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第2の愛人!?
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減税のための作業をして書斎から寝室へ戻ると、見慣れない光景があった。
ベランダで美少年がタバコを吸っていた。
……いや、ちょっと疲れているのか。幻覚が見えてきた。
しかし、幻にしてはやけにはっきりとしている。歳は、14歳くらいだろうか。スラリとした手足を持つ、幼さはないけれど大人になる前の美少年だ。
よく見ると、すごく顔が整っている。確実に黄金比だと思える目、鼻、口の配置をしている。瞳は、焦げ茶色で、ダークブロンドの髪が風でなびいている様子が絵になる。
右目の下には、泣きぼくろがある。スッとした鼻筋、細い眉、直線上に結んだ唇は笑顔とは程遠いイメージを持たせた。着古したような長い上質なコートを着ている感じは、まるでプロのカメラマンの被写体になっているように似合っている。
右の髪は長いのに、左の髪はそれほど長くない。左右非対称の髪型であるのに、それすらも完璧だと思わせてしまう魅力がある。欠けた満月をぼんやりと見つめながら、不満そうに手すりによりかかっている。さばさばとした感じのませたガキだ。
んん。
こんなに詳しく見えるなんて幻覚じゃないのか。使用人、騎士団、奴隷の名前と顔は、全員チェックしたと思ったがこんな奴いたっけ。とりあえず、子供がタバコを吸っているのは、無過ごせない。
窓をガラリと開けて、タバコをとりあげる。
「おい、お前、タバコはやめろよ」
「あんたからもらったんだけど」
「……」
どうやら、戦犯は僕だったようです。
少年は優雅にタバコの煙を吐き出した。吐き出された息は、冷たい夜の空気に溶けていった。
「いいから、全部出せ。こんなもの没収だ」
ああ、くそ。今すぐ、ちゃんと法律と警察を整備したい。
美少年は、大した抵抗もせずに持っているタバコを全部渡した。
「ねぇ、あんた何で最近、僕のところに来ないわけ?」
今度は、馴れ馴れしく僕の腕にもたれかかってきた。
何だ、こいつ?
ギルのベランダでタバコを吸うとか、普通のガキができることじゃねぇぞ。しかも、ためぐちで話すとか何者なんだ?ギルより偉いか、殺されない保証がある立場なのか。
その時、僕の中に隕石が落ちたような衝撃が生まれた。
ま、ま、ま、ま、ま、まさか。
いや、ありえる。
こいつ、実は、僕の子供だったりするのか。ふてぶてしい態度だし、それしか考えられない。この歳で子供とか笑えない。僕は、転生と同時にパパになっていたのか!
……全然、笑えないんだけど。涙が出てきそうなんだけど。
「ちょっと、忙しくて」
「とかいって、そいつといちゃついているんじゃないの?」
彼は、仏頂面で僕たちを見ているエンデュミオンを人差し指でさした。
「いやいや、それは誤解だよ。もう、こいつとは別れたんだ」
チベットスナギツネのような顔になるエンデュミオン……。
よし、これからは息子のためにまっとうな父親になろう。
「じゃあ、今夜、僕と寝ようよ」
「あ、ああ、いいよ。本を持っていってやる」
やっぱり息子に対しては、本でも読み聞かせてあげるべきだろう。
「はあ?なめているの?」
ジロリと睨まれた。
反抗期なのか……。僕は、息子に嫌われてしまったのか……。
あれ?今、僕、選択肢を間違えたのか。
「ちょ、ちょっと待ってくれ」
室内に入りエンデュミオンのもとへ駈けよった。
「えっと、あいつ誰だっけ?」
もう何といわれても驚かない。
覚悟を決めてエンデュミオンに小声で尋ねる。
「ああ、もう一人の恋人ヒュラスです」
「いやああああああああああああああああああああああああああああ!」
あまりの衝撃にムンクの叫びの恰好をしながら、悲鳴をあげてしまった。
速報、僕に第二の男の恋人出現!!現実を受け止めたくないっ!!
おい、ちょっと待て。こいつ子供だろう。
いくなんでもやばすぎるだろう。
ギルは……ショタコンだったのか……。そして、僕はこの先、ショタコンのレッテルを貼られながら生きていくのか。
もう僕は、サボテンになりたい……。
ちょっと待て。まだ恋人がいるとかないよな……。
「僕は、恋人何人いたっけ?」
この質問も相当ヤバイなと思いながらも、聞かずにはいられなかった。
「今は2人です。ギル様は、ヒュラスに夢中になって俺以外全員、処刑しました」
……ショタコンの風上におけないクズ野郎だな。
そして、状況を整理すると、ギルの本命は美少年ヒュラスで、もう一人の恋人が仏頂面の堅物騎士エンデュミオンってところか……。そして、美少年達に夢中になり他の人間を次々に処刑……。何なんだ、このカオスすぎる状況。神様を左アッパーでぶん殴りたい気分なんだが。
とりあえず、絶望していても何も変わらない。このヤバすぎる状況を何とかするんだ。
ヒュラスの元へ戻って、一番聞きたかったことを聞く。
「え、えっと、お前何歳だ?」
「14歳」
はい、アウトおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!
