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11 井の中の蛙大海を知らず
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初のダンジョン行き。
それは前世の私がゲームの中で体験したこと。
冒険者ならば、戦闘です。
薬草採取で行った南門を出て、魔物や魔獣がいると言う深い森に入る。
もう、心臓はバクバクですよ。
人間世界の魔物や魔獣は、ヴェルジュが、洞窟へ運んで来てくれたから、知っているが、強さはわからない。
捌いて食べるだけだったから。
「緊張してるの?」
厚化粧のミラーが振り向いて聞いて来た。
「あ、はい。まだ自分には早い未知なる森なので」
「ほんと、何処のお嬢様? ここいらの森なんて、何処でもあるわよ」
ひらひらと、手を振るミラーだ。
そうなの?
やたら、魔物や魔獣の気配を感じるのですが・・。
氷の世界は、静かだった。
天候は厳しいくらいに、吹雪だったけど、魔獣とかは見たことがない。
洞窟の周りにいないだけだったのか?
「あちこちにいるよ・・」
「わかるのか?」
それはリーダーのダニエルだ。
彼の槍は、とても大きい。
それを軽々と持つなんて、さすがC級だ。
「はい。 こちらを警戒しています。 」
「まぁ、ここらの魔物や魔獣はスルーよ。目的は森の奥にあるプラトーダンジョンだからね」
ミラーが、言う言葉に、かっこいいと思ってしまった。
やはり、人間世界の人々は、幼い頃から、鍛えているのだ。
私もスパルタ訓練で、鍛えて頂いたつもりだが、通用するのだろうかと不安です。
シューンーーー
ぎぇえええーーー
「射撃は自信ありって本当ね」
「あ、はい。」
何が?
私の横を歩いていたハーフエルフのノアが、一瞬止まったかと思ったら、次の瞬間、矢を放ち、先に進むダニエル達を超えた先にある、大きな木の上にいた蜂モドキの魔物を仕留めていました。
すごい・・・。
どうしてまだ青銅のカードなのだろう?
「止まっているものなら外さないんだけど・・。」
ノアが、小さな声で私に言う。
それってオリンピックなら優勝だろう。
「すごい・・・。」
素直に口から漏れました。
「それって使えねーじゃねーか」
けっと、鼻ピアスのガイルは言い捨てたんだよ。
「すみません・・」
ノアが、頭を下げた。
なんで?
すごいのに。
皆はノアの仕留めた蜂モドキを無視して、先を急ぐ。
ドッチボールくらいある蜂モドキは、美味いのに。
最後尾にいたから、ロイ印のウエストポーチにこっそりと入れた。
こやつを解体したら、甘い蜜の袋があるんだよ。
ヴェルジュが、薬草当てっこで正解したら、ご褒美にくれたっけ。
ダンジョンの入口は、古代遺跡を思わせる。
蔦がうっそうとしていて、不気味だ。
「ノアは来たことは?」
「いえ」
「そう、だったらはぐれないように。カーラも。中はちょっと複雑だから」
ミラーが、先頭に行く。
その後ろに私とノアで、鼻ピアスのガイルと槍使いのダニエルは後方だ。
「結構後方から襲われるの」
ミラーが教えてくれる。
そうなんだ~としか言えない。
初めてですからね。
厚化粧のミラーは盗賊スキルで、探索が得意なのだ。
中に入る。
ハッキリ言って暗い。
小さな灯りをミラーがつける。
「光る魔石。高いのよ」
何もかもが「そうなんだ~」です。
私ってつくづく世間知らず。
これは井の中の蛙大海を知らずって言うんだよな。
「いるわよ! ここは主に昆虫モンスターが多い。」
ミラーの言葉で、緊張が走った。
あっちからもこっちからも、カサカサと言う音と、共に得体の知れない負の感覚。
肌がぞわぞわっとした。
後ろで、鼻ピアスのガイルが、何かをぶん殴る。
その度に昆虫モンスターの奇怪な音。
横から、気配を感じた。
咄嗟に出したレージングルチョップ!
