130 / 161
第三章 エルフの里
第二十五話 ノア、初めての実戦をする
しおりを挟む
「ふぅ。これくらいで良いかな?」
「そうね。このやり方はやりすぎない方がいいしね」
「うん。強くなった!」
あれからノアはエンシェントドラゴンを五回倒した。それにより、ノアはLV.41になっていた。これなら目を離した隙に連れ去られるなんてことにはならないだろう。
「後は戦い方を教えないとね。レベルを上げただけでは勝てないことも多いから」
「確かにそうだな……」
ステータスに大きな差があっても、技量のせいで拮抗した勝負になってしまうことも珍しくはない。前にシャオニンと戦った時がそうだ。シャオニンが生命力を代償にした身体強化をしたとしても、俺とのステータスの差は三倍以上あった。それなのにもかかわらず、シャオニンが何分間も俺と戦えたのは、技量に隔絶した差があったからだ。
「だが、具体的には何をやるんだ?」
「そうね……ゴブリンなどの弱い魔物を自力で倒させるところから始めましょう。実践が一番成長するからね」
「そうだな。じゃあ、グランの森に行くか。〈空間操作〉!」
俺は〈空間操作〉でグランの森に転移した。
「よっと。じゃあ探すか……うん。ここから二百メートル先に六体いるな」
グランの森に転移した俺は、即座にゴブリンがどこにいるのかを〈気配察知〉で確認した。
「分かったわ。じゃあ、行きましょう」
「うん。頑張る」
俺達はゴブリンがいる場所に向かって歩き出した。
暫く歩いたところで、俺達は六体のゴブリンを発見した。
「ノア、あれがゴブリンだ」
「う、うん」
ノアは初めての本格的な戦闘に緊張しているようだ。
「ノアのステータスならあれくらい簡単に倒せる。だから、緊張せずに行きなさい」
「そうよ。ノアちゃんなら絶対勝てる」
「ああ。それに、何があってもパパが守ってあげるよ」
俺はノアの頭をぽんぽんと叩くと、そう言った。
「うん。やってくる」
ノアは白輝の剣を構えると、ゴブリンの群れに跳び出した。
「ギャギャ!?」
ゴブリン達はノアに気づくと、ノアに棍棒を向けた。
「えいっ!」
ノアは白輝の剣を横なぎに振った。
「ギャア!!」
それだけで、四体のゴブリンが胴を両断されて死んだ。
「ギャ……」
残り二体は、今の様子を見て、逃げ腰になっている。そこに、ノアの容赦ない一撃が入った。
「えいっ!」
「ギャ―!」
二体のゴブリンは腹を裂かれて死んだ。
「よし。出来たよー!」
ノアは返り血を大量に浴びた状態で、笑顔でそう言った。
何かちょっとホラーを感じる。
「やっべ。俺のローブを貸しとけばよかった」
最近忘れがちだが、俺のローブには体温調節や耐久力上昇の他に、汚れが付かない機能が付いている。
「あ、それなら安心して」
クリスはそう言うと、懐から魔石のように見える半透明の石を取り出した。
「クリス、それは何だ?」
「これはお父さんと一緒に作った汚れを落とす魔道具だよ。高い再生力を持つ魔物の魔石に光属性の魔法をかけることで出来るから、結構簡単に作れるんだよ」
「なるほどな。魔道具はそうやって作られているのか……」
俺は顎に手を当てると、クリスが持っている魔道具をじっと見つめた。
「これの使い方は、これに魔力を込めながら、これを汚れに当てるだけ」
「そうか。じゃあやるか――」
そう言って、魔力を込め始めた瞬間、クリスに魔道具を取り上げられた。
「そんなに沢山魔力を込めたら壊れるよ! ユートの場合はほんの少し込めることをイメージすればいいわ」
「わ、分かった」
俺は頭の中で”少し”を連呼しながら魔力を込めた。
「お、すげぇ……」
魔道具に吸い込まれるようにして、汚れがどんどん取れていった。
俺は、魔道具をあちこちに当てて、血の汚れを全て取った。
「よし。きれいになったな」
俺は返り血が取れたノアを満足気に眺めた。
「うん。ありがとう。パパ」
ノアはニコッと笑うと、俺に抱き着いた。うん。やっぱかわいいな。