「よし、ヒュラス。最近、僕はショタコンを辞めたんだ。だから、お前も解放してやる。両親はどこにいるんだ?」
「……知らない」
今、明らかに目を反らしたよね。ていうことは、嘘か。でも、言いたくないんだろうな。
こんな態度をするということは、両親に売られたのだろうか。とりあえず、保護しておこう。ギルから性的虐待を受けた疑いがあるため、カウンセラーとか必要なのだろうか。
「とりあえずお前には、そのうち家庭教師をつけて勉強を教える。家に帰りたかったらいつでも僕に言え」
レイヴンが去ったら、家庭教師とカウンセラーをつけてちゃんと心と頭のケアをしてあげよう。
「そーかよ。あんた、そいつの方が好きなわけ?」
エンデュミオンを指さしてジトッとした不満げな目で見つめながらいってきた。やっぱり、大人ぶっているけれど中身は子供だな。比べられることが嫌なんだろう。
「違う、エンデュミオンは護衛にすることにした」
「ふうん。花園の貴公子なんて護衛にして役に立つの?」
嘲笑うようにエンデュミオンを見ているヒュラス。
「それ以上、その名前で呼んだらお前の舌を引き抜くから」
エンデュミオンは、ヒュラスを恐竜のように迫力ある視線で睨みつける。お前……視線だけでライオンを倒せるんじゃないのか。ぜひとも実験してみたい。
「花園の貴公子ってお前のこと?」
不可解に思いながら、エンデュミオンを指さす。
「まあ」
顔をひきつらせながらも、彼は、肯定した。こいつ……とんでもなくアレな肩書をつけられているな。
「俺は、花園学園出身なので、クラスメートからそんなあだ名をつけられてしまって」
普通の人間は、その学園を出たところで、そんな肩書がつけられないだろう。
「花園の貴公子か……。ちょ、ちょっとかわいそうだな」
「それなんていい方だぜ」
ヒュラスは、苛められっ子を見つけた苛めっ子のようにゲス顔をした。
「黙れ、ヒュラス」
エンデュミオンは、嫌な記憶でも思いだしてしまったように、顔を曇らせた。いや、でも人の黒歴史って気になるんだよな。ヒュラスなら知ってそうだし、聞きたいな。
「他にどんなのをつけられたんだ?」
「言いたくありません」
そっぽを向くエンデュミオン。これは、相当ヤバイ肩書をつけられているな。
すると、ヒュラスが教えてくれた。
「ブロトレイトの宝石、プラチナのプリンス、マイナスイオンの創出者、国民の旦那様……バナナ王子とかだぜ」
ネーミングセンスに悪意を感じるのは、気のせいか。もうやめてあげてwwwww。バナナ王子とか付けたのは、絶対に、こいつに嫉妬していたブサイクだろう。
「それにしても、どうしてバナナ王子って呼ばれたんだ?」
「俺は、バナナの剥き方を知らなかったんです。いつも、家では、皮が剥かれてスライスされた状態で提供されていたので。そして、そのことでクラスメートに驚かれて、バナナ王子ってつけられたんです」
……つまり、こいつは、とんでもなく箱入り息子だったわけか。プークスクス。
「やーいバナナ王子!」
「うるさい、チビ」
どうやら二人は、犬猿の仲らしい……。もしかして、二人ともギルの愛人だったからか。いや、余計なことは考えないことにしよう。
「この白髪、じじい、老害、悪魔……」
「モヤシ、クソガキ、バカ、チビ、性悪……」
お前ら……低レベルだな……。
さて、ヒュラスをどうするか。
とりあえずレイヴンがどんな風に取り調べをしたのかさりげなく聞きたい。
エンデュミオンにも、そのことを聞いたが、彼にアリバイがあったらしくレイヴンはたいして質問しなかったらしい。僕が知りたいのは、アリバイがなかった人間に対する対応だ。おそらく、ギルのお気に入りの恋人という立場にあったヒュラスは、アリバイがなかった可能性が高い。この機会にレイヴンの取り調べについてさりげなく聞きだしたい。
「ヒュラス、部屋まで送っていくよ」
僕の提案に、ヒュラスは勝ち誇ったように微笑んだ。背後からは、エンデュミオンの舌打ちがした。
ベランダで美少年がタバコを吸っていた。
……いや、ちょっと疲れているのか。幻覚が見えてきた。
しかし、幻にしてはやけにはっきりとしている。歳は、14歳くらいだろうか。スラリとした手足を持つ、幼さはないけれど大人になる前の美少年だ。
よく見ると、すごく顔が整っている。確実に黄金比だと思える目、鼻、口の配置をしている。瞳は、焦げ茶色で、ダークブロンドの髪が風でなびいている様子が絵になる。
