127 / 161
第三章 エルフの里
第二十二話 ウォルフさんの心労やばい
しおりを挟む
まずいことになった。確かにそこにいるシャオニンは強かった。だが、これほどの人間だとは思わなかった。
(この世界の強さの基準を忘れてたな……)
だが、言い逃れはさせてもらえなさそうだ。それに、ウォルフさんには〈真偽〉がある。嘘をつけば、すぐに嘘をついたとバレてしまう。
(異世界から来たことはあまり言いたくないんだよなぁ……)
この状況で嘘をつかずに強さを証明するならこれが良いだろう。
「もし誰かに言ったら本気で潰します。それでもいいなら見せますよ」
俺は威圧感を出しながらそう言った。
「……あああ。俺の命にかけて、誰にも言わないと約束しよう」
ウォルフさんは真面目な顔でそう言った。
「分かりました。ステータス」
俺はウォルフさんに自分のステータスを見せた。
「な……これは……どういうことだ……」
ウォルフさんは俺のステータスを指さすと、驚愕し、震えた。横を見ると、クリスも口を手で覆いながら、目を見開いていた。そう言えば、クリスにステータスを見せたことはなかったな。
「まあ、納得されたかと思います」
「ああ……なるほどな。それにしても不老? お前今何歳なんだ?」
「そうですね……もう分かりませんね」
俺が今言ったことは本当だ。ダンジョンにいたのが何日か分からないし、この世界の日付すらも知らない。だから、自分でもあと何日で誕生日なのか分からないのだ。
「そうか……それならこの出鱈目な強さにも頷ける。というか、お前と同じ種族のやつは他にもいるのか?」
「いえ、いませんね」
「そうか……だが何故だ? そんな強い種族が数を減らすなんてことがあるというのか?」
「いや、そう言うことじゃなくてな。元からこの種族は俺一人だ」
「え!? 親は?」
ウォルフさんは目を見開いて驚くと、そう聞いた。
「親は普通の人間でしたよ。俺は特別な方法でこの種族になったんですよ。そして、俺はこの世界が滅んでしまわないように行動しているんですよ」
「そうか……まるで守護神のような存在だな。だが、それなら何故過去の魔王討伐に参加しなかったんだ? 前回と前々回は相打ちだったんだぞ」
「まあ、あれは手を出せませんでしたからね。それに、世界からしてみれば、魔王を倒せればそれでいいんですよ」
ウォルフさんのスキルに引っかからないように発言するのが意外と難しい。何か疲れてきた……
「そうか……なら何故今回は倒しに行くんだ?」
「恐らく今回は勇者が負けると思います、魔王はだんだん強くなっている。恐らく今回は俺が手を貸さないと勝つのは厳しいでしょう」
「そうか……はぁ……何かとんでもないことを聞いてしまったような感じがするな」
ウォルフさんは一気に老けてしまったような感じがした。うん。何かすみません。
「まあ、そう言うわけです。国王が相手でも絶対に言わないでくださいね」
誰かに報告されたら面倒くさいことになると思った俺は、言わないよう念を押しといた。
「ああ……言ったら国を滅ぼしそうで怖いな……」
「いやぁ、流石に国は滅ぼしませんよ。国を滅ぼすのは、その国が俺たちに宣戦布告をしてきたときだけですよ」
俺はニコニコしながらしれっとえげつないことを言った。俺の言葉に、あのウォルフさんがビクッと震えた。小鹿のような震え方だ。
「こえぇ……しかもマジで成し遂げられるから冗談に聞こえねぇよ……」
「まあ、国を滅ぼしたらその後が面倒くさそうですから、流石にやりませんよ。せいぜい城を消すだけですよ」
「いや、それもやべーから! そんな馬鹿なことをする奴が居たらラルティ経由で国に直訴するからな! だからやめてくれよ」
ウォルフさんは必死の形相でそう言った。
「わ、分かりました。そんな怯えないでくださいよ……」
余りにも必死なウォルフさんに、俺は少し引いていた。
「怯えさせるようなことをいったお前のせいだよ……」
ウォルフさんは頭を掻きながらため息をついた。
「まあ、俺からの話は以上です。あ、シャオニンを俺が討伐したことは秘密にしといてください。何か面倒くさいことになりそうなので」
「ああ、そうしよう。お前にはステータスを知られないようにする必要があるからな。あ、お前に最上級の〈ステータス隠蔽〉の魔道具を渡しといたほうがいいな。ちょっと待っててくれ」
ウォルフさんはそう言うと、ソファから立ち上がった。そして、奥にある机の引き出しから小さな宝石が付いた指輪を取り出した。
「これはLV.8の〈ステータス隠蔽〉の効果を持った魔道具だ。これに、お前のレベルが合わされば、誰もお前のステータスを〈鑑定〉することは出来ないだろう」
ウォルフさんはそう言うと、俺に魔道具を渡した。
「いいんですか? これ結構高いですよね?」
ティリアンの魔道具店で見た値段を思い出した俺は、本当に貰っていいか確認した。
「今回の報酬ってことにしとけ。それに、お前が厄介ごとに巻き込まれて、国を滅ぼされたらたまったもんじゃねぇよ」
「まあ……はい。ありがとうございます」
俺はその魔道具を人差し指にはめた。
「では、ありがとうございました」