「どういたしまして。あと、この魔道具を持ってきたのはクリ――ママだよ。だから、ママにもお礼を言おうな」
俺はノアの頭を撫でると、そう言った。
「うん。ママ、ありがとう」
ノアはクリスの方に行くと、クリスに抱き着いた。
「ふふっ どういたしまして」
クリスは嬉しそうに微笑むと、俺と同じようにノアの頭を撫でた。
「ちゃんと戦えることは確認できたし、里に帰るか」
俺はノアから白輝の剣を受け取ると、エルフの里に転移した。
「そうね。このやり方はやりすぎない方がいいしね」
「うん。強くなった!」
あれからノアはエンシェントドラゴンを五回倒した。それにより、ノアはLV.41になっていた。これなら目を離した隙に連れ去られるなんてことにはならないだろう。
「後は戦い方を教えないとね。レベルを上げただけでは勝てないことも多いから」
「確かにそうだな……」
ステータスに大きな差があっても、技量のせいで拮抗した勝負になってしまうことも珍しくはない。前にシャオニンと戦った時がそうだ。シャオニンが生命力を代償にした身体強化をしたとしても、俺とのステータスの差は三倍以上あった。それなのにもかかわらず、シャオニンが何分間も俺と戦えたのは、技量に隔絶した差があったからだ。
「だが、具体的には何をやるんだ?」
「そうね……ゴブリンなどの弱い魔物を自力で倒させるところから始めましょう。実践が一番成長するからね」
「そうだな。じゃあ、グランの森に行くか。〈空間操作〉!」
俺は〈空間操作〉でグランの森に転移した。
「よっと。じゃあ探すか……うん。ここから二百メートル先に六体いるな」
グランの森に転移した俺は、即座にゴブリンがどこにいるのかを〈気配察知〉で確認した。
「分かったわ。じゃあ、行きましょう」
「うん。頑張る」
俺達はゴブリンがいる場所に向かって歩き出した。
暫く歩いたところで、俺達は六体のゴブリンを発見した。
「ノア、あれがゴブリンだ」
「う、うん」
ノアは初めての本格的な戦闘に緊張しているようだ。
「ノアのステータスならあれくらい簡単に倒せる。だから、緊張せずに行きなさい」
「そうよ。ノアちゃんなら絶対勝てる」
「ああ。それに、何があってもパパが守ってあげるよ」
俺はノアの頭をぽんぽんと叩くと、そう言った。
「うん。やってくる」
ノアは白輝の剣を構えると、ゴブリンの群れに跳び出した。
「ギャギャ!?」
ゴブリン達はノアに気づくと、ノアに棍棒を向けた。
「えいっ!」
ノアは白輝の剣を横なぎに振った。
「ギャア!!」
それだけで、四体のゴブリンが胴を両断されて死んだ。
「ギャ……」
残り二体は、今の様子を見て、逃げ腰になっている。そこに、ノアの容赦ない一撃が入った。
「えいっ!」
「ギャ―!」
二体のゴブリンは腹を裂かれて死んだ。
「よし。出来たよー!」
ノアは返り血を大量に浴びた状態で、笑顔でそう言った。
何かちょっとホラーを感じる。
「やっべ。俺のローブを貸しとけばよかった」
最近忘れがちだが、俺のローブには体温調節や耐久力上昇の他に、汚れが付かない機能が付いている。
「あ、それなら安心して」
クリスはそう言うと、懐から魔石のように見える半透明の石を取り出した。
「クリス、それは何だ?」
「これはお父さんと一緒に作った汚れを落とす魔道具だよ。高い再生力を持つ魔物の魔石に光属性の魔法をかけることで出来るから、結構簡単に作れるんだよ」
「なるほどな。魔道具はそうやって作られているのか……」
俺は顎に手を当てると、クリスが持っている魔道具をじっと見つめた。
「これの使い方は、これに魔力を込めながら、これを汚れに当てるだけ」
「そうか。じゃあやるか――」
そう言って、魔力を込め始めた瞬間、クリスに魔道具を取り上げられた。
「そんなに沢山魔力を込めたら壊れるよ! ユートの場合はほんの少し込めることをイメージすればいいわ」
「わ、分かった」
俺は頭の中で”少し”を連呼しながら魔力を込めた。
「お、すげぇ……」
