異世界で番長目指します。

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第9話【洞窟の中っておもしれぇかも。】

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あらすじ:村に戻ると一変していた。家は焼かれ村人は無惨な姿になっていた。キースとライルの家族も皆…ライルの弟がお腹に帝国の印がある布を隠していた。遠くに追っ手の可能性がある集団が見られ3人は北西の洞窟に向かった。


しばらく歩くとすっかり夜になっていた。ライルが森に向かう時に家からカンテラを持ってきたのがここで役にたった。キースも家から地図を持ってきていた。そして秀吉は…

「キャン!」

「オラァ!キャンキャン騒ぐなら近寄ってくんじゃねーよ!ワン公が!」

絶賛ナイトウルフの群れとバトル中であった。

「秀吉の強さは並みじゃないな。」
「うん。ナイトウルフって大人でも油断できないのに…」

10匹以上いた群れが瞬く間に3匹、2匹減っていく。

△△△△△△△△△△

レッドウルフ
HP1800/MP500

▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽


「そこの赤っぽいのがボスだなぁ?かかってこい…殴り飛ばしてやる!」

レッドウルフは左右に移動しながら秀吉に襲いかかるが軽々と避けられる。

「少しは早いが…俺の敵じゃないなぁオラァ!」

レッドウルフのアゴを拳で殴り飛ばす。空中をクルクルと回り地面に落ちて煙と消えた。
残ったナイトウルフが逃げ出した。

「さてとキース、ライル。終わったぞぉ。」

「秀吉。お前本当に強いな。」
「お見事ですね。」

「あんまし誉めんなって。それより俺は土地勘とかねぇから頼むわぁ。」

「任せとけ。もうすぐ洞窟だから…って見えてきたぜ。」

キースが指差す方向にゴツゴツした岩の塊が見られ真ん中にくり貫いた様に穴があった。

「あれが洞窟だよ。もう遅いから洞窟の側で休もうよ。」

「だな。腹も減ったし。」

洞窟まで着くと近くにたき火した痕跡があった。

「ここで野宿にするか。秀吉は敵がいないか確認してくれ。ライルは飯の準備だ。」

「キース。お前は?まさかサボるつもりかぁ!」

「サボるか!大事な火種の準備するから。」
「あっ、秀吉。バトルポーチそこに置いといて。お肉使いたいから。」

3人それぞれ役割を担当した。

「よし、モンスターの気配はないなぁ。そっちは?」

「フゥ~。今火種が完成したよ。火打ち石があれば簡単だったのに。」

そう言えばカンテラの火も割りと時間かかっていたなぁ。

「火が出来た?お鍋そっちに置くよ。」

ライルは調理した肉や薬草、果物を入れ水を注いだ鍋を火の上に吊るす。

「随分と手際がいいなぁライル。」

「以前から…父さん母さんの見て覚えたからね…」

少し村の事を思い出すライル。

「秀吉。ライルの飯…マジで旨いからな。」

「マジか!腹減った~。」

キースが話題を替えてライルの飯を誉める。

「それに秀吉のバトルポーチから大判の毛皮があったから布団代りにしようぜ。」
「それがいいよね。うん。」

「ん~このモフモフな毛玉はアイツか。」

秀吉はケダモコの毛皮が気に入ったらしい。

ライル特製の詰めこみスープが完成した。そのお味は…

「うっ、旨い!」

「なっ?旨いだろ?」
「うーん少し濃いかな。」

ライルはやや不満があるが秀吉とキースは満足感に浸った。

その夜、秀吉は用を足しにその場を少し離れた。

「う~。地球と違って星が綺麗じゃねーかよ。」

盛大に用を足しながら空を眺める。
2人の場所に戻ると2人のつぶった眼から涙が流れていた。

「…家族を亡くしたからな。チッ、強くならなくちゃならねぇーな。」

夜に寂然と輝く星を見つめながら秀吉は眠りに入った。


朝、ガチャガチャと音がして秀吉が眼を覚ました。

「おー、起きたか。」
「秀吉。おはよう。」

「ん~朝か。…よし。洞窟を進むか。」

「秀吉。ちょっと待ってろ。」

キースが自分のアイテムポーチから小瓶を取り出して要らない布に少し振りかけて布を木の棒にくくり付けた。

「ガポの油だ。鉄鎚の修繕に使う物だがこうやるとたいまつに代用できる。」

たき火の火を付けるとすぐにメラメラと燃えた。

「たいまつは俺が持つ。キースとライルはカンテラで俺の後ろからきな。」

秀吉達は洞窟に入って行った。進むと奥からの暗さが広がる。すると地面にブヨブヨした水溜まりの塊が正面から現れた。

△△△△△△△△△

スライム
HP700/MP1200

▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽

「スライムかぁ。初めて見るな。」

「あっ、本当だよ。回復薬に役立つ素材が手に入るから倒してね。」

後ろからライルがはしゃぐ。

スライムが秀吉に向けて液体を飛ばす。避けると付着した石がジワジワと溶けていく。

「溶解液だよ。気よつけて。」

ライルから注意が飛ぶと秀吉は後ろに回り込み殴り付けた。
スライムはまだブヨブヨと動く。

「打撃が効かねぇのか?んっ?せぇや!」

スライムの中に丸い核の様なものがあり破壊した。するとスライムは煙に消えた。

「なるほどなぁ。あれが弱点だな。」

バトルポーチから先程倒したスライムの素材を見てみる。

△△△△△△△△△△

ブルーウォーター:スライムから生成される癒しの水。飲むと僅かにHPが回復する。回復薬の材料に用途されている。

▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽

秀吉はライルに渡すとすぐにモンスターが現れた。今度はカエルなのだがウサギの様な耳がついている。

「おっ、秀吉。あれがガポだ。丁度油が少なかったから確実に仕留めてくれ。」

△△△△△△△△△△

ガポ
HP1200/MP200

▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽

秀吉は手早くガポを蹴り飛ばす。煙と消えたのを確認してバトルポーチから素材を出す。

△△△△△△△△△△

ガポの油:日常の油はすべてガポの油が主流。ガポから生成される油は工具や食用と利用する幅が広い。

▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽

…何だか俺だけ欲しい物がないんじゃないのか?あの2人だけ得してさぁ。どうなのよ?これ?

秀吉はガポの油をキースに渡した。2人はホクホク顔で秀吉に言った。

「秀吉!この洞窟いいな!」
「秀吉頑張るですよ。」

「まっ、おもしれぇからいいか。」

秀吉達はサクサクと進んで行った。
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