婚約破棄されたので、異世界でラーメン屋を開業します

お金がないですわ

　死にそうになりながら、気力だけで、隣の国ゼアードにたどり着いた。

　持っていた宝石を換金するが、ろくなお金にならない。

　当然だ。
　両親は、高価な宝石なんてくれなかったのである。

　何とかパンと水を買って、腹を満たしたが、お金が尽きるのは、時間の問題だろう。


　そう悩んでいたときに、「アルバイト募集中!!!住み込みもオッケー」の張り紙を見つけた。
　どうやら飲食店でのアルバイトみたいだ。

　扉を開けて、おかみさんに「ここで働きたいんですけれど」と声をかける。

「うれしいわ。ちょうど、アルバイトの子が産休に入ったばかりで助かったわ」

　そこで1日のアルバイト代、まかないがついていることなど説明される。

　住み込みで働けるなら、割がいい方だ。

「週5日でも大丈夫かしら？」

「あの……週7日で働けませんか」

「週7日だって!!!無理して体を壊すんじゃない？」

「大丈夫です」

「そんなに働きたいなら、週5日はうちで働いで、残りの２日は、酒屋で働くのはどうかい。主に酒を運ぶ仕事らしい」
　
「はい、そこで働きたいです」


　
　お金を貯めて、いつかラーメン屋を開く。

　そして、熱々のラーメンを食べる。

　私の頭にはそれしかなかった。

「いらっしゃいませ」

「二人でお願いします」

　そこにいたのは、金髪碧眼のおとぎ話の王子様みたいなイケメンと、黒髪の騎士らしき男だった。

「こちらの席はいかがでしょうか」

「ありがとう」

「ご注文がお決まりでしたら、お声がけお願いします」

「ねぇ、君」

　そんな風に、金髪碧眼のイケメンに声をかけられる。


「かわいいね。よかったら、今度俺とデートに行かない？」