上 下
3 / 23

第三話 あれば買っている本『今日から出来る簡単暗殺術』

しおりを挟む
「おい、野良(のら)聞いてくれよ。昨日は女子高生会っちゃったよ。若いのはやっぱりいいよなぁ。あいつと付き合いたいなあ」

相田は昨日を思い出してかニヤニヤと笑いながら言ってきた。

若いやつとつき合いたいなら、剣道で若い衆と稽古でもつけてろと俺は心の中で思った。

「俺は宮本武蔵の生まれ変わりでもあることが昨日わかった」と伊藤が誰かに宣言していた。

昨日、五輪書でも読んだのだろう。

欲張って二人の生まれ変わりと言いたいみたいだが、徳川家康と宮本武蔵は同時期に生きているので、嘘をつくにしても、もう少し勉強しろと俺は思った。

 馬場は面倒くさそうに何かプリントを見ている。

自動販売機の補充のエリアがそこには載っていた。

「おい、野良。お前二丁目のタバコ屋の自動販売機も担当しろ。変わりにここの場所は俺が補充するからよ」
 
そう言って馬場はプリントを指差した。

二丁目のタバコ屋など行くとだいぶ遠回りになる。

馬場の意図がわからず、俺は黙って聞いていた。

「それと二丁目のタバコ屋が解約したいと言ってるから、ついでに説得して契約を続けさせろ」
 
それを聞いて俺は意味を理解した。

タバコ屋に自動販売機をわが社が三台設置している。

それを全部解約して、他社と契約すると言われたのだろう。おそらく主人の意思が相当固いので、俺にやらせて説得できたらラッキー、説得できなくても俺の過失という風にしたのだ。

ここまで露骨にわかる地雷を踏まされたら、逆に清清しくなるわけもなく、『今日から出来る簡単暗殺術』とか言う本など売ってないかなと俺は思った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

ふと思ったこと

マー坊
エッセイ・ノンフィクション
たまにはのんびり考えるのも癒しになりますね。 頭を使うけど頭を休める運動です(笑) 「そうかもしれないね」という納得感。 「どうなんだろうね?」という疑問符。 日記の中からつまみ食いをしてみました(笑) 「世界平和とお金のない世界」 https://plaza.rakuten.co.jp/chienowa/  

首を切り落とせ

大門美博
経済・企業
日本一のメガバンクで世界でも有数の銀行である川菱東海銀行に勤める山本優輝が、派閥争いや個々の役員たちの思惑、旧財閥の闇に立ち向かう! 第一章から第七章まで書く予定です。 惨虐描写はございません 基本的に一週間に一回ほどの投稿をします。 この小説に登場する人物、団体は現実のものとは関係ありません。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

お仕事はテストエンジニア!?

とらじゃむ
経済・企業
乙女ゲームの個人開発で生計を立てていた早乙女美月。 だが個人開発で食っていくことに限界を感じていた。 意を決して就活、お祈りの荒らしを潜り抜けようやく開発者に……と思ったらテストエンジニア!? 聞いたこともない職種に回されてしまった美月は……! 異色のITシステム開発現場の生々しい奮闘ストーリー!

「繊細さんの日々のこと」

黒子猫
エッセイ・ノンフィクション
「繊細さん」の私が、日常で感じたことなどを綴ります。 ちなみに私は内向型HSPです✨

処理中です...