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ヒロインよ、王太子ルートを選べ!~本編~
王太子の卒業パーティー②
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「レオ様、ご卒業おめでとうございます」
今日の卒業パーティーは皆さん少しラフな格好で、色々なデザインや色の装いが素敵です。レオ様もブラックの上下に、差し色のグリーンがさわやかですね。
「ありがとう。コレットはあと二年だな、待ってるからな」
頭をポンポンと撫でられた私は、満面の笑みで返します。あと二年経ったら……結婚よね? レオ様にふさわしい王太子妃になれるよう、頑張ってお勉強します!
レオ様と一緒に、卒業祝いの御挨拶にいらっしゃる方とお話ししていると、向こうの方にエリオット様が見えました。あ、アランやジョージもいますね。
エリオット様の側には……まあ、リンゼイが号泣しているじゃないの。エリオット様のご卒業が寂しいのね。エリオット様も、そこは大判タオルじゃなくてハンカチを渡すところですよ。
エリオット様はリンゼイという婚約者を得て、アランは夢だった騎士団へ入団。ジョージは文官試験に合格して、晴れて春からは王宮で国王陛下のためにお勤めするようです。皆さまそれぞれの道に進んで、夢いっぱいですね。
円卓を囲んでワイワイ喧嘩していた頃が嘘のようです。
「コレット。この後時間あるか? 見せたいものがある」
「はい、大丈夫です。私もレオ様にお渡ししたいものがあるので、ちょうど良かったです」
パーティの後で王宮へ移動しますが、馬車が止まったのはなぜか裏門の前。この場所は、私にとっても思い入れのある場所です。子供の頃は裏門を入ったところにある畑の周りで使用人たちとたくさん遊びました。大きくなってからも、オラオラだったレオ様に幾度となく呼び出され、裏門からレオ様のところに馳せ参じたりもしました。
そして何より、レオ様に新しい婚約者様がいらっしゃると誤解した私が、レオ様にお別れを告げた場所でもあります。あの時の身を切られるような気持ちを思い出すと、今でも切なくなってしまいますね。
「殿下! お嬢! お待ちしておりました」
私たちを出迎えたのは、使用人のジェラード。レオ様が私に見せたいものって何なのかしら。ジェラードも一緒に見るの?
ジェラードが先に歩き、レオ様に手を引かれて私たちも続きます。いつもの野菜畑とは違う、少し離れた開けた場所に案内されました。低い木々に囲まれて、外からは見えづらいこの一角。ただ、空は開けていて月がよく見えます。ジェラードが下がり、そこからはレオ様の案内で進むようです。
「ちょっと離れててごめんな、もうすぐだから」
「レオ様、こんなところで一体何を?」
「……ほら、これ! 見覚えあるだろ?」
月明かりの下でレオ様が指さした場所には、何本かの低木。忘れるわけがないじゃないですか、毎日水やりをして何度も見ていましたから。この葉っぱは……
「ムーンライトフラワー!」
「正解!」
レオ様は顔をくしゃっとして笑います。あの時は鉢におさまる程度の大きさだったのに、こんなに大きくなって数も増えて……。意外とレオ様、植物を育てるのお好きだったのですね。すごく嬉しそうです。
「コレットに教えてもらった通り、接ぎ木で増やそうと思ったんだけど上手くいかなくて。ジェラードに手伝ってもらって、ここまで増えた」
「……接ぎ木? 私、そんなこと申しましたか?」
「……うん? コレットが言ったんだよな。接ぎ方が大切だよって」
半年前のことなのに、すっかり忘れましたね。そもそもムーンライトフラワーの育て方には詳しくなかったので、増やし方も知らなかったのですが。でもあの時は、レオ様にお別れを言うことで気持ちがいっぱいでしたから。忘れただけかもしれません。
「ごめんなさい、私その時、別のことで頭がいっぱいだったので……」
「ああ、そうだよな! うんうん、そうだった」
……レオ様、なぜそんなに顔を真っ赤にしてニヤニヤしてらっしゃるの? 私のお別れの言葉が、そんなに嬉しかったですか?
「レオ様、ひどいです。私はあの時、死んでしまいたいくらいの気持ちで申し上げたのですよ!」
「そうか、そんなにも俺のことを……。コレット、本当にありがとう。俺もコレットのことが大好きだ。愛してる。夏至の日になったら、もう一度この花を一緒に見よう」
なんだか話が通じませんね。まあ、いいです。
「そうだレオ様、私からのプレゼントも受け取ってくれますか? 自分で作ってみたんですけど……」
まず一つ目。メイに言われたのではなく、自分で考えたプレゼントです。包みをレオ様に渡します。
「……このフワフワしたものはなんだ?」
「ネックピローと言いまして、馬車で移動する時に首が痛くならないように付けるんです! きっとレオ様、これから外国へ行ったりする機会も多いでしょう? 馬車の中で眠りたい時とかに使ってください」
前世の記憶をたどって作ったネックピロー。実用的でいいと思ったのですが、レオ様も気に入ってくれたようです。早速首に付けてモフモフしています。
「そして、もう一つ……こっちはあまり自信がないのですが……」
絶対レオ様が喜ぶからと、メイに言われて準備したプレゼント。メイの発案だから、すごく不安なんだけれど……
ああ、レオ様! そんなに期待に満ちた目で見ないで!
今日の卒業パーティーは皆さん少しラフな格好で、色々なデザインや色の装いが素敵です。レオ様もブラックの上下に、差し色のグリーンがさわやかですね。
「ありがとう。コレットはあと二年だな、待ってるからな」
頭をポンポンと撫でられた私は、満面の笑みで返します。あと二年経ったら……結婚よね? レオ様にふさわしい王太子妃になれるよう、頑張ってお勉強します!
レオ様と一緒に、卒業祝いの御挨拶にいらっしゃる方とお話ししていると、向こうの方にエリオット様が見えました。あ、アランやジョージもいますね。
エリオット様の側には……まあ、リンゼイが号泣しているじゃないの。エリオット様のご卒業が寂しいのね。エリオット様も、そこは大判タオルじゃなくてハンカチを渡すところですよ。
エリオット様はリンゼイという婚約者を得て、アランは夢だった騎士団へ入団。ジョージは文官試験に合格して、晴れて春からは王宮で国王陛下のためにお勤めするようです。皆さまそれぞれの道に進んで、夢いっぱいですね。
円卓を囲んでワイワイ喧嘩していた頃が嘘のようです。
「コレット。この後時間あるか? 見せたいものがある」
「はい、大丈夫です。私もレオ様にお渡ししたいものがあるので、ちょうど良かったです」
パーティの後で王宮へ移動しますが、馬車が止まったのはなぜか裏門の前。この場所は、私にとっても思い入れのある場所です。子供の頃は裏門を入ったところにある畑の周りで使用人たちとたくさん遊びました。大きくなってからも、オラオラだったレオ様に幾度となく呼び出され、裏門からレオ様のところに馳せ参じたりもしました。
そして何より、レオ様に新しい婚約者様がいらっしゃると誤解した私が、レオ様にお別れを告げた場所でもあります。あの時の身を切られるような気持ちを思い出すと、今でも切なくなってしまいますね。
「殿下! お嬢! お待ちしておりました」
私たちを出迎えたのは、使用人のジェラード。レオ様が私に見せたいものって何なのかしら。ジェラードも一緒に見るの?
ジェラードが先に歩き、レオ様に手を引かれて私たちも続きます。いつもの野菜畑とは違う、少し離れた開けた場所に案内されました。低い木々に囲まれて、外からは見えづらいこの一角。ただ、空は開けていて月がよく見えます。ジェラードが下がり、そこからはレオ様の案内で進むようです。
「ちょっと離れててごめんな、もうすぐだから」
「レオ様、こんなところで一体何を?」
「……ほら、これ! 見覚えあるだろ?」
月明かりの下でレオ様が指さした場所には、何本かの低木。忘れるわけがないじゃないですか、毎日水やりをして何度も見ていましたから。この葉っぱは……
「ムーンライトフラワー!」
「正解!」
レオ様は顔をくしゃっとして笑います。あの時は鉢におさまる程度の大きさだったのに、こんなに大きくなって数も増えて……。意外とレオ様、植物を育てるのお好きだったのですね。すごく嬉しそうです。
「コレットに教えてもらった通り、接ぎ木で増やそうと思ったんだけど上手くいかなくて。ジェラードに手伝ってもらって、ここまで増えた」
「……接ぎ木? 私、そんなこと申しましたか?」
「……うん? コレットが言ったんだよな。接ぎ方が大切だよって」
半年前のことなのに、すっかり忘れましたね。そもそもムーンライトフラワーの育て方には詳しくなかったので、増やし方も知らなかったのですが。でもあの時は、レオ様にお別れを言うことで気持ちがいっぱいでしたから。忘れただけかもしれません。
「ごめんなさい、私その時、別のことで頭がいっぱいだったので……」
「ああ、そうだよな! うんうん、そうだった」
……レオ様、なぜそんなに顔を真っ赤にしてニヤニヤしてらっしゃるの? 私のお別れの言葉が、そんなに嬉しかったですか?
「レオ様、ひどいです。私はあの時、死んでしまいたいくらいの気持ちで申し上げたのですよ!」
「そうか、そんなにも俺のことを……。コレット、本当にありがとう。俺もコレットのことが大好きだ。愛してる。夏至の日になったら、もう一度この花を一緒に見よう」
なんだか話が通じませんね。まあ、いいです。
「そうだレオ様、私からのプレゼントも受け取ってくれますか? 自分で作ってみたんですけど……」
まず一つ目。メイに言われたのではなく、自分で考えたプレゼントです。包みをレオ様に渡します。
「……このフワフワしたものはなんだ?」
「ネックピローと言いまして、馬車で移動する時に首が痛くならないように付けるんです! きっとレオ様、これから外国へ行ったりする機会も多いでしょう? 馬車の中で眠りたい時とかに使ってください」
前世の記憶をたどって作ったネックピロー。実用的でいいと思ったのですが、レオ様も気に入ってくれたようです。早速首に付けてモフモフしています。
「そして、もう一つ……こっちはあまり自信がないのですが……」
絶対レオ様が喜ぶからと、メイに言われて準備したプレゼント。メイの発案だから、すごく不安なんだけれど……
ああ、レオ様! そんなに期待に満ちた目で見ないで!
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