世界一美人な妹とブサイクな俺

第九話 タバコ屋にクレームを聞きに行く

二丁目のタバコの主人はどんな人物か知らないが馬場ゴリラが諦めるくらいだから頑固なのだろう。

頑固親父にクレームを食らう自分を想像してまた大きくため息をついた。

今日でいったい何回ため息をついただろう。

家を出るときと会社を見たときは必ずため息が出るので、どんなに少なく見積もってももう三回はついている。

ため息と共に魂も出ていないかなと俺は少し心配になった。
　
ちょっと足首と手を動かしているとトラックはタバコ屋に着いてしまったので今日の一番嫌なスポットをしばらく眺めることにした。

見ているとどうもタバコ屋のカウンターに座っているのは俺の予想とは違っておばあさんだった。

意志が強そうな顔をしているが品があって顔のバランスがとてもいい。

若いときはさぞかしモテただろうなと俺は思った。
　
しぶしぶ軽トラックから降りるとタバコ屋のカウンターまでとぼとぼと歩く。

タバコ屋のおばあさんもこちらに気がついたようで鋭い目つきでこちらを見つめてきた。

その目を見て説得は無理だとそうそうに俺はあきらめた。

あきらめが肝心なことも世の中にはあるはずだし、俺はもう会社の利益のために努力することにほとほと嫌気が差しているのだ。