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1話 前編

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戦争に負け、捕虜になった俺。そして、俺は……

「うわああああああ!?」

「あはははっ! どうだっ!?クラウス、寝ているうちにスライムを服の中に入れられる気分は!」

「おおお!!?」

「ほらほらぁ~?クラウス、早く逃げないと窒息しちゃうぞぉ?自慢の筋肉でなんとかしてみろよ」

そう言って俺の体を這いずり回る小さいスライムを楽しそうに眺めている俺の主人。黒い髪に白い肌。俺が180cmくらいだから160cmも身長がないかもしれない。俺よりずっと小柄で細い。神経質そうな釣り目と繊細そうな外見のくせに性格は大胆で最悪だ。労働奴隷で売られていた俺を買って一年経つが飽きもせずに毎日遊んでいる。

「ぐぬぬぅ……」

ペタッと俺の顔に張り付いた小さい青いスライムを手で剥がし床に投げ付けた。

「まだ余裕がありそうだな。じゃあ夜はもっと激しくしてやる!!」

そう言って無邪気に笑う主人。名前はリムル。俺を買ったその日に教えてくれた。
俺はこの悪魔のような主人の奴隷をして一年目だ。
俺の主人のリムルの通う学校は彼の屋敷からかなり離れた町にある。だから学校のある町でマンションを借りて暮らしている。俺は世話係兼性奴隷兼おもちゃとして連れてこられ、モンスターと科学と魔法のある不思議なこの町でのんびりリムルの世話をしながら生きている。

++++++
リムルとの出会いを思い出す。あれは俺が捕虜のまま戦争が終わったころだった。いろいろあって捕虜仲間達と国に帰れるはずだった。
だが、俺達が自国への輸送中に脱走を企ててたグループがいて、それに運悪く巻き込まれてしまったのだ。
俺は運良く殺されずに逃げることが出来たのだが、行く宛なんてどこにもない。いろいろあって奴隷商のところへ売り飛ばされ、奴隷商から肉体労働系の奴隷として売り出されたその日にリムルに買われた。

「おい! こいつの腰布を取れ」

リムルの第一声がこれだった。奴隷は体の傷やらチェックされるから店で商品になっている間、ほぼ裸だ。肉体労働する奴隷は大概いまいちな外見が多い。俺も筋肉以外イマイチだけど。そんな奴等の股間のプラプラを見たい奴はいないので腰布は巻いていいことになっていた。

「はい、ただいま」

奴隷商がいけすかないチビに恭しく頭を下げて俺の腰布を取る。周りには俺と同じように奴隷として売られている奴等がいるので俺は恥ずかしくて死にたくなっていた。

「ふむ。恥じらう顔もいいな。性奴隷はこいつにしよう」

「えぇ!? 」

俺より奴隷商が驚いた。そうだよな。性奴隷は顔の良いガチムチから色気むんむんまで上玉を集めてるもんな。値段も高いし一体売ればしばらくホクホクだしな。

「なんだ? 不満なのか?」

神経質そうな目が奴隷商を睨んだ。こんなのが俺の主人になるなら俺は不満しかないぞ。

「いえいえとんでもない!! ただ、性奴隷にするには主人に逆らわないようにする教育が重要でして……」

奴隷商の心配は分かる。こんなチビが筋肉の塊みたいなオレを調伏とかさせれそうに見えないもんな。

「そんなもの必要ないさ。こいつはもうボクのものだ」

まだ金払ってお買い上げされてねーぞ。と奴隷の俺が思った。俺の順応力が高いせいで心のなかでツッコミが止まらない。

「わかりました……。では早速手続きをしてきますので……」

奴隷商が足早に去って行った。

「お前の名前は?」

「……クラウスです」

「クラウスか。よろしくな」

そう言って差し出された手は俺のプラプラを握った。俺の両手は枷されてて握手できないもんな。俺の第三の手は自由だからそれで握手しよう。ってアホかっ。
心では馬鹿みたいな事を考えれるのだが、捕虜でボロボロになって奴隷として売られると心の一部が麻痺する。もうすでに諦めの境地にいる俺は抵抗する気持ちが生まれなかった。プラプラを自分より小さくて細いガキに弄り回されながら奴隷商の手続きが終わるのを待っていた。

それからお買い上げされた俺はリムルの家に連れて来られた。そこは貴族街にある豪邸で奴隷を買うような金持ちが住む場所に相応しいとおもった。
家に入るとリムルはまず俺に服をくれた。

「これは……?」

「見てわからないか?意外と馬鹿なんだな。服だ」

いやそれはわかる。でもなんで奴隷の俺に服くれるんだよ。サイズ合うかな。破れた時の弁償はどうすんだろう。俺は訳がわかんなくて混乱していた。

「あの……何故俺に……」

「お前には今日からボクの世話係兼肉便器兼おもちゃになってもらおうと思ってな。そのための服だ」

性奴隷は裸でいつでもヤレルようにしてるんだと思ってたが、服を着ていいのか。というか最後のおもちゃは絶対嫌だぞ。

「はい……」

奴隷だから逆らえないけどな。

「ああ、それとボクのこと様付けして敬語使うの禁止な」

「は……え?」

「クラウスは奴隷だ。ボクの命令は絶対だ。逆らったら奴隷商に売り飛ばすからな」

俺はこの日から主人のリムルに敬語を使わない奴隷になった。


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