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元御主人様・現使用人✕元奴隷・現雇用主(外見表現ほぼなし)

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 ヤンデルは兄弟との後継者争いに敗れ、なんとか逃げた先で人売りに捕まり異国で奴隷として売り飛ばされた。
 数年後、その国が近隣国に攻め入られて負け、国の領土は複数に分断され、ヤンデルがいた国にも吸収された。
そして運良く、ヤンデルを探していた親族達と再会することができ、彼は奴隷から貴族へと舞い戻った。


奴隷だったヤンデルは元貴族で元主人カスティールに手を差し出して、堂々と「お前もついてこい」と言った。

カスティールは迷いもなくその手を取って、戦争と暴動で崩壊しかかった家どころか崩壊した国を一緒に出た。
 
 ヤンデルが元主人を救った理由を人々に聞かれるといつもこう答えた。

「彼は私に新しい世界を見せてくれたんだ。使い潰しの奴隷なんて扱いはされていない。食事も美味しいものを与えてくれた。環境も整えてくれたし、仕事という生きがいもくれた。だから、私は恩返しをしたいんだ」

そう聞いた人々は「ヤンデルはなんて運が良いんだ。カスティールも人間として素晴らしい人だ」と褒め称えた。

数年間も領地を離れていたヤンデルだが、貴族に戻るとすぐに才能を発揮した。戦争で亡くなった兄弟に代わって領地を治めれば、他の地域に比べて微細ではあるが復興が早かった。
 誰もが立派な領主様だというヤンデルだが、実際はマゾだった。
最初は自分の命を守るためにカスティールに従っていたが、いつしか彼を『私の主人』だと思うようになっていた。
堂々とした領主の姿を見せているのは、カスティールを守るためという本能。
いつも仕事に行く前にカスティールから「見捨てられたくないのなら、しっかり働け。お前の働きは隣でずっと見ているぞ。腑抜けた仕事をしていたら鞭打ちだ」と言いつけられ、捨てられないようずっとがんばっているだけだった。