右目の下には、泣きぼくろがある。スッとした鼻筋、細い眉、直線上に結んだ唇は笑顔とは程遠いイメージを持たせた。着古したような長い上質なコートを着ている感じは、まるでプロのカメラマンの被写体になっているように似合っている。
右の髪は長いのに、左の髪はそれほど長くない。左右非対称の髪型であるのに、それすらも完璧だと思わせてしまう魅力がある。欠けた満月をぼんやりと見つめながら、不満そうに手すりによりかかっている。さばさばとした感じのませたガキだ。
んん。
こんなに詳しく見えるなんて幻覚じゃないのか。使用人、騎士団、奴隷の名前と顔は、全員チェックしたと思ったがこんな奴いたっけ。とりあえず、子供がタバコを吸っているのは、無過ごせない。
窓をガラリと開けて、タバコをとりあげる。
「おい、お前、タバコはやめろよ」
「あんたからもらったんだけど」
「……」
どうやら、戦犯は僕だったようです。
少年は優雅にタバコの煙を吐き出した。吐き出された息は、冷たい夜の空気に溶けていった。
「いいから、全部出せ。こんなもの没収だ」
ああ、くそ。今すぐ、ちゃんと法律と警察を整備したい。
美少年は、大した抵抗もせずに持っているタバコを全部渡した。
「ねぇ、あんた何で最近、僕のところに来ないわけ?」
今度は、馴れ馴れしく僕の腕にもたれかかってきた。
何だ、こいつ?
ギルのベランダでタバコを吸うとか、普通のガキができることじゃねぇぞ。しかも、ためぐちで話すとか何者なんだ?ギルより偉いか、殺されない保証がある立場なのか。
その時、僕の中に隕石が落ちたような衝撃が生まれた。
ま、ま、ま、ま、ま、まさか。
いや、ありえる。
こいつ、実は、僕の子供だったりするのか。ふてぶてしい態度だし、それしか考えられない。この歳で子供とか笑えない。僕は、転生と同時にパパになっていたのか!
……全然、笑えないんだけど。涙が出てきそうなんだけど。
「ちょっと、忙しくて」
「とかいって、そいつといちゃついているんじゃないの?」
彼は、仏頂面で僕たちを見ているエンデュミオンを人差し指でさした。
「いやいや、それは誤解だよ。もう、こいつとは別れたんだ」
チベットスナギツネのような顔になるエンデュミオン……。
よし、これからは息子のためにまっとうな父親になろう。
「じゃあ、今夜、僕と寝ようよ」
「あ、ああ、いいよ。本を持っていってやる」
やっぱり息子に対しては、本でも読み聞かせてあげるべきだろう。
「はあ?なめているの?」
ジロリと睨まれた。
反抗期なのか……。僕は、息子に嫌われてしまったのか……。
あれ?今、僕、選択肢を間違えたのか。
「ちょ、ちょっと待ってくれ」
室内に入りエンデュミオンのもとへ駈けよった。
「えっと、あいつ誰だっけ?」
もう何といわれても驚かない。
覚悟を決めてエンデュミオンに小声で尋ねる。
「ああ、もう一人の恋人ヒュラスです」
「いやああああああああああああああああああああああああああああ!」
あまりの衝撃にムンクの叫びの恰好をしながら、悲鳴をあげてしまった。
速報、僕に第二の男の恋人出現!!現実を受け止めたくないっ!!
おい、ちょっと待て。こいつ子供だろう。
いくなんでもやばすぎるだろう。
ギルは……ショタコンだったのか……。そして、僕はこの先、ショタコンのレッテルを貼られながら生きていくのか。
もう僕は、サボテンになりたい……。
ちょっと待て。まだ恋人がいるとかないよな……。
「僕は、恋人何人いたっけ?」
この質問も相当ヤバイなと思いながらも、聞かずにはいられなかった。
「今は2人です。ギル様は、ヒュラスに夢中になって俺以外全員、処刑しました」
……ショタコンの風上におけないクズ野郎だな。
そして、状況を整理すると、ギルの本命は美少年ヒュラスで、もう一人の恋人が仏頂面の堅物騎士エンデュミオンってところか……。そして、美少年達に夢中になり他の人間を次々に処刑……。何なんだ、このカオスすぎる状況。神様を左アッパーでぶん殴りたい気分なんだが。
とりあえず、絶望していても何も変わらない。このヤバすぎる状況を何とかするんだ。
ヒュラスの元へ戻って、一番聞きたかったことを聞く。
「え、えっと、お前何歳だ?」
「14歳」
はい、アウトおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!
