い視線をぶつけ合う。

これは壮絶な戦いの幕開けなのか……、

「もう一度聞きます。あなたは誰?」

「さぁ、誰でしょう。」

フレイヤが拒否した瞬間、

サハクィエルはフレイヤに向かって矢を放った―。
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