「あんっ♡だ、だめっ♡ そんなに激しくされたらっ♡ ああぁんっ♡」

「くくくっ、ダメじゃないだろ? こうやって強くされるのが奴隷時代から大好きだったじゃないか」

 ベッドの上で抱き合う二人。
下側になったヤンデルはカスティールに揺さぶられ、甘い声を上げていた。

「ちがっ♡ あぁんっ♡ 思い出させな、いでぇ♡」

「思い出させるな、だと?領主になり、領地が安定してきたからと図にのっているな」

カスティールはヤンデルがわざと怒らせ煽る態度をとっているのを知って、弱点である乳首を強く摘んだ。

「ああぁぁんっ♡ そ、そこぉ♡ だめぇぇぇ♡」

「調子に乗っているな。 こんなにビンビンにして、ここも我慢できなくなってるじゃないか」

カスティールはヤンデルの男根を掴んで、上下に激しく動かした。胸と男根を触ることで、自然と腰の動きは穏やかになる。

「あぁんっ♡ そっ、そこぉ♡ あぁん♡ そんなにされたらぁ♡」

腹の中の気持ちよさは薄くなっても男根の気持ちよさが増える。数週間、唯一、ずっと触ってもらえなかったソコへ刺激は、心を満たすもので快感がより増すものだった。

「されたら何だ?気持ち良すぎて、オスに戻るのか?さっきまで突き上げられて喜ぶメスだったぞ」

ヤンデルは射精が近くなっているのか、息が荒くなり身体を震えさせた。

「う、うんっ♡ もうっ♡ だめぇ♡ダメなオスに戻っちゃうぅ」

「ダメなオスにも栄誉を与えてやる。イク時は『カスティール様』と言え」

カスティールはヤンデルの男根を擦る速さを上げた。

「あぁんっ♡ カ、カスティール様ぁ♡」

命令通り、射精と同時に体を支配する男の名を呼ぶ。

「そうだ。もっと俺の名を呼べ!」

カスティールはさらに激しく動かした。
パンパンと肉同士がぶつかる音が部屋に響く。

「んおっ、おおぉ~~~~♡」

頂後を重ねて与えられる快感で締まった尻穴にカスティールも果てた。

「あ、あぁん♡ あつぅ♡」

ヤンデルは中出しされた熱に酔いしれるヤンデル。

カスティールは自分の男根を抜き、ベッドへ横たわる。

「まったく……人の命令も聞けないとはダメだな」

ヤンデルは呆れられても健気に清潔な布を用意して、カスティールの汗や付着した二人の体液を拭いていく。

「あぁ……♡ ごめんなさい♡ でも、カスティール様の……すっごく……良くて……♡」

「奴隷の頃も『カスティール様の方が気持ちいいです』と言っていたな」

「はい♡ カスティール様が……一番好きですぅ♡」

「ふん、当たり前だ。上の階級になったからといって心変わりなど許さないからな」

カスティールはヤンデルが体を拭き終わるとまたベッドに押し倒した。

「あんっ♡ もちろんです……♡」

ヤンデルはまたあの快楽を味わえる喜びで期待に満ちている。カスティールはそんな彼の胸の先を指先で優しく撫でる。

「あんっ♡ あぁ~~♡」

「まだまだ夜は長いぞ。さっきは失敗していたが、イクときは『カスティール様』と言うんだ」

「あああああ♡またイッちゃう♡イッちゃう♡イクイクイク♡」

カスティールをだいしゅきホールドしながら、ヤンデルは再び絶頂を迎えた。

「メスとしてもダメだな。まったく……これではただの肉筒だな」

「んほぉっ♡ ごめんなしゃっ♡」

「イキながら謝るな。一番最低なお仕置きをされたいのか?全裸で縛り付け、排泄物回収機ですと札を立てて外に捨て置いてやろうか。それとも柄の悪いと評判のグループに捧げるか」

「いやぁ、ヤダぁあん、 カスティールさま~♡カスティールしゃまあ♡捨てないでぇ」

カスティールの脅しにヤンデルは上目使いで媚び、必死になって許しを乞う。
自分を捨てればカスティールに居場所はないことを知っているから、ヤンデルはカスティールのために必死で言葉を紡いでいた。

「ならば、わかっているな?」

「あ♡あぁ♡お慈悲をぉ♡イク時は、カスティールさまって、いいまっ♡いいましゅから♡」

「ふっ……俺になら何をされても気持ちいいと言え」

「はいぃ♡カスティールしゃまに……されることはぁ……すべて気持ちよくて……♡ヤンデルだめぇになるぅ♡またイクよぉ♡カスティールさまああぁ~~~♡」

「そうだ、その調子だ」

カスティールはヤンデルの体へさらに密着し、耳元で囁く。

「お前は俺がいないとダメな奴だ。俺がいなければ、誰にも見向きもされない男だ」

「はいっ♡はいぃ♡ヤンデルはカスティールしゃましかいないです♡」

「ふっ」

密着状態で小刻みに腰を振るカスティール。
彼も本当はヤンデルがいなければ路頭に迷うことを知っている。
カスティールはヤンデルをひと目見て惚れ込み、すぐに奴隷商から買った。綺麗に着飾り、食べ物に不自由させず、自分の隣でいつも眠らせた。
金と権力しかなかった彼は、ヤンデルが領主になっても変わらず慕ってくれても不安だった。
だから過去の奴隷時代を持ち出してはヤンデルの気持ちを揺さぶり、自分が上位であると覚えさせた体でつなぎ止めていた。

「あっ♡ああっ♡」

ヤンデルの身体は十分に火照って耳も赤くなっている。
血のめぐりが良くなって過敏になった耳元でカスティールは囁いた。

「お前は俺の物だ」

「はいぃ♡私はカスティール様のですぅ♡あぁん♡イクっ♡」

二人はまた絶頂を迎え、抱きしめあった状態でベッドに横たわる。
二人はそのまま朝まで眠りについたのだった。
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