ただ、腕で振り払おうとしただけです。
転がる大きなダンゴムシだった。
「ひっ!」
当たって良かったけど、外したら、その大きな牙で血みどろ殺人事件だったにちがいない。
「お嬢様、やるじゃない」
「偶然です。」
本当に偶然。
だってシグルーンに、当たった事は極々たま~にで、しかも効き目なしだったし。
そして、何食わぬ顔で、ダンゴムシをロイ印のウエストポーチに入れた。
これは中々クリーミーなのです。
ヴェルジュが小さく切ってくれたお肉に、付けて食べると、また違った味わいがあった。
「おい! それって収納袋か?」
「はい。」
鼻ピアスのガイルに答える。
「本当に、何処のお嬢様? 気まぐれで冒険者なのかしら?」
なんでお嬢様?
気まぐれでもなんでもない。
ロイ爺さんの匠の技を、何一つ、ものにできなかったからだ。
「これは祖父と母親? 達が持たせてくれたものです。私は不器用者なので・・冒険者ギルドでしか登録できないと」
「やっぱりお嬢様じゃない。家はお金持ちなんだ・・。ふ~ん。」
ミラーの言葉にトゲを感じつつも、ダンジョンの奥へ奥へと進んで行った。
「ドローシ」
右手を高い天井へ突き出した。
五本の指の魔石から、鎖が放たれる。
それは、しっかりした天井へと突き刺し、同時に飛ぶ。
なんとも言えない悪寒が私を、襲ったからだ。
「降りてきやがれーーー!」
それは鼻ピアスのガイルの声。
「逃げても無駄よ。金持ちなら、防具とその鞄を置いていきな! 命は助けてあげるわ」
それは厚化粧のミラー。
「あいつの防具も鞄も武器も超最高品だ。ガイルの言う通りだ。お前ら逃がすなよ」
C級のダニエルまでが!?
「光の精霊よ! シャイン!」
ノアの声がしたかと思うと、ダンジョンの中が明るくなった。
「カーラ! 逃げて」
ノアが走り出す。
「きゃ!」
「逃がさないよ。お前は、ダンジョンから出るときの囮にしてやる」
何という恐ろしい事をミラーは言った。
「最初から私の防具が目当てだった?」
「決まっているじゃない。薬草採取している新人冒険なんて、足手まといまたはモンスターの餌」
怖すぎるし!
人間世界って。
「この世界は殺すか殺されるか! 弱肉強食。覚えとけ」
ダニエルは長い大きな槍を私に向けた。
「レージングル!」
太い左手の鎖が、天井に突き刺す。
ドローシを戻し、三人組に向けた。
この世界は弱肉強食。
「ドローシショック!」
右手から放たれる鎖が、三人を捉え、そしてその後、ビリビリと放電した。
「ノア、大丈夫?」
「ええ、私は平気」
先輩冒険者達は完全に麻痺しています。
めちゃくちゃあっけない。
「カーラって強いね」
「たまたま上手くいっただけだよ。成功した事がなかったんだ」
そう、全くシグルーンには通用しなかったし。
「さて、どうする?」
「このままだと・・」
三人組を放置したら、昆虫モンスターのお食事になるだろう。
「連れ帰りながら、モンスター退治。」
「うん! 」
「だったら~」
私もレベルアップの時だ。
ドローシで、捕縛を試みる。
五本の鎖が、昆虫モンスターを其々捕らえると言う、中々に、器用な技の特訓開始。
鎖が、捉えた昆虫モンスターを、ノアが射抜く。
縛った的ならば当たります。
左手のレージングルは、三人組を捕縛し、ズルズルと引きずっていますよ。
重くない?
