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ヒロインよ、王太子ルートを選べ!~本編~
攻略対象の円卓会議② ※王太子視点
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第一回攻略対象円卓会議を終わらせるために、俺は三つのことを妥協した。
まず、王太子ルートは廃止しない。次に、攻略された人物には報奨金と将来の重要ポストを約束する。そして最後に、キャラ崩壊だ。
そもそも王太子ルート廃止の相談のために会議を開いたのに、これでは一見ボロ負けだ。しかしその代わり、俺とコレットの仲を全員が全力で応援するという約束を得た。
マティアスは最後まで嫌がったが、最後は将来の重要ポスト確約の条件の前にひれ伏した。
つまり俺は、コレットに自分の気持ちを伝えた上で、王太子ルートを継続して演じる許可を得なければならない。難易度の高すぎるミッションだ。短期間で一気にキメなければ、事態は悪化する一方になる。
報奨金と重要ポストの件は、致し方ないと思う。国王の権限を整理し、法治国家として民意を反映した政治を行うのが、俺の目標だ。成果を上げた者には評価をして、どんどん要職に登用していくべきなのだ。
ヒロインに攻略されるという仕事をやり遂げた暁には、それなりのメリットがあって然るべきだろう。
そして最後に、これからは攻略対象同士、フェアにいこうという事になった。みんな腹の内を包み隠さず話すこと。対等な立場でやり取りすること。キャラ崩壊してしまった俺も、本性のまま振る舞うことを約束させられた。
さあこれで、永年拗らせ続けた俺のコレットに対する想いを伝える準備は整った。
まずは、これまで冷たく当たってきたことへの謝罪だ。そして、『コレットの未来は俺が守る、好きだコレット!』これで決まりだ!
……いや、そんな事で上手くいったら神様はいらない。何か保険が欲しいな。
そうだ! 俺はなぜ忘れていたんだ。ムーンライトフラワーの鉢植えがあるじゃないか。生徒会室から持って帰って、今は俺が持っている。王宮に保管しておくのは危険だと思っていたんだ、近くにヒロインがいるから。
これをコレットに渡して、『コレット、夏至の日に二人で見よう。このムーンライトフラワーを』これで行こう。
ちょっと気持ち悪いかな。
もし受け取りを拒否されたら、コレットの部屋にそっと置いてこよう。まずはコレットの部屋に侵入だ!
普段は俺が昼に夜にコレットを呼びつけていたから、俺がコレットを尋ねたら驚くだろうな。夜に呼び出した時には、髪の毛がボッサボサのまま駆けつけてくれた事もあった。あれは悶絶するほど可愛かったが、呼びつける俺は最低だった。
リード公爵邸に到着して取り次ぎを頼んだ後、俺は応接間で待たせてもらった。なかなかコレットは降りて来ない。相当怒っているだろうな。俺の顔も見たくないだろうか。それとも、もう馬に蹴られて死んでる頃だと思っているだろうか。
「レオ! どうしたんだ! ああ、コレットだな。こっちだ、付いてこいよ」
通りがかったのは、コレットの兄ジェレミーだ。彼はとにかく合理的でせっかちなので、俺が来ているのを見てすぐにコレットの部屋に案内してくれた。
最終的な目標に向けて、最短コースを瞬時に選ぶジェレミー。なかなか優秀な人材だ。人に対する礼儀や、人の気持ちを察する能力はゼロだが。
俺はムーンライトフラワーの鉢植えを手に、コレットの部屋に入った。
まず、王太子ルートは廃止しない。次に、攻略された人物には報奨金と将来の重要ポストを約束する。そして最後に、キャラ崩壊だ。
そもそも王太子ルート廃止の相談のために会議を開いたのに、これでは一見ボロ負けだ。しかしその代わり、俺とコレットの仲を全員が全力で応援するという約束を得た。
マティアスは最後まで嫌がったが、最後は将来の重要ポスト確約の条件の前にひれ伏した。
つまり俺は、コレットに自分の気持ちを伝えた上で、王太子ルートを継続して演じる許可を得なければならない。難易度の高すぎるミッションだ。短期間で一気にキメなければ、事態は悪化する一方になる。
報奨金と重要ポストの件は、致し方ないと思う。国王の権限を整理し、法治国家として民意を反映した政治を行うのが、俺の目標だ。成果を上げた者には評価をして、どんどん要職に登用していくべきなのだ。
ヒロインに攻略されるという仕事をやり遂げた暁には、それなりのメリットがあって然るべきだろう。
そして最後に、これからは攻略対象同士、フェアにいこうという事になった。みんな腹の内を包み隠さず話すこと。対等な立場でやり取りすること。キャラ崩壊してしまった俺も、本性のまま振る舞うことを約束させられた。
さあこれで、永年拗らせ続けた俺のコレットに対する想いを伝える準備は整った。
まずは、これまで冷たく当たってきたことへの謝罪だ。そして、『コレットの未来は俺が守る、好きだコレット!』これで決まりだ!
……いや、そんな事で上手くいったら神様はいらない。何か保険が欲しいな。
そうだ! 俺はなぜ忘れていたんだ。ムーンライトフラワーの鉢植えがあるじゃないか。生徒会室から持って帰って、今は俺が持っている。王宮に保管しておくのは危険だと思っていたんだ、近くにヒロインがいるから。
これをコレットに渡して、『コレット、夏至の日に二人で見よう。このムーンライトフラワーを』これで行こう。
ちょっと気持ち悪いかな。
もし受け取りを拒否されたら、コレットの部屋にそっと置いてこよう。まずはコレットの部屋に侵入だ!
普段は俺が昼に夜にコレットを呼びつけていたから、俺がコレットを尋ねたら驚くだろうな。夜に呼び出した時には、髪の毛がボッサボサのまま駆けつけてくれた事もあった。あれは悶絶するほど可愛かったが、呼びつける俺は最低だった。
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通りがかったのは、コレットの兄ジェレミーだ。彼はとにかく合理的でせっかちなので、俺が来ているのを見てすぐにコレットの部屋に案内してくれた。
最終的な目標に向けて、最短コースを瞬時に選ぶジェレミー。なかなか優秀な人材だ。人に対する礼儀や、人の気持ちを察する能力はゼロだが。
俺はムーンライトフラワーの鉢植えを手に、コレットの部屋に入った。
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