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ヒロインよ、王太子ルートを選べ!~本編~

コレットの災難、アランの危機④ ※アラン視点

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「……アラン?」

 扉を開けて外から入ってきた救世主。それは、

「エリオット!!」

 助かった! 助かったよ、エリオット! 一体なぜ急にお前がこんなところに?

「エリオット様、どうなさったの? あら、まあ……」

 エリオットの後ろから現れたのは、マティアスの妹のリンゼイ。ああ、人は多ければ多いほど安心だ。こんな雨の中で、どうしてここに来てくれたんだろうか。

「エリオット様。私たち、見てはいけないものを見たのではないかしら。二人のお邪魔になりますので、ここは何もなかったように去りましょう……」

 おい、待て! 誤解するな! これは、疲れて眠くて座り込んでる俺に、ヒロインが勝手に迫ってきているだけなんだ、信じてくれ!

 リンゼイはエリオットの袖を引っ張って、外に出ようと促した。俺が声も出せず焦る中、エリオットはどこから出してきたのか、大判のタオルを二枚手に取って俺たちに駆け寄る。

「こんなに濡れて……大丈夫か? よければ使ってくれ」

「いや、そういうお前も全身ずぶぬれじゃないか」

 俺から手を離したヒロインが、エリオットとリンゼイの方に向かって小さくお辞儀をする。ちょっと全員で落ち着いて話そう。俺たちがなぜ二人でこの小屋にいるのか、エリオットたちがなぜこの小屋にたどり着いたのか、多分きちんと説明しておかないと誤解が生じるぞ、これは。

 エリオットの話によると、この一帯はスペンサー領。リンゼイと婚約が決まり、今週末はスペンサー家とリンゼイで一緒にここを訪れたそうだ。二人で散歩中、滝の近くで俺の馬を見つけた。馬の背中にくくりつけられた地図を見て不思議に思った二人は、その地図をたどってこの小屋にたどり着いたそうだ。

 これでコレットの指示の理由が分かった。

 きっとエリオットたちが今週末にスペンサー領を訪れることを知っていたんだろう。どうせこの二人なら、滝でびしょぬれデートをすると踏んだ。そこに俺の馬があれば、馬好きのエリオットは気にするに違いない。そこに地図をおき、この小屋まで誘導する。雨でずぶぬれの俺たちを見れば、エリオットは絶対に助けてくれるだろうと思ったんだ。

 コレットは一体何者なんだ。予言者か。

 とにかく作戦が成功して、俺は助かった。ヒロインを捕まえるというミッションも達成したし、俺の樹液は守られた。あとはコイツを虫かご……ではなくて馬車に押し込んで、王都まで戻るだけだ。

「アラン様。私、お二人の仲のことは絶対に言いません。絶対に言いませんから!」

「いや、リンゼイ嬢。誤解なんだ」

「アラン大丈夫だ。未婚の男女がこんなところで二人きり……なんて、誰にも言わない。この小屋も、引き続き使ってもらっていいぞ」

 思い切り誤解している二人に何とか頼み込み、俺たちはスペンサー邸に泊めてもらう事になった。

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