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ヒロインよ、王太子ルートを選べ!~結婚編~
悪役令嬢は断罪のステージへ向かう②
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王宮に入る前に、一つやり残したことがあります。
私はいつもの裏門に向かい、ジェラードに声をかけます。最後にムーンライトフラワーの花畑を見ておかなければね。ムーンライトフラワーを一緒に見た恋人同士は結ばれると言う伝説はとんだインチキだったけれど、四年間も育てたお花ですから、さすがに思い入れもあります。
「ジェラード!」
「ああ、これはお嬢! また随分とお久しぶりでございます。そして、本日はおめでとうございます」
「嫌ね、今日は私じゃなくてレオ様のお誕生日よ。ムーンライトフラワーを見てきてもいいかしら」
「大丈夫ですが、ドレスが汚れないようにお気をつけくださいね。殿下によると、もうたくさん蕾をつけているそうですよ」
ドレスが汚れないようにたくし上げながら、奥まった場所にあるムーンライトフラワーの花畑に入ります。
(ものすごい増えてる……)
レオ様は、増やし方のコツをつかんだのかもしれませんね。これだけあれば、一株くらいもらっていってもいいかしら? この国の思い出に……。
「ジェラード、ありがとう! そう言えば、最近私以外にもこの裏門から女性がよくいらっしゃる?」
「……ああ、いらっしゃることが……なくもないかも……えっと、どうでしたかね?」
明らかに隠し事をしているジェラードの慌てっぷりに、思わず吹き出してしまいます。私の周りには、演技の下手な人が多いわね。
「……よく分かったわ。ねえ、ジェラード。夏至が来たらその女性を、ムーンライトフラワーの場所に連れて行ってあげてね。あ、間違っても一緒には畑に入らないように気を付けて」
「いいんですか? あの場所はお嬢以外は絶対に通すなと、レオナルド殿下に厳しく言われておりまして……」
「いいのよ。何年も前の話でしょう? 私はこれを一株もらっていくから大丈夫。それじゃ失礼するわね!」
裏門から一度外に出て、馬車に戻ります。靴に着いた泥を落とし、ドレスが汚れていないか入念にチェック。そしていよいよ、王宮の正門に向かいます。
私はいつもの裏門に向かい、ジェラードに声をかけます。最後にムーンライトフラワーの花畑を見ておかなければね。ムーンライトフラワーを一緒に見た恋人同士は結ばれると言う伝説はとんだインチキだったけれど、四年間も育てたお花ですから、さすがに思い入れもあります。
「ジェラード!」
「ああ、これはお嬢! また随分とお久しぶりでございます。そして、本日はおめでとうございます」
「嫌ね、今日は私じゃなくてレオ様のお誕生日よ。ムーンライトフラワーを見てきてもいいかしら」
「大丈夫ですが、ドレスが汚れないようにお気をつけくださいね。殿下によると、もうたくさん蕾をつけているそうですよ」
ドレスが汚れないようにたくし上げながら、奥まった場所にあるムーンライトフラワーの花畑に入ります。
(ものすごい増えてる……)
レオ様は、増やし方のコツをつかんだのかもしれませんね。これだけあれば、一株くらいもらっていってもいいかしら? この国の思い出に……。
「ジェラード、ありがとう! そう言えば、最近私以外にもこの裏門から女性がよくいらっしゃる?」
「……ああ、いらっしゃることが……なくもないかも……えっと、どうでしたかね?」
明らかに隠し事をしているジェラードの慌てっぷりに、思わず吹き出してしまいます。私の周りには、演技の下手な人が多いわね。
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裏門から一度外に出て、馬車に戻ります。靴に着いた泥を落とし、ドレスが汚れていないか入念にチェック。そしていよいよ、王宮の正門に向かいます。
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