全く重くないです。
私って案外力持ちみたい。
ノアが仕留めた昆虫モンスターは全てロイ印のウエストポーチにポイポイ入れていく。
本当に射撃は上手で、素材には、矢の跡が一つだけ。
とても綺麗な状態だ。
ダンジョンから出ると、すっかり日が暮れていた。
「野宿って・・」
「森での野宿は危険よ」
どうしたものか?
三人組は目を覚ましたら、またレージングルショックで、気絶させる。
起きたらうるさそうだから。
取り敢えず火を起こす。
ぐりゅぐりゅ~と互いのお腹が盛大に鳴った。
「じゃ、一匹だけ解体して食べよう」
「・・そうね」
ロイ印のウエストポーチからノアが仕留めた蜂モドキを取り出した。
「それって」
「うん。勿体ないから」
ニコニコ顔で、ロイ爺が入れてくれていたナイフを取り出し、サクサク解体した。
「この蜜袋と、ダンクの宿屋の胡桃パン。」
蜂蜜をたらした胡桃パンはたまらん。
ノアの表情筋も、たまらんと崩れている。
そして蜂モドキをがぶりと食べた。
「えっ!? 生で食べたらダメだよ」
「えっ!?」
「えっ!?」
見つめ合う美少女だ。
「平気なの・・?」
「うん。」
「せめて炙る。こうしたら美味しいし、魔物の毒素が抜けるんだよ。ちゃんと調理するの。」
知らなかった・・・す!
毒素・・あったんだ。氷の世界の水は浄化してたが、人間世界から、ヴェルジュが運んできた食材はしたことがない。
ヴェルジュもシグルーンもそのまま食べていたし。
私・・よく生きてこれたんだな。
そのあと、ノアが炙ってくれた蜂モドキは、確かに美味しかったです。
お腹が膨れると睡魔が襲ってくる。
だけど、こんな森の中で眠るのは、殺してくださいと言っているようなものだ。
立上り、ここは意を決してノアを担ぎ、森を疾走しようとした時だった。
「ダメですよ~。女の子が、夜にこんな森で。ちゃんと宿に戻らないと。そんな子に育てた覚えはありません」
「ヴェルジュ!」
白く長い髪。
ルビー色の綺麗な瞳。
優しい声。
全身に駆け巡る嬉しさ。
まだ別れてほんの少しなのに、嬉しすぎて泣けてくる。
「ヴェルジュ、あのね、私ダンジョンに行ったんだよ」
「はいはい。その話は、街に戻ってから。まずはここから出ます。そこの女の子は?」
「ノアです! 白の聖女様。お会いしたかった。あの時、父を助けてくださりありがとうございました。」
ノアは感涙している。
知り合いだったの?
世間とはなんとも・・
「では少し眠ってくださいな」
ヴェルジュはノアのおでこに長く白い人差し指でふれる。
するとノアの意識がなくなった。
「ふふふっ、竜だとばれちゃうといけませんから」
その仕草はとても綺麗だ。
ふと、私は振り向く。
それはシグルーンの気配がしたと思ったから。
「ヴェルジュ、シグルーンは?」
「彼女なら、お婿さん探しの旅にでましたよ。ちなみにロイ爺さんは、私と一緒です。会えるかもしれませんね」
素直に嬉しい。
ただ、シグルーンに会えないのが残念ですが、やっと自由になったのだから、大いにこの世界を満喫して欲しいと思う。
シグルーンのお婿さんってやはり、大きな狼フェンリルのなんだろう。
出会えたらいいね。
難無く、街に戻った私達は、冒険者ギルドで、三人組を引き渡し、大量の昆虫モンスターを換金。
しばらく宿代はなんとかなりそう。
無事、ノアはブロンズカードになりました。
昆虫モンスターを仕留めたのはノアだしね。
私は、まだまだこれからですよ。
初めてのダンジョンは、世間知らずの私には良い体験だった。
そこで教訓。
ロイ爺さんが持たせてくれたメモを見る。
九割、物作りの事が書かれているが、旅や遠出の時には、ちゃんと準備はしていくことと、走り書きがありました。
寝袋しかり、お薬に食料と水など。
今回は、ヴェルジュがお迎えに来てくれたから、無事だったが、寝袋や水は大事だよね。
魔物や魔獣は火を通すことを、ノアから学んだし。
もっとドローシとレージングルの操作を頑張らないといけません。
それは前世の私がゲームの中で体験したこと。
冒険者ならば、戦闘です。
薬草採取で行った南門を出て、魔物や魔獣がいると言う深い森に入る。
もう、心臓はバクバクですよ。
人間世界の魔物や魔獣は、ヴェルジュが、洞窟へ運んで来てくれたから、知っているが、強さはわからない。
捌いて食べるだけだったから。
「緊張してるの?」
厚化粧のミラーが振り向いて聞いて来た。
「あ、はい。まだ自分には早い未知なる森なので」
「ほんと、何処のお嬢様? ここいらの森なんて、何処でもあるわよ」
ひらひらと、手を振るミラーだ。
そうなの?
