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ラブホテルで一皮むけて幸せな時間を過ごしたあの日から、僕はますます元気になって掃除も庭の手入れも力が入って埃も落ち葉もないピカピカの家になったよ。
「ふんふんふ~ん」
研究所へお手伝いに行く時に皆でお茶とかするかな?っと思って、若奥様が通るという差し入れクッキー作りの練習!
焼きたてのクッキーは甘くて香ばしい匂いがして、このまま食べたいけどもまだ最後の仕上げがあるからつまみ食いができない。
冷ましたクッキーを摘んで溶かしたチョコレートが入ったボールに半分だけ入れる。
引き上げてチョコレートが落ちなくなったらクッキングシートに並べるんだ。
すると夜と昼みたいな色のクッキーの完成!
味見で一枚パクっと食べるとお店ほどじゃないけど美味しい。
「はあ……クッキーとチョコレートを組み合わせた人は天才だよ……」
魔界と違って人間界ではチョコレートがいつでも買えると分かっても僕の中では素敵なお菓子。
それがサクサクのクッキーにかかったら最高で……。
「えへへ」
僕は魔界にはないものを作る楽しさにチョコのクッキーを持って思わずスキップしちゃうよ!
クッキーの半分はロードリック様のデザートで、残りは今から始める読書タイムのおやつにしよっと。
僕はロードリック様の寝室の本棚から『世界スイーツ大全集』と『悪役令息はグルメ王!』を取り出して運び、リビングのソファに座った。
まずは世界スイーツ大全集から読んでみる。
「わぁ……これ食べたいな……もぐもぐ……」
もう何十回読んだだろう。この本のお菓子はどれも凄く美味しそうだから見飽きないし、何度見ても美味しそう。
いつか外国へロードリック様と一緒に遊びに行けたら行ってみたいなぁ。そして本に載ってるお菓子を食べるんだ。
お菓子だけじゃなくてその国の料理も食べて、ラブホテルにも行って……えへへへ。いっぱい素敵な時間を過ごしたいなぁ。
次に『悪役令息はグルメ王!』を読むことにする。この本では悪役令息が王子に婚約破棄されてグルメを極める物語なんだ。
この本の中で登場するお菓子はどれも美味しそうで読んでるとお腹が空いてきちゃうんだよね。
そっとクッキーに手を伸ばして、ぱくっ、サクサク……。
「ふぅ……このチョコレートの甘さとクッキーの甘さがベストマッチ……」
サクッとした食感とクッキーとチョコレートの甘さが口の中に広がる。本ではクッキーにジャムを乗せていて、これも食べたいなあって思った。
でもチョコのクッキーしかないから今は我慢。……さくさく……ぱくぱく……
「あ、もう無くなっちゃった」
あっという間に無くなってしまったお菓子にちょっと残念な気持ちになるけども本の続きを読んだ。
☆★☆
今日は寝る前のお酒を僕のクッキーと一緒に楽しむロードリック様とお喋りの時間。
「ロードリック様、クッキーのお味はどうですか?」
「ああ、美味しいよ」
そう言ってお酒を飲みながら僕の作ったお菓子を食べてくれる。それが凄く嬉しいんだよね。
「ところでアレックス……」
「はい?」
クッキーを食べる手を止めたロードリック様に僕は首を傾げた。なんだろう?
「これから俺を呼ぶ時に様を付けて呼ばないようにして欲しい」
「え!?どうしてですか!?」
悪魔は支配なんて嫌いだけど認めた相手には敬意を込めて『様』をつけてる。だから僕はびっくりして思わず大きな声を出しちゃった。
ロードリック様はすごく苦渋な表情をして僕を見つめている。
「この仕事で呪いや悪魔について学んできているから敬称の意味も知っているが、人間界では、いや、この国では夫や妻を『様』をつけて呼ばないんだ。研究所では聖女の他にも取材で人が来るはずだからそういう者達に余所余所しい呼び方で仲が悪いと受けとられたくない。呼び捨てるのが難しいなら『ロードリックさん』と呼んでもらいたい」
「あ……」
そういえば聖女が各地を視察に行くときはテレビや新聞でたくさん取り上げられる。聖女のおまけで僕達の関係を取材された時に『ロードリック様』って呼んで、仲が悪いなんて誤解を僕も広められたくないよ。
「分かりました!そうします」
僕は大きく頷いて返事をした。でも心の中ではちょっとだけ寂しいなって思ってしまったんだ。
でも人間界の暮らしに合わせなきゃ駄目だし、彼の言う事はもっともだよね。取材の人が来るなら気をつけないと……。僕のせいで魔界にも迷惑かけたくないし。
「ありがとう。アレックス。しばらく仕事が忙しくて二人になる時間が少ないが、次にホテルへ行くときは、その、最後まで結ばれよう」
「はい!ロードリック様!」
僕は満面の笑みで大きく頷いた。
「ロードリックさんだ。アレックス。ちゃんと言えない子はおしおきだ」
そういいながらロードリック様は僕のお腹をもにもにと揉んだ。
「んひゃ、くすぐったいです。ロードリック様」
「こら、ロードリックさんだ。わざとなのか?」
「ごめんなさい。ロードリックさ、ん」
ちゃんと『さん』をつけて言おうとしたのにロードリック様が僕に口づけて、舌を入れちゃうから僕の言葉は途切れてしまう。
「ん……あむ……ふっ」
でもロードリック様とキス出来るほうが大事。僕は彼の肩に手を添えて、キスの気持ち良さに身を委ねた。
ラブホテルで一皮むけて幸せな時間を過ごしたあの日から、僕はますます元気になって掃除も庭の手入れも力が入って埃も落ち葉もないピカピカの家になったよ。
「ふんふんふ~ん」
研究所へお手伝いに行く時に皆でお茶とかするかな?っと思って、若奥様が通るという差し入れクッキー作りの練習!
