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飛び立つ時
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朝食を終えると四人は町に出て服や装備を整えた。カメリアはいつリンネやリンネの使用人達と出くわすか分からないため髪と顔を隠すためにフード付きのローブを購入し、その下には動きやすいズボンを履いた。武器は魔法使いやヒーラー向けの木の杖にした。
サリサは冒険初心者向けの布の服とその上からつける皮の防具とショートソードを購入した。
ツキカゲは武器に刀があるので皮の防具だけ購入した。
「よし、準備完了ね。お祖父様の所へ行って後は巫女として森に向かうだけね」
「その前に冒険者登録しておきましょう。後で合流するけどママ達のパーティーメンバーになっておけば制限区域にも行けるわよ」
「えっ!?ママのパーティーに!?」
カメリアが驚く。てっきり自分達で新しいパーティーを作るものとばかり思っていた。サリサも同じ考えだったため驚いている。
「あら、当然よ。カメリアはママの娘だし、サリサとツキカゲは私の娘の友達なんだからママが三人とも守るに決まってるでしょ。それに妖精の森はCランク以上の制限区域よ。カメリアが新しいパーティーを作ってもEランクから始まるんだからママ達と一緒の方が早く森に行けるのよ」
ハイビビスの説明を聞き納得するカメリア達。
「冒険者ギルドで手続きしたらお祖父ちゃんの所へ行くわよ。さあ、シュッパーツ!」
三人を連れてハイビビスはこの街の冒険者ギルドに向かって歩き出した。
***冒険者ギルド***
カメリア達は受付に渡された紙に名前と種族、職業、ステータスを書く
のだがそれぞれ壁に突き当たる。
カメリアとサリサはありえないレベルや3桁の能力値を正直に書いても信じて貰えなかった。
ツキカゲは職業を「侍」と書いたのだが、この国に侍はいないので職業として扱えないと言われてしまった。では護衛と書き直すと今度は「戦士」の職業を名乗ることになると言われてしまう。この国では戦歴のないツキカゲは「見習い戦士」としか書けなかった。
結局、実際のステータス表に書かれた職業とは違ってサリサとツキカゲは「戦士見習い」と書き、ツキカゲのステータスの数字を少し下げた能力値でサリサはステータスを提出した。
カメリアは「ヒーラー見習い」にして同じようにステータスを書いたものを提出した。
カメリアが受付が席を外している間にこっそりと小声で母親に話かけた。
「お母様、ギルドで登録するときは『鑑定』など使うのではないのですか?」
「大きいところはね。予算があんまり出ない小さいギルドはそこまで手が回らないみたいね」
「でもお母様、それだと嘘をつく人もいるのではないですか?」
実際にカメリアとサリサはレベル1で申請している。それなら他の人間が実際のレベルより少し高めに申請していてもおかしくはない。
「えぇ、そうね。だから新規パーティーはレベルに関係なしでEランクから出発なのよ。実力相応ならすぐにランクが上がるわよ。
それにランク上げは任務達成の実績がないと昇級試験を受けられないのよ。Dランクの昇級試験でちゃんと『鑑定』されるからそれが正式な冒険者登録と言われているのよ」
「なるほど、だから最初に登録するときは手抜きなのですね」
「そういうこと。それに昇級にはメリットもあるのよ。Dランク以上になると指名依頼を受けられるからね。Eランクは見習い、Dランクは正式な冒険者って線引ききなのよ。カメリア達はママのパーティーに加入するから、既存パーティーに入る時はそのランクからスタートできるわよ。だけど低レベルがハイランクの任務をしたらすぐに死ぬし、生き残れていれば相応のレベルになるってことで自然淘汰が出来るって理由で黙認されているのよ」
「う~ん、なんだか釈然としないですけど・・・」
そんな話をしているうちに受付が戻ってきた。
「はい。これが冒険者証。職業ランクは見習いってことで鉄クラスだから冒険者証はこの色と形。パーティーランクはCランクだからここに『C』って書いてあるから」
受付から受け取った冒険者証は鉄の色だが鉄よりも軽い。鉄の色に着色されているだけのようだった。形は長方形だった。表には「C」と書いてある。裏にはなにも書かれていなかった。
「これで私も冒険者なのですね。ありがとうございます」
カメリアは嬉しくなって笑顔になった。その横でサリサも冒険者に成れたことを喜んでいる。ツキカゲは無表情で冒険者証を受け取り、すぐにカメリアの傍に戻ってきていた。