俺はソファから立ち上がると、部屋を出た。
(この世界の強さの基準を忘れてたな……)
だが、言い逃れはさせてもらえなさそうだ。それに、ウォルフさんには〈真偽〉がある。嘘をつけば、すぐに嘘をついたとバレてしまう。
(異世界から来たことはあまり言いたくないんだよなぁ……)
この状況で嘘をつかずに強さを証明するならこれが良いだろう。
「もし誰かに言ったら本気で潰します。それでもいいなら見せますよ」
俺は威圧感を出しながらそう言った。
「……あああ。俺の命にかけて、誰にも言わないと約束しよう」
ウォルフさんは真面目な顔でそう言った。
「分かりました。ステータス」
俺はウォルフさんに自分のステータスを見せた。
「な……これは……どういうことだ……」
ウォルフさんは俺のステータスを指さすと、驚愕し、震えた。横を見ると、クリスも口を手で覆いながら、目を見開いていた。そう言えば、クリスにステータスを見せたことはなかったな。
「まあ、納得されたかと思います」
「ああ……なるほどな。それにしても不老? お前今何歳なんだ?」
「そうですね……もう分かりませんね」
俺が今言ったことは本当だ。ダンジョンにいたのが何日か分からないし、この世界の日付すらも知らない。だから、自分でもあと何日で誕生日なのか分からないのだ。
「そうか……それならこの出鱈目な強さにも頷ける。というか、お前と同じ種族のやつは他にもいるのか?」
「いえ、いませんね」
「そうか……だが何故だ? そんな強い種族が数を減らすなんてことがあるというのか?」
「いや、そう言うことじゃなくてな。元からこの種族は俺一人だ」
「え!? 親は?」
ウォルフさんは目を見開いて驚くと、そう聞いた。
「親は普通の人間でしたよ。俺は特別な方法でこの種族になったんですよ。そして、俺はこの世界が滅んでしまわないように行動しているんですよ」
「そうか……まるで守護神のような存在だな。だが、それなら何故過去の魔王討伐に参加しなかったんだ? 前回と前々回は相打ちだったんだぞ」
「まあ、あれは手を出せませんでしたからね。それに、世界からしてみれば、魔王を倒せればそれでいいんですよ」
ウォルフさんのスキルに引っかからないように発言するのが意外と難しい。何か疲れてきた……
「そうか……なら何故今回は倒しに行くんだ?」
「恐らく今回は勇者が負けると思います、魔王はだんだん強くなっている。恐らく今回は俺が手を貸さないと勝つのは厳しいでしょう」
「そうか……はぁ……何かとんでもないことを聞いてしまったような感じがするな」
ウォルフさんは一気に老けてしまったような感じがした。うん。何かすみません。
「まあ、そう言うわけです。国王が相手でも絶対に言わないでくださいね」
誰かに報告されたら面倒くさいことになると思った俺は、言わないよう念を押しといた。
「ああ……言ったら国を滅ぼしそうで怖いな……」
「いやぁ、流石に国は滅ぼしませんよ。国を滅ぼすのは、その国が俺たちに宣戦布告をしてきたときだけですよ」
俺はニコニコしながらしれっとえげつないことを言った。俺の言葉に、あのウォルフさんがビクッと震えた。小鹿のような震え方だ。
「こえぇ……しかもマジで成し遂げられるから冗談に聞こえねぇよ……」
「まあ、国を滅ぼしたらその後が面倒くさそうですから、流石にやりませんよ。せいぜい城を消すだけですよ」
「いや、それもやべーから! そんな馬鹿なことをする奴が居たらラルティ経由で国に直訴するからな! だからやめてくれよ」
ウォルフさんは必死の形相でそう言った。
「わ、分かりました。そんな怯えないでくださいよ……」
余りにも必死なウォルフさんに、俺は少し引いていた。
「怯えさせるようなことをいったお前のせいだよ……」
ウォルフさんは頭を掻きながらため息をついた。
「まあ、俺からの話は以上です。あ、シャオニンを俺が討伐したことは秘密にしといてください。何か面倒くさいことになりそうなので」
「ああ、そうしよう。お前にはステータスを知られないようにする必要があるからな。あ、お前に最上級の〈ステータス隠蔽〉の魔道具を渡しといたほうがいいな。ちょっと待っててくれ」
ウォルフさんはそう言うと、ソファから立ち上がった。そして、奥にある机の引き出しから小さな宝石が付いた指輪を取り出した。
「これはLV.8の〈ステータス隠蔽〉の効果を持った魔道具だ。これに、お前のレベルが合わされば、誰もお前のステータスを〈鑑定〉することは出来ないだろう」
ウォルフさんはそう言うと、俺に魔道具を渡した。
「いいんですか? これ結構高いですよね?」
ティリアンの魔道具店で見た値段を思い出した俺は、本当に貰っていいか確認した。
「今回の報酬ってことにしとけ。それに、お前が厄介ごとに巻き込まれて、国を滅ぼされたらたまったもんじゃねぇよ」
「まあ……はい。ありがとうございます」
俺はその魔道具を人差し指にはめた。
「では、ありがとうございました」
俺はソファから立ち上がると、部屋を出た。
5
お気に入りに追加
1,666
あなたにおすすめの小説
転生したら神だった。どうすんの?