やたら、魔物や魔獣の気配を感じるのですが・・。
氷の世界は、静かだった。
天候は厳しいくらいに、吹雪だったけど、魔獣とかは見たことがない。
洞窟の周りにいないだけだったのか?
「あちこちにいるよ・・」
「わかるのか?」
それはリーダーのダニエルだ。
彼の槍は、とても大きい。
それを軽々と持つなんて、さすがC級だ。
「はい。 こちらを警戒しています。 」
「まぁ、ここらの魔物や魔獣はスルーよ。目的は森の奥にあるプラトーダンジョンだからね」
ミラーが、言う言葉に、かっこいいと思ってしまった。
やはり、人間世界の人々は、幼い頃から、鍛えているのだ。
私もスパルタ訓練で、鍛えて頂いたつもりだが、通用するのだろうかと不安です。
シューンーーー
ぎぇえええーーー
「射撃は自信ありって本当ね」
「あ、はい。」
何が?
私の横を歩いていたハーフエルフのノアが、一瞬止まったかと思ったら、次の瞬間、矢を放ち、先に進むダニエル達を超えた先にある、大きな木の上にいた蜂モドキの魔物を仕留めていました。
すごい・・・。
どうしてまだ青銅のカードなのだろう?
「止まっているものなら外さないんだけど・・。」
ノアが、小さな声で私に言う。
それってオリンピックなら優勝だろう。
「すごい・・・。」
素直に口から漏れました。
「それって使えねーじゃねーか」
けっと、鼻ピアスのガイルは言い捨てたんだよ。
「すみません・・」
ノアが、頭を下げた。
なんで?
すごいのに。
皆はノアの仕留めた蜂モドキを無視して、先を急ぐ。
ドッチボールくらいある蜂モドキは、美味いのに。
最後尾にいたから、ロイ印のウエストポーチにこっそりと入れた。
こやつを解体したら、甘い蜜の袋があるんだよ。
ヴェルジュが、薬草当てっこで正解したら、ご褒美にくれたっけ。
ダンジョンの入口は、古代遺跡を思わせる。
蔦がうっそうとしていて、不気味だ。
「ノアは来たことは?」
「いえ」
「そう、だったらはぐれないように。カーラも。中はちょっと複雑だから」
ミラーが、先頭に行く。
その後ろに私とノアで、鼻ピアスのガイルと槍使いのダニエルは後方だ。
「結構後方から襲われるの」
ミラーが教えてくれる。
そうなんだ~としか言えない。
初めてですからね。
厚化粧のミラーは盗賊スキルで、探索が得意なのだ。
中に入る。
ハッキリ言って暗い。
小さな灯りをミラーがつける。
「光る魔石。高いのよ」
何もかもが「そうなんだ~」です。
私ってつくづく世間知らず。
これは井の中の蛙大海を知らずって言うんだよな。
「いるわよ! ここは主に昆虫モンスターが多い。」
ミラーの言葉で、緊張が走った。
あっちからもこっちからも、カサカサと言う音と、共に得体の知れない負の感覚。
肌がぞわぞわっとした。
後ろで、鼻ピアスのガイルが、何かをぶん殴る。
その度に昆虫モンスターの奇怪な音。
横から、気配を感じた。
咄嗟に出したレージングルチョップ!