「はい。冒険者登録完了。おめでとう」
「じゃあ、皆も冒険者証を受け取ったしお祖父ちゃんの所へ行きましょう」
四人は冒険者ギルドを後にした。
サリサは冒険初心者向けの布の服とその上からつける皮の防具とショートソードを購入した。
ツキカゲは武器に刀があるので皮の防具だけ購入した。
「よし、準備完了ね。お祖父様の所へ行って後は巫女として森に向かうだけね」
「その前に冒険者登録しておきましょう。後で合流するけどママ達のパーティーメンバーになっておけば制限区域にも行けるわよ」
「えっ!?ママのパーティーに!?」
カメリアが驚く。てっきり自分達で新しいパーティーを作るものとばかり思っていた。サリサも同じ考えだったため驚いている。
「あら、当然よ。カメリアはママの娘だし、サリサとツキカゲは私の娘の友達なんだからママが三人とも守るに決まってるでしょ。それに妖精の森はCランク以上の制限区域よ。カメリアが新しいパーティーを作ってもEランクから始まるんだからママ達と一緒の方が早く森に行けるのよ」
ハイビビスの説明を聞き納得するカメリア達。
「冒険者ギルドで手続きしたらお祖父ちゃんの所へ行くわよ。さあ、シュッパーツ!」
三人を連れてハイビビスはこの街の冒険者ギルドに向かって歩き出した。
***冒険者ギルド***
カメリア達は受付に渡された紙に名前と種族、職業、ステータスを書く
のだがそれぞれ壁に突き当たる。
カメリアとサリサはありえないレベルや3桁の能力値を正直に書いても信じて貰えなかった。
ツキカゲは職業を「侍」と書いたのだが、この国に侍はいないので職業として扱えないと言われてしまった。では護衛と書き直すと今度は「戦士」の職業を名乗ることになると言われてしまう。この国では戦歴のないツキカゲは「見習い戦士」としか書けなかった。
結局、実際のステータス表に書かれた職業とは違ってサリサとツキカゲは「戦士見習い」と書き、ツキカゲのステータスの数字を少し下げた能力値でサリサはステータスを提出した。
カメリアは「ヒーラー見習い」にして同じようにステータスを書いたものを提出した。
カメリアが受付が席を外している間にこっそりと小声で母親に話かけた。
「お母様、ギルドで登録するときは『鑑定』など使うのではないのですか?」
「大きいところはね。予算があんまり出ない小さいギルドはそこまで手が回らないみたいね」
「でもお母様、それだと嘘をつく人もいるのではないですか?」
実際にカメリアとサリサはレベル1で申請している。それなら他の人間が実際のレベルより少し高めに申請していてもおかしくはない。
「えぇ、そうね。だから新規パーティーはレベルに関係なしでEランクから出発なのよ。実力相応ならすぐにランクが上がるわよ。
それにランク上げは任務達成の実績がないと昇級試験を受けられないのよ。Dランクの昇級試験でちゃんと『鑑定』されるからそれが正式な冒険者登録と言われているのよ」
「なるほど、だから最初に登録するときは手抜きなのですね」
「そういうこと。それに昇級にはメリットもあるのよ。Dランク以上になると指名依頼を受けられるからね。Eランクは見習い、Dランクは正式な冒険者って線引ききなのよ。カメリア達はママのパーティーに加入するから、既存パーティーに入る時はそのランクからスタートできるわよ。だけど低レベルがハイランクの任務をしたらすぐに死ぬし、生き残れていれば相応のレベルになるってことで自然淘汰が出来るって理由で黙認されているのよ」
「う~ん、なんだか釈然としないですけど・・・」
そんな話をしているうちに受付が戻ってきた。
「はい。これが冒険者証。職業ランクは見習いってことで鉄クラスだから冒険者証はこの色と形。パーティーランクはCランクだからここに『C』って書いてあるから」
受付から受け取った冒険者証は鉄の色だが鉄よりも軽い。鉄の色に着色されているだけのようだった。形は長方形だった。表には「C」と書いてある。裏にはなにも書かれていなかった。
「これで私も冒険者なのですね。ありがとうございます」
カメリアは嬉しくなって笑顔になった。その横でサリサも冒険者に成れたことを喜んでいる。ツキカゲは無表情で冒険者証を受け取り、すぐにカメリアの傍に戻ってきていた。
「はい。冒険者登録完了。おめでとう」
「じゃあ、皆も冒険者証を受け取ったしお祖父ちゃんの所へ行きましょう」
四人は冒険者ギルドを後にした。
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