魔道具に吸い込まれるようにして、汚れがどんどん取れていった。
俺は、魔道具をあちこちに当てて、血の汚れを全て取った。
「よし。きれいになったな」
俺は返り血が取れたノアを満足気に眺めた。
「うん。ありがとう。パパ」
ノアはニコッと笑うと、俺に抱き着いた。うん。やっぱかわいいな。
「どういたしまして。あと、この魔道具を持ってきたのはクリ――ママだよ。だから、ママにもお礼を言おうな」
俺はノアの頭を撫でると、そう言った。
「うん。ママ、ありがとう」
ノアはクリスの方に行くと、クリスに抱き着いた。
「ふふっ どういたしまして」
クリスは嬉しそうに微笑むと、俺と同じようにノアの頭を撫でた。
「ちゃんと戦えることは確認できたし、里に帰るか」
俺はノアから白輝の剣を受け取ると、エルフの里に転移した。
3
お気に入りに追加
1,661
あなたにおすすめの小説
→誰かに話したくなる面白い雑学
ノアキ光
エッセイ・ノンフィクション
(▶アプリ無しでも読めます。 目次の下から読めます)
見ていただきありがとうございます。
こちらは、雑学の本の内容を、自身で読みやすくまとめ、そこにネットで調べた情報を盛り込んだ内容となります。
驚きの雑学と、話のタネになる雑学の2種類です。
よろしくおねがいします。
呪われた悪役令嬢は隣国の王太子に溺愛される
伽羅
恋愛
交通事故に遭って死んだはずなのに、気が付けば猫になっていた。
前世の記憶と共に、昨夜の夜会でセドリック王太子に婚約解消を告げられた事を思い出す。
そしてセドリック王太子の傍らには妹のキャロリンの姿が…。
猫になった私は家を追い出され、彷徨っている所を偶然通りかかった人物に拾われて…。
各話のタイトルで少し遊んじゃってます。
笑って流していただけると幸せます。
外れギフト魔石抜き取りの奇跡!〜スライムからの黄金ルート!婚約破棄されましたのでもうお貴族様は嫌です〜
KeyBow
ファンタジー
この世界では、数千年前に突如現れた魔物が人々の生活に脅威をもたらしている。中世を舞台にした典型的なファンタジー世界で、冒険者たちは剣と魔法を駆使してこれらの魔物と戦い、生計を立てている。
人々は15歳の誕生日に神々から加護を授かり、特別なギフトを受け取る。しかし、主人公ロイは【魔石操作】という、死んだ魔物から魔石を抜き取るという外れギフトを授かる。このギフトのために、彼は婚約者に見放され、父親に家を追放される。
運命に翻弄されながらも、ロイは冒険者ギルドの解体所部門で働き始める。そこで彼は、生きている魔物から魔石を抜き取る能力を発見し、これまでの外れギフトが実は隠された力を秘めていたことを知る。
ロイはこの新たな力を使い、自分の運命を切り開くことができるのか?外れギフトを当りギフトに変え、チートスキルを手に入れた彼の物語が始まる。
【完】大きな俺は小さな彼に今宵もアブノーマルに抱かれる
唯月漣
BL
「は? なんで俺、縛られてんの!?」
ゲイである事をカミングアウトの末、ようやく両想いになったと思っていた幼馴染みユウキの、突然の結婚の知らせ。
翔李は深く傷付き、深夜の繁華街でやけ酒の挙げ句、道路端で酔い潰れてしまう。
目が覚めると、翔李は何者かに見知らぬ家のバスルームで拘束されていた。翔李に向かってにっこり微笑むその小柄な彼……由岐は、天使のような可愛い外見をしていた。
「僕とセフレになってくれませんか。じゃないと僕、今すぐ翔李さんを犯してしまいそうです」
初めての恋人兼親友だった男から受けた裏切りと悲しみ。それを誤魔化すため由岐に会ううち、やがて翔李は由岐とのアブノーマルプレイの深みにハマっていく。
「お尻だけじゃないですよ。僕は可愛い翔李さんの、穴という穴全てを犯したい」
ただのセフレであるはずの由岐に予想外に大切にされ、いつしか翔李の心と体はとろけていく。
そんなおり、翔李を裏切って女性と結婚したはずの親友ユウキから、会いたいと連絡があって……!?