焼きたてのクッキーは甘くて香ばしい匂いがして、このまま食べたいけどもまだ最後の仕上げがあるからつまみ食いができない。
冷ましたクッキーを摘んで溶かしたチョコレートが入ったボールに半分だけ入れる。
引き上げてチョコレートが落ちなくなったらクッキングシートに並べるんだ。
すると夜と昼みたいな色のクッキーの完成!
味見で一枚パクっと食べるとお店ほどじゃないけど美味しい。
「はあ……クッキーとチョコレートを組み合わせた人は天才だよ……」
魔界と違って人間界ではチョコレートがいつでも買えると分かっても僕の中では素敵なお菓子。
それがサクサクのクッキーにかかったら最高で……。
「えへへ」
僕は魔界にはないものを作る楽しさにチョコのクッキーを持って思わずスキップしちゃうよ!
クッキーの半分はロードリック様のデザートで、残りは今から始める読書タイムのおやつにしよっと。
僕はロードリック様の寝室の本棚から『世界スイーツ大全集』と『悪役令息はグルメ王!』を取り出して運び、リビングのソファに座った。
まずは世界スイーツ大全集から読んでみる。
「わぁ……これ食べたいな……もぐもぐ……」
もう何十回読んだだろう。この本のお菓子はどれも凄く美味しそうだから見飽きないし、何度見ても美味しそう。
いつか外国へロードリック様と一緒に遊びに行けたら行ってみたいなぁ。そして本に載ってるお菓子を食べるんだ。
お菓子だけじゃなくてその国の料理も食べて、ラブホテルにも行って……えへへへ。いっぱい素敵な時間を過ごしたいなぁ。
次に『悪役令息はグルメ王!』を読むことにする。この本では悪役令息が王子に婚約破棄されてグルメを極める物語なんだ。
この本の中で登場するお菓子はどれも美味しそうで読んでるとお腹が空いてきちゃうんだよね。
そっとクッキーに手を伸ばして、ぱくっ、サクサク……。
「ふぅ……このチョコレートの甘さとクッキーの甘さがベストマッチ……」
サクッとした食感とクッキーとチョコレートの甘さが口の中に広がる。本ではクッキーにジャムを乗せていて、これも食べたいなあって思った。
でもチョコのクッキーしかないから今は我慢。……さくさく……ぱくぱく……
「あ、もう無くなっちゃった」
あっという間に無くなってしまったお菓子にちょっと残念な気持ちになるけども本の続きを読んだ。
☆★☆
今日は寝る前のお酒を僕のクッキーと一緒に楽しむロードリック様とお喋りの時間。
「ロードリック様、クッキーのお味はどうですか?」
「ああ、美味しいよ」
そう言ってお酒を飲みながら僕の作ったお菓子を食べてくれる。それが凄く嬉しいんだよね。
「ところでアレックス……」
「はい?」
クッキーを食べる手を止めたロードリック様に僕は首を傾げた。なんだろう?
「これから俺を呼ぶ時に様を付けて呼ばないようにして欲しい」
「え!?どうしてですか!?」
悪魔は支配なんて嫌いだけど認めた相手には敬意を込めて『様』をつけてる。だから僕はびっくりして思わず大きな声を出しちゃった。
ロードリック様はすごく苦渋な表情をして僕を見つめている。
「この仕事で呪いや悪魔について学んできているから敬称の意味も知っているが、人間界では、いや、この国では夫や妻を『様』をつけて呼ばないんだ。研究所では聖女の他にも取材で人が来るはずだからそういう者達に余所余所しい呼び方で仲が悪いと受けとられたくない。呼び捨てるのが難しいなら『ロードリックさん』と呼んでもらいたい」
「あ……」
そういえば聖女が各地を視察に行くときはテレビや新聞でたくさん取り上げられる。聖女のおまけで僕達の関係を取材された時に『ロードリック様』って呼んで、仲が悪いなんて誤解を僕も広められたくないよ。
「分かりました!そうします」
僕は大きく頷いて返事をした。でも心の中ではちょっとだけ寂しいなって思ってしまったんだ。
でも人間界の暮らしに合わせなきゃ駄目だし、彼の言う事はもっともだよね。取材の人が来るなら気をつけないと……。僕のせいで魔界にも迷惑かけたくないし。
「ありがとう。アレックス。しばらく仕事が忙しくて二人になる時間が少ないが、次にホテルへ行くときは、その、最後まで結ばれよう」
「はい!ロードリック様!」
僕は満面の笑みで大きく頷いた。
「ロードリックさんだ。アレックス。ちゃんと言えない子はおしおきだ」
そういいながらロードリック様は僕のお腹をもにもにと揉んだ。
「んひゃ、くすぐったいです。ロードリック様」
「こら、ロードリックさんだ。わざとなのか?」
「ごめんなさい。ロードリックさ、ん」
ちゃんと『さん』をつけて言おうとしたのにロードリック様が僕に口づけて、舌を入れちゃうから僕の言葉は途切れてしまう。
「ん……あむ……ふっ」
でもロードリック様とキス出来るほうが大事。僕は彼の肩に手を添えて、キスの気持ち良さに身を委ねた。
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