ただ、腕で振り払おうとしただけです。
転がる大きなダンゴムシだった。
「ひっ!」
当たって良かったけど、外したら、その大きな牙で血みどろ殺人事件だったにちがいない。
「お嬢様、やるじゃない」
「偶然です。」
本当に偶然。
だってシグルーンに、当たった事は極々たま~にで、しかも効き目なしだったし。
そして、何食わぬ顔で、ダンゴムシをロイ印のウエストポーチに入れた。
これは中々クリーミーなのです。
ヴェルジュが小さく切ってくれたお肉に、付けて食べると、また違った味わいがあった。
「おい! それって収納袋か?」
「はい。」
鼻ピアスのガイルに答える。
「本当に、何処のお嬢様? 気まぐれで冒険者なのかしら?」
なんでお嬢様?
気まぐれでもなんでもない。
ロイ爺さんの匠の技を、何一つ、ものにできなかったからだ。
「これは祖父と母親? 達が持たせてくれたものです。私は不器用者なので・・冒険者ギルドでしか登録できないと」
「やっぱりお嬢様じゃない。家はお金持ちなんだ・・。ふ~ん。」
ミラーの言葉にトゲを感じつつも、ダンジョンの奥へ奥へと進んで行った。
「ドローシ」
右手を高い天井へ突き出した。
五本の指の魔石から、鎖が放たれる。
それは、しっかりした天井へと突き刺し、同時に飛ぶ。
なんとも言えない悪寒が私を、襲ったからだ。
「降りてきやがれーーー!」
それは鼻ピアスのガイルの声。
「逃げても無駄よ。金持ちなら、防具とその鞄を置いていきな! 命は助けてあげるわ」
それは厚化粧のミラー。
「あいつの防具も鞄も武器も超最高品だ。ガイルの言う通りだ。お前ら逃がすなよ」
C級のダニエルまでが!?
「光の精霊よ! シャイン!」
ノアの声がしたかと思うと、ダンジョンの中が明るくなった。
「カーラ! 逃げて」
ノアが走り出す。
「きゃ!」
「逃がさないよ。お前は、ダンジョンから出るときの囮にしてやる」
何という恐ろしい事をミラーは言った。
「最初から私の防具が目当てだった?」
「決まっているじゃない。薬草採取している新人冒険なんて、足手まといまたはモンスターの餌」
怖すぎるし!
人間世界って。
「この世界は殺すか殺されるか! 弱肉強食。覚えとけ」
ダニエルは長い大きな槍を私に向けた。
「レージングル!」
太い左手の鎖が、天井に突き刺す。
ドローシを戻し、三人組に向けた。
この世界は弱肉強食。
「ドローシショック!」
右手から放たれる鎖が、三人を捉え、そしてその後、ビリビリと放電した。
「ノア、大丈夫?」
「ええ、私は平気」
先輩冒険者達は完全に麻痺しています。
めちゃくちゃあっけない。
「カーラって強いね」
「たまたま上手くいっただけだよ。成功した事がなかったんだ」
そう、全くシグルーンには通用しなかったし。
「さて、どうする?」
「このままだと・・」
三人組を放置したら、昆虫モンスターのお食事になるだろう。
「連れ帰りながら、モンスター退治。」
「うん! 」
「だったら~」
私もレベルアップの時だ。
ドローシで、捕縛を試みる。
五本の鎖が、昆虫モンスターを其々捕らえると言う、中々に、器用な技の特訓開始。
鎖が、捉えた昆虫モンスターを、ノアが射抜く。
縛った的ならば当たります。
左手のレージングルは、三人組を捕縛し、ズルズルと引きずっていますよ。
重くない?