◇◆◇◆◇◆
☆可愛い小柄な少年✕がたいは良いけどお人好しな青年。
※由岐(攻め)視点という表記が無い話は、全て翔李(受け)視点です。
★*印=エロあり。
石鹸ぬるぬるプレイ、剃毛、おもらし(小)、攻めのフェラ、拘束(手錠、口枷、首輪、目隠し)、異物挿入(食べ物)、玩具(ローター、テンガ、アナルビーズ)、イキ焦らし、ローションガーゼ、尿道攻め(ブジー)、前立腺開発(エネマグラ)、潮吹き、処女、無理矢理、喉奥、乳首責め、陵辱、少々の痛みを伴うプレイ、中出し、中イキ、自慰強制及び視姦、連続イカセ、乳首攻め(乳首イキ、吸引、ローター)他。
※アブノーマルプレイ中心です。地雷の多い方、しつこいエッチが苦手な方、変わったプレイがお嫌な方はご注意ください。
【本編完結済】今後は時々、番外編を投下します。
※ムーンライトノベルズにも掲載。
表紙イラスト●an様
ロゴデザイン●南田此仁様
悪役令嬢に転生しましたが、行いを変えるつもりはありません
れぐまき
恋愛
公爵令嬢セシリアは皇太子との婚約発表舞踏会で、とある男爵令嬢を見かけたことをきっかけに、自分が『宝石の絆』という乙女ゲームのライバルキャラであることを知る。
「…私、間違ってませんわね」
曲がったことが大嫌いなオーバースペック公爵令嬢が自分の信念を貫き通す話
…だったはずが最近はどこか天然の主人公と勘違い王子のすれ違い(勘違い)恋愛話になってきている…
5/13
ちょっとお話が長くなってきたので一旦全話非公開にして纏めたり加筆したりと大幅に修正していきます
5/22
修正完了しました。明日から通常更新に戻ります
9/21
完結しました
また気が向いたら番外編として二人のその後をアップしていきたいと思います
間違い転生!!〜神様の加護をたくさん貰っても それでものんびり自由に生きたい〜
舞桜
ファンタジー
初めまして!私の名前は 沙樹崎 咲子 35歳 自営業 独身です‼︎よろしくお願いします‼︎
って、何故こんなにハイテンションかと言うとただ今絶賛大パニック中だからです!
何故こうなった…
突然 神様の手違いにより死亡扱いになってしまったオタクアラサー女子、
手違いのお詫びにと色々な加護とチートスキルを貰って異世界に転生することに、
だが転生した先でまたもや神様の手違いが‼︎
転生したオタクアラサー女子は意外と物知りで有能?
そして死亡する原因には不可解な点が…
様々な思惑と神様達のやらかしで異世界ライフを楽しく過ごす主人公、
目指すは“のんびり自由な冒険者ライフ‼︎“
そんな主人公は無自覚に色々やらかすお茶目さん♪
*神様達は間違いをちょいちょいやらかします。これから咲子はどうなるのかのんびりできるといいね!(希望的観測っw)
*投稿周期は基本的には不定期です、3日に1度を目安にやりたいと思いますので生暖かく見守って下さい
*この作品は“小説家になろう“にも掲載しています
ソーダの魔法〜ヘタレな溺愛初彼氏は炭酸飲んだら人格変わってドSになっちゃうやつでした〜
緒形 海
BL
真野深月(まの・みつき)20歳、最近自分がゲイであることを自覚し始めた大学生。
ある日のバイト帰り、深月は居酒屋ホールスタッフ仲間・篠原蒼太(しのはら・そうた)から突然の愛の告白を受けてしまう。
デカい図体に似合わず気弱で優しすぎるヘタレ気味な蒼太。はっきり言ってあまり好みのタイプではなく……考えた末、深月はお試しとして1週間の期間限定で交際okの返事をすることに。
ただ、実は…蒼太にはある秘密があった。
彼は炭酸の飲み物がめちゃくちゃ苦手で、一口でも飲んでしまうと人格がチェンジしてしまうという謎体質の持ち主だったのである…。
受け⚪︎真野 深月 まの みつき MM
攻め⚫︎篠原 蒼太 しのはら そうた SS
人格豹変もの&ソフトSMチックな話が書きたくて生まれた作品です。
R18指定。過激描写のシーンがあるエピソードには▽マークが入ります。背後にご注意くださいませ。
いろんな炭酸が出てくる予定…です。
ヘタレでドSでヤンデレ気味な溺愛攻めに愛されるといういろいろてんこもりのよくばりセット☺︎ハピエン保証♡
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる