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39 憶えてたんですね

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「あのオレンジ頭の人を助けて欲しいんです。」

 そうユンネは飄々と訴えた。
 訴えられたルキルエルは赤い瞳をスッと細める。
 前までは確かにどこか遠慮していた表情が、太々しくなったように感じる。
 エジエルジーン団長が言うには記憶を失くしていたらしいが、ラビノアの回復によって戻った為、性格に変化があったのではと言っていた。
 もともの性格は同じように感じるが、こうも印象が変わってしまうものだろうか。
 
「あれは誰だ?」

「えーと、ホトナル・ピズマーと名乗ってました。スキルを研究しているらしいです。血判でハンニウルシエ王子と主従契約を結ばされている為逆らえずにいますけど、亡命したいから口をいてくれと言ってました。」

 ルキルエルの眉がピクリと上がる。
 
「ピズマー?隣国の伯爵家のことか?三男がホトナルと言ったな。『瞬躍しゅんやく』というスキル持ちだったはずだ。」

「よく知ってますね!」

 ユンネが驚いたようにこちらを見た。
 今俺たちは戦闘から少し離れた場所で、戦う彼等を眺めていた。
 もう一度城に攻め込みハンニウルシエ王子を討つことにした。
 この国はスキル持ちを王家が独占している。隣国で対応させても良かったが、任せればハンニウルシエ王子は処刑したことにして別名で逃す可能性が高かった。
 ハンニウルシエ王子のスキル『黒い手』とホトナル・ピズマーの『瞬躍』があったからスキル持ちを易々と攫われ続けたのかと納得する。おそらくハンニウルシエ王子も国から命を受けてやっていたのだろうが、だからと言って許すわけにはいかない。
 
 今ハンニウルシエ王子と戦っているのはエジエルジーン団長だけだ。
 スキル持ち、特に戦闘特化型が戦に出てきては、その攻撃力からスキル無しの兵士では歯が立たない。
 スキル持ちにはスキル持ちを当てるしかないのだが、エジエルジーン団長の体質は最も有効だった。
 エジエルジーン団長自身にはスキルは存在しない為、最初の一撃は受けてしまうが、二回目にはもうスキル耐性がついてしまって、スキルによる攻撃が効かなくなる。
 スキル持ちにとって最も戦いにくい相手がエジエルジーン団長だった。

「………無事ハンニウルシエ王子をどうにか出来れば構わないが、戦闘に『瞬躍』で加勢されるのは困るな。」

 ルキルエルとしてもホトナル・ピズマーは欲しい人材だった。スキル研究者というところが特にいい。
 
「アジュソー団長、城を制圧できるか?あの王子は必ず手元に主従契約書を保管しているはずだ。」

 ルキルエルを守る為に側に待機していた白銀騎士団長に命じた。捕ってこい。
 命を受けてアジュソーは一礼してルキルエルの側を離れた。


 


 ユンネは隣に立つルキルエル王太子殿下をこっそりと見た。本来なら殿下も戦闘に参加して、『絶海』でハンニウルシエ王子を討ちに出ていたはずだった。
 でも今はファバーリア侯爵が一人で前に出て戦っていた。
 ハンニウルシエ王子は武人ではないのか、剣は持っていてもエジエルジーンと剣を交えることはない。戦闘は『黒い手』を使って、現れている黒い手に剣を持たせて戦っていた。本人は離れてスキルを使うだけだ。
 ファバーリア侯爵が肉薄しても、すぐにホトナルが『瞬躍』を使って移動してしまうので長期戦になっていた。
 確かにホトナルのスキルを封じるか、ホトナルとハンニウルシエ王子を引き離すしかない。
 ホトナルの手には手枷が付いていた。その手枷から伸びる鎖をハンニウルシエ王子が持っている。どうやらこの鎖で二人は繋がっている状態になるらしい。
 最初ルキルエル王太子殿下が『絶海』で沈めて殺そうとしたのを、俺がホトナルを助けて欲しいと頼んだ為、今はファバーリア侯爵一人が出ている。
 沈めてしまうと二人ともになるので出来なかったのだ。
 じゃあ通路として通っている『絶海』の中に閉じ込めたらと提案したが、それだとどこかに落ちて違う場所に出てしまい、逃げられてしまうという。