埼玉ポテチ
ファンタジー
転生した先は何と神様、しかも他の神にお前は神じゃ無いと天界から追放されてしまった。僕はこれからどうすれば良いの?
人間界に落とされた神が天界に戻るのかはたまた、地上でスローライフを送るのか?ちょっと変わった異世界ファンタジーです。
転生させて貰ったけど…これやりたかった事…だっけ?
N
ファンタジー
目が覚めたら…目の前には白い球が、、
生まれる世界が間違っていたって⁇
自分が好きだった漫画の中のような世界に転生出来るって⁈
嬉しいけど…これは一旦落ち着いてチートを勝ち取って最高に楽しい人生勝ち組にならねば!!
そう意気込んで転生したものの、気がついたら………
大切な人生の相棒との出会いや沢山の人との出会い!
そして転生した本当の理由はいつ分かるのか…!!
ーーーーーーーーーーーーーー
※誤字・脱字多いかもしれません💦
(教えて頂けたらめっちゃ助かります…)
※自分自身が句読点・改行多めが好きなのでそうしています、読みにくかったらすみません
異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが
倉田 フラト
ファンタジー
「異世界に転生か再び地球に転生、
どちらが良い?……ですか。」
「異世界転生で。」
即答。
転生の際に何か能力を上げると提案された彼。強大な力を手に入れ英雄になるのも可能、勇者や英雄、ハーレムなんだって可能だったが、彼は「平和に暮らしたい」と言った。何の力も欲しない彼に神様は『コール』と言った念話の様な能力を授け、彼の願いの通り平和に生活が出来る様に転生をしたのだが……そんな彼の願いとは裏腹に家庭の事情で知らぬ間に最強になり……そんなファンタジー大好きな少年が異世界で平和に暮らして――行けたらいいな。ブラコンの姉をもったり、神様に気に入られたりして今日も一日頑張って生きていく物語です。基本的に主人公は強いです、それよりも姉の方が強いです。難しい話は書けないので書きません。軽い気持ちで呼んでくれたら幸いです。
なろうにも数話遅れてますが投稿しております。
誤字脱字など多いと思うので指摘してくれれば即直します。
自分でも見直しますが、ご協力お願いします。
感想の返信はあまりできませんが、しっかりと目を通してます。
退屈な人生を歩んでいたおっさんが異世界に飛ばされるも無自覚チートで無双しながらネットショッピングしたり奴隷を買ったりする話
菊池 快晴
ファンタジー
無難に生きて、真面目に勉強して、最悪なブラック企業に就職した男、君内志賀(45歳)。
そんな人生を歩んできたおっさんだったが、異世界に転生してチートを授かる。
超成熟、四大魔法、召喚術、剣術、魔力、どれをとっても異世界最高峰。
極めつけは異世界にいながら元の世界の『ネットショッピング』まで。
生真面目で不器用、そんなおっさんが、奴隷幼女を即購入!?
これは、無自覚チートで無双する真面目なおっさんが、元の世界のネットショッピングを楽しみつつ、奴隷少女と異世界をマイペースに旅するほんわか物語です。
魔法の探求者、異世界で無双する ~美少女奴隷と共にダンジョン探索。屋敷をもらってレアアイテムをゲットして、ついでに爵位も授かっちゃうぜ~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
ファンタジー
主人公【シンヤ】は日本人だ。
異世界に転移し、魔物に襲われている行商人の一行を助けた。
行商人はお礼として、奴隷を一人譲ってくれると言う。
シンヤが美少女奴隷に目移りしているとき、誰かが彼の腕を引っ張った。
それは助けた者の一人、猫獣人の奴隷【ミレア】だった。
「ん? どうしたんだ?」
「……」
シンヤの問いかけに対して、彼女は