全く重くないです。
私って案外力持ちみたい。
ノアが仕留めた昆虫モンスターは全てロイ印のウエストポーチにポイポイ入れていく。
本当に射撃は上手で、素材には、矢の跡が一つだけ。
とても綺麗な状態だ。
ダンジョンから出ると、すっかり日が暮れていた。
「野宿って・・」
「森での野宿は危険よ」
どうしたものか?
三人組は目を覚ましたら、またレージングルショックで、気絶させる。
起きたらうるさそうだから。
取り敢えず火を起こす。
ぐりゅぐりゅ~と互いのお腹が盛大に鳴った。
「じゃ、一匹だけ解体して食べよう」
「・・そうね」
ロイ印のウエストポーチからノアが仕留めた蜂モドキを取り出した。
「それって」
「うん。勿体ないから」
ニコニコ顔で、ロイ爺が入れてくれていたナイフを取り出し、サクサク解体した。
「この蜜袋と、ダンクの宿屋の胡桃パン。」
蜂蜜をたらした胡桃パンはたまらん。
ノアの表情筋も、たまらんと崩れている。
そして蜂モドキをがぶりと食べた。
「えっ!? 生で食べたらダメだよ」
「えっ!?」
「えっ!?」
見つめ合う美少女だ。
「平気なの・・?」
「うん。」
「せめて炙る。こうしたら美味しいし、魔物の毒素が抜けるんだよ。ちゃんと調理するの。」
知らなかった・・・す!
毒素・・あったんだ。氷の世界の水は浄化してたが、人間世界から、ヴェルジュが運んできた食材はしたことがない。
ヴェルジュもシグルーンもそのまま食べていたし。
私・・よく生きてこれたんだな。
そのあと、ノアが炙ってくれた蜂モドキは、確かに美味しかったです。
お腹が膨れると睡魔が襲ってくる。
だけど、こんな森の中で眠るのは、殺してくださいと言っているようなものだ。
立上り、ここは意を決してノアを担ぎ、森を疾走しようとした時だった。
「ダメですよ~。女の子が、夜にこんな森で。ちゃんと宿に戻らないと。そんな子に育てた覚えはありません」
「ヴェルジュ!」
白く長い髪。
ルビー色の綺麗な瞳。
優しい声。
全身に駆け巡る嬉しさ。
まだ別れてほんの少しなのに、嬉しすぎて泣けてくる。
「ヴェルジュ、あのね、私ダンジョンに行ったんだよ」
「はいはい。その話は、街に戻ってから。まずはここから出ます。そこの女の子は?」
「ノアです! 白の聖女様。お会いしたかった。あの時、父を助けてくださりありがとうございました。」
ノアは感涙している。
知り合いだったの?
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するとノアの意識がなくなった。
「ふふふっ、竜だとばれちゃうといけませんから」
その仕草はとても綺麗だ。
ふと、私は振り向く。
それはシグルーンの気配がしたと思ったから。
「ヴェルジュ、シグルーンは?」
「彼女なら、お婿さん探しの旅にでましたよ。ちなみにロイ爺さんは、私と一緒です。会えるかもしれませんね」
素直に嬉しい。
ただ、シグルーンに会えないのが残念ですが、やっと自由になったのだから、大いにこの世界を満喫して欲しいと思う。
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今回は、ヴェルジュがお迎えに来てくれたから、無事だったが、寝袋や水は大事だよね。
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何があっても関係ありません!
私とユートの恋は本物だってことを証明してみせます!
『本物の恋、見つけました』の続編です。
二章から読んでも楽しめるようになっています。
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