「すみません、俺がホトナルを助けて欲しいと言ったから………。」

「いや、構わない。俺はお前に借りを返せてむしろ助かる。」

「………覚えてたんですか?」

 そんな素振りは無かった。でも記憶が戻った今は王太子殿下の行動の理由も予測がついた。
 銀色の髪を靡かせながら、ルキルエル王太子殿下はニヤリと笑った。

「俺は忘れられているかと思ったぞ。」

 ユンネも少し笑い返す。
 二人は会ったことがある。
 



 王族はスキルを持つ者としか婚姻を結ばない。
 特に継承権の高い者程、徹底されて貴族の中でスキル持ちの者を厳選して探し婚約者とする。
 ユンネも子爵家の子供だ。特に次男だったので、王家が主催するスキル持ちの子供を集めたパーティーに招待されたことがある。
 子爵家とはいってもベレステ家は底辺も底辺。貧乏貴族なのでパーティーが開かれた庭園の隅っこで、早く終わらないかとボンヤリしていた。
 ユンネはこの世界が漫画の世界と知っている。
 自分がファバーリア侯爵家へ嫁ぎ、悪妻として言われてしまうことも理解しているので、このパーティーに参加しても意味がないことを知っていた。
 だからちょっと試してみたのだ。
 何かを変えれないかと。
 それがルキルエル王太子殿下への接触だった。

「折角面白いスキルを持っているのだから、攻撃だけじゃなくていろんなことが出来ないか調べないんですか?」

 王太子殿下の婚約者か側近になろうと取り巻く貴族子息令嬢の中に立つ王太子へ、ユンネは不躾に声をかけた。
 本来ただの子爵家の子供が取れる態度ではない。
 言うだけ言って無視されれば逃げよう、くらいの感覚で言ってみただけだ。
 なのにルキルエル王太子殿下は立ち止まり、赤い瞳をユンネに止めた。

「何ができると思う?」

 そんなに大きな声をかけたわけではない。なんなら他の子供達のカン高い声の方がよく響く中、ユンネの声はルキルエル王太子殿下の耳に届いてしまったらしい。

「おっ!……ええっとぉ、うーん。」

「何この子?」
「無礼だぞっ!」
「どこの家かしら?」

 口々にかけられる非難の中、ユンネは考えた。

「黙れ。」

 この時から既に気の強い気質だった王太子の、冷たい叱責に皆黙りこむ。

「たとえば、いろんな物を保存するとかぁ?」

「俺の『絶海』は水の中になるんだぞ。湿気はどうする。」

「そこは自分のスキルなんだし殿下が自分で実験しないと?俺はたんなる『複製』だもん。」

 ユンネが自分のスキルを明かすと、周りの子供達も護衛も嘲笑った。ルキルエル王太子殿下が笑った集団と護衛を煩いとばかりに睨み付ける。

「ならばお前も『複製』スキルを単なる紙の複製だけでなく使用方法を広げてみるんだな?」
 
「…………むぅ、そう言われればそうだね?」

 
 会ったのはこの時だけ。
 だがユンネのこの何気ない接触で、ルキルエルは変わった。
 己のスキルを磨き上げ、スキルの研究に没頭するようになっていった。
 つまらない人生に光を与えたユンネ・ベレステに、
王太子殿下から「この借りは返す。」という手紙が届き、当時ベレステ家に騒動を巻き起こした。



 ユンネは記憶を取り戻すと共に、この記憶も思い出していた。

「なんで俺をファバーリア侯爵に勧めたの?他にもまだいたんじゃないの?」

 それは正解だった。
 
「…………時々思う。何故そんな結論を出したのかと。これが何故か借りを返す最善に思えてしまった。結果的には最悪だったがな。」

 何故かあの時、ルキルエルはユンネ・ベレステを選択してしまった。

「ふぅん。これが強制力ってやつかな?」

「強制力?」

 ユンネは何でもないと首を振る。
 自分はそれに抗おうとして、多くの傷を負った。だからルキルエル王太子殿下はシナリオに逆らわず、ユンネ・ベレステをファバーリア侯爵に勧めて良かったのかもしれない。

