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第七話 初めてのたこ焼き

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「たこを焼くの? 生のほうが美味しくないかな?」

「べたなボケやのうと言いたいとこやけど、お嬢さんは天然そうやな。たこ焼きっていうのはこれのことを言うねん」

 おじいさんはそう言って千枚通しにたこ焼きを指して美白に見せた。

「へえ、この丸いのがたこ焼きなの。たこじゃないんだね」

「たこは中に入っとる。いくら東京とはいえたこ焼きをまったく知らんとはな。最近日本に帰って来たんか?」

「まあ、そんな感じかしら」

「そうか。なら味見や。一個サービスでやるから食べてみ」
 
そう言うとおじいさんはたこ焼きを爪楊枝で挿しなおし、ソースをぱっと付けて、鰹節をさっとまぶすと、美白に渡した。
さっそく美白はたこ焼きを食べてみる。
 
焼けてちょっと硬い生地から、たこのダシがしみたトロリとした生地が舌にからみつき、そこにソースの甘酸っぱさが加わって、美味しいやろっと頭に訴えかけてくる。

「美味しい。とても美味しい。凄いなあ、おじいさんが作ったの?」

「なんか聞かれ方がややこしいけど、たこ焼きはわしが発明したわけではない。でもこのたこ焼きの味はわしが作ったものやな」

「へえ、そうなんだ。でも凄いなあ」と美白はしきりに感心した。
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