「よし、ヒュラス。最近、僕はショタコンを辞めたんだ。だから、お前も解放してやる。両親はどこにいるんだ?」
「……知らない」
今、明らかに目を反らしたよね。ていうことは、嘘か。でも、言いたくないんだろうな。
こんな態度をするということは、両親に売られたのだろうか。とりあえず、保護しておこう。ギルから性的虐待を受けた疑いがあるため、カウンセラーとか必要なのだろうか。
「とりあえずお前には、そのうち家庭教師をつけて勉強を教える。家に帰りたかったらいつでも僕に言え」
レイヴンが去ったら、家庭教師とカウンセラーをつけてちゃんと心と頭のケアをしてあげよう。
「そーかよ。あんた、そいつの方が好きなわけ?」
エンデュミオンを指さしてジトッとした不満げな目で見つめながらいってきた。やっぱり、大人ぶっているけれど中身は子供だな。比べられることが嫌なんだろう。
「違う、エンデュミオンは護衛にすることにした」
「ふうん。花園の貴公子なんて護衛にして役に立つの?」
嘲笑うようにエンデュミオンを見ているヒュラス。
「それ以上、その名前で呼んだらお前の舌を引き抜くから」
エンデュミオンは、ヒュラスを恐竜のように迫力ある視線で睨みつける。お前……視線だけでライオンを倒せるんじゃないのか。ぜひとも実験してみたい。
「花園の貴公子ってお前のこと?」
不可解に思いながら、エンデュミオンを指さす。
「まあ」
顔をひきつらせながらも、彼は、肯定した。こいつ……とんでもなくアレな肩書をつけられているな。
「俺は、花園学園出身なので、クラスメートからそんなあだ名をつけられてしまって」
普通の人間は、その学園を出たところで、そんな肩書がつけられないだろう。
「花園の貴公子か……。ちょ、ちょっとかわいそうだな」
「それなんていい方だぜ」
ヒュラスは、苛められっ子を見つけた苛めっ子のようにゲス顔をした。
「黙れ、ヒュラス」
エンデュミオンは、嫌な記憶でも思いだしてしまったように、顔を曇らせた。いや、でも人の黒歴史って気になるんだよな。ヒュラスなら知ってそうだし、聞きたいな。
「他にどんなのをつけられたんだ?」
「言いたくありません」
そっぽを向くエンデュミオン。これは、相当ヤバイ肩書をつけられているな。
すると、ヒュラスが教えてくれた。
「ブロトレイトの宝石、プラチナのプリンス、マイナスイオンの創出者、国民の旦那様……バナナ王子とかだぜ」
ネーミングセンスに悪意を感じるのは、気のせいか。もうやめてあげてwwwww。バナナ王子とか付けたのは、絶対に、こいつに嫉妬していたブサイクだろう。
「それにしても、どうしてバナナ王子って呼ばれたんだ?」
「俺は、バナナの剥き方を知らなかったんです。いつも、家では、皮が剥かれてスライスされた状態で提供されていたので。そして、そのことでクラスメートに驚かれて、バナナ王子ってつけられたんです」
……つまり、こいつは、とんでもなく箱入り息子だったわけか。プークスクス。
「やーいバナナ王子!」
「うるさい、チビ」
どうやら二人は、犬猿の仲らしい……。もしかして、二人ともギルの愛人だったからか。いや、余計なことは考えないことにしよう。
「この白髪、じじい、老害、悪魔……」
「モヤシ、クソガキ、バカ、チビ、性悪……」
お前ら……低レベルだな……。
さて、ヒュラスをどうするか。
とりあえずレイヴンがどんな風に取り調べをしたのかさりげなく聞きたい。
エンデュミオンにも、そのことを聞いたが、彼にアリバイがあったらしくレイヴンはたいして質問しなかったらしい。僕が知りたいのは、アリバイがなかった人間に対する対応だ。おそらく、ギルのお気に入りの恋人という立場にあったヒュラスは、アリバイがなかった可能性が高い。この機会にレイヴンの取り調べについてさりげなく聞きだしたい。
「ヒュラス、部屋まで送っていくよ」
僕の提案に、ヒュラスは勝ち誇ったように微笑んだ。背後からは、エンデュミオンの舌打ちがした。
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