「そういえば気になってたんですけど。」

「なんだ?」

「ラビノアですけど、襲いました?」

 ルキルエルが嫌な顔をする。

「するわけないだろう。研究の為に保護する目的で側に置いただけだ。」

 てっきりやっちゃった後かと思っていた。以前合同演習の時にアジュソー団長が手を出そうとして怒っていたので、殿下だけはラビノアに気があるのかもと思っていたけど、その後進展があるようにも見えなかったのは、単に研究対象として大事にしていただけなのか。
 これはシナリオ通りに進まなかったのかと、ユンネは不思議に思う。
 俺が転生者でシナリオを知っていながら無理矢理変えようとしたからこんな結果になったのだろうか?それとも選択肢を間違えただけだろうか…。
 後者な気もする。
 記憶を封じていた間はあんなに漫画の世界を堪能したかったのに、今は凪いだ風のようだ。
 
 ルキルエル王太子殿下と話しながら、ファバーリア侯爵とハンニウルシエ王子の戦いを見つめていた。
 オレンジの瞳が熱心にこちらを向いていることに気付く。
 
「あ………。」

 ホトナルの『瞬躍』はホトナルがタイミングを測って飛んでいる。ファバーリア侯爵との距離を一定に保つようにしていたようだが、こちらを見ていた為反応が遅れた。
 そしてそのチャンスを逃すファバーリア侯爵ではない。
 一薙ひとなぎで黒い手を切り裂きハンニウルシエ王子に急接近したファバーリア侯爵は、左手で思いっきり殴りつけた。
 そしてハンニウルシエ王子とホトナルの鎖が思いっきり引っ張られた瞬間を利用して、右手の剣で鎖を叩き切ってしまった。

「殿下!」

 ファバーリア侯爵がルキルエル王太子殿下へ叫ぶと、ホトナルの足がドプンと地面に沈む。
 しゃがんだ殿下が手を地面に突っ込み、グイッと引っ張り上げると疲れた顔のホトナルがザバっと上がってきた。
 一瞬状況を理解できずに青褪めていたホトナルが、ハッと気付いて一気に顔を輝かせだす。
 
「ま、まさかっ!ルキルエル・カルストルヴィン殿下の『絶海』!?わ、私は!入ってたんですかぁ!?」

 思いっきり本人に尋ねていた。

「そうだ。お前スキル研究者らしいな?何か目新しい成果は持ってないのか?」

 ルキルエル王太子殿下もそこらへんは気にせず、自分が気になること一直線で尋ねている。

「あ、そだっ、えぇっと、私を保護してくれたらこの二重血判と他者が上書き干渉を行った場合の結果をまとめた物をお渡しします!」

 懐に出していた紙の束をルキルエル王太子殿下に差し出していた。

「いいだろう。」

 ニヤリと殿下が笑う。

「えーーー、それもしかして俺が二重血判の上書きで苦しんでいた時のやつ?」

 ユンネが文句を言ったが、二人はその調査書に夢中になっていたので無視された。

 仕方ないのでファバーリア侯爵の方を見たら、ハンニウルシエ王子は気絶して手際良く拘束されていた。

「殿下、仰せの通りに生きたまま拘束致しました。」

 生捕りを命じられていたのか。どおりで苦戦していると思った。ファバーリア侯爵の表情は憮然としている。

「………殺したいのは分かるがコレにも使い道があるんだ。それだけ殴ったんだから良しとしてくれ。」

 引き摺るように持ってこられたハンニウルシエ王子は気絶しているのだが、顔がボコボコで元の形状が分からない。手足の向きもちょっと怖い。

「よし、そろそろ城の制圧も終わってるだろう。アジュソー団長に主従契約書を探させてるから、俺達も合流しようか。」

 ルキルエル王太子殿下はそう皆に命じた。



 ユンネはハンニウルシエ王子を見て、ふむ、と思う。本来ならこの場で死んでいた人間だった。
 やっぱり強制力とか関係なしに、俺の選択が間違っていたのかもしれないと、ファバーリア侯爵を見て苦笑した。
 もう前のように旦那様とは呼べない。
 旦那様と呼ぶ自分を見て、そんな風に呼ぶ資格はないと止めようとした自分と、ファバーリア侯爵と呼ぶ自分に結婚してるのになんで他人行儀なんだろうと不思議に思った自分が、相反して心の中にいる。

「…………………。」

 旦那様、と呼ぼうとして口を閉ざした。
 俺の話を聞いても、もう一度三重血判を押したいと言ってくれるだろうか。
 
 でもちゃんと話さなければならない。
 領地に戻ってソフィアーネの処罰が済んだら、その時はちゃんと話そう。
 その結果がどうであろうとも、今度は逃げないとユンネは心に誓った。





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