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12.変化球をぶつけられる

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**お預け二日目**

朝起きるとリムルはベッドにいなかった。トイレにでも行ったのか?とりあえず俺は着替えて朝飯を作るとするか

「おはよう」

「ああ、起きたか」

トイレにでもいると思ったリムルはリビングの室内用折りたたみ洗濯物干しに洗濯物を干していた。家事は嫌いなはずなのに珍しいこともあるものだ。

「今日は天気が良いらしいから洗濯してやったぞ。感謝しろ」

「ありがとな」

よく見るとシャツのシワが伸ばしてないし、タオルの端がよれている。これはシワを伸ばして干すのをやり直しだなと思いつつお礼を言った。

「ふふん♪」

機嫌が良いみたいだし、水を差して怒らしても面倒だからな。嵐が起きないようにするのも大変だ。

***

リムルが学校から帰るといつものように着替えていたが、いつもの服と違った。
いつもは漫画『ヒーロー様の最愛奴隷』っていう「性奴隷をたくさん持ってるけど、事情があってなヒーロー様。だけど唯一になれたのが新人性奴隷の主人公が相手の時だけ。だけどハイスペックイケメンなヒーロー様」にリムルは憧れて「ボクはかっこいいヒーロー様のようになるんだ。受け受けしい服なんて着ない」と言う。だから服装はネクタイまではしないが紳士的な格好ばかりだ。
なのに今はピッタリと体に密着したへそ出しのタンクトップを着ていた。しかも短いショートパンツを履いているから、すらっと伸びた生足が惜しげもなく晒されている。

「どうだ?似合うか?」

リムルはその場でクルッと一回転した。

「どうって、良いんじゃないか?」

お預け二日目でコレは刺激的だ。俺は理性を総動員させながら平常心を装って答えたがリムルは不満そうに頬を膨らませた。

「何だそのつまんない反応は。せっかく可愛いカッコしたのに」

「つ、つまんないとはなんだよ。それより宿題しとけよ。その間に飯も炊けるからな」

「うわぁ、出た。クラウスママのお小言」

いつもなら「クラウスのバカ」程度なのに今日の悪口はひねりがあった。

「誰がママだ!」

どこでそんな悪い言葉を覚えたんだ。悪い子にはお仕置きだって襲ってしまいたいがお預け中に手なんて出したら小悪党リムルの思うツボだから我慢だ。

「はいはい。わかりましたー。ママは怖いですねぇ」

口を尖らせ、リビングのテーブルについたリムル。イラッとしながら俺もキッチンに向かった。

***
夜になってもリムルはショートパンツ、へそ出しタンクトップのままだ。しかも俺の膝に乗っかり、こっちを明らかに誘惑してくる。だけどここで負けてはいけない。俺がその誘いに乗ったらお仕置きだと宣言される。こんなことで俺が負けてたまるか。

俺が耐えているのを察したのかリムルは俺の首筋を舐めてきた。

「おい、止めろ」

「んー?どうして?」

どうして?はこっちのセリフだ。いつものふんぞり返った態度はどこ行った?服が可愛いから性格も可愛くなったのか?

「どうしてもこうしてもあるか。おあずけ中だ」

「えぇ……それはクラウスだけだろ。ボクはお触りして良いんだ。ご主人様だからな。クラウスはボクが求めたら応えるって約束しただろ。ボクがお触りしても我慢しろ」

リムルは一瞬だけ可愛い子のふりしてただけで可愛くなかった。服越しに俺の乳輪周りを指先で円を書くように触ってくる。くすぐったいからやめてくれと言うかわりにその手首を掴んだ。

「なあ、さっきの首筋を舐めたのはなんだったんだ?」

「あれはクラウスが美味しそうだったからだ」

するんと俺の手から腕を抜き取り、抱きついてくるリムル。

「……やっぱり悪魔か」

お預け中にあんなことやこんなことされたら解禁だって思うだろ。なのに手をだせないんだぜ。

「違う。ボクはサキュバスだ」

魔王の次はサキュバスか。リムルの考えるシュチュエーションは設定が豊富だな。だがこのサキュバス(ってリムルの脳内設定)は魅了魔法を使えないから逃げる方法がある。

「トイレに行くから降りろ」

そう。離れることだ。さっきは逃げる方法と言ってしまったがこれは逃げじゃない。戦略的離脱って奴だ。

「むぅ……」

リムルは不満な顔をして俺の膝から降りた。

***

「……寝れない」

俺は布団の中で寝返りを打った。
なんとかリムルに手をださないことには成功した。だが一つのベッドで一緒に寝るし、お預け二日目であんなことやこんなことをされて悶々としている。
お預け三日目はキスくらい許してくれるだろうか……。
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