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3-10 アート・ブレイク・ダウン

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 ——ブワッ
 生暖かい風が肌をなでた。
 じんわりとした湿気に、あたりにカビ臭いにおいが漂いはじめる。
 気付くと、夢が暗転していた。
 まわりの風景も、工作教室から真っ暗の闇のなかになっている。
 ロロくんもいなくなっている。
「いったいどこへ……」
「四谷くん! あれを見てください」
 六門さんが指さした方を見ると、そこにたくさんの手と足の像を足元に生やしたロロ君が立っていた。
「よくも俺の創作活動の邪魔をしてくれたねえ。俺はこう見えて気が短いほうなんだよ。完璧な作品作りにもっとも大切なものは時間だ。時間は有限なんだよ。だから、俺の邪魔をするものは……ただじゃおかない!」
 忘れていた。
 ぼくは今、手が動かない。
 いや、手どころか、肩までカチンコチンに固まっている。
 六門さんと話しているあいだにも、粘土像化はどんどん進んでいたようだ。
 しかも心なしか、さっきよりも粘土像になるスピードが速くなったように思う。
 みるみるうちに胸、腰……首、あご……。
 ぼくのからだは一気に、石のように冷たくなっていく。
 ロロくんが、不気味な笑みを浮かべて近づいてくる。
「もう完成かな? それじゃあ……」
 構えられたハンマーが、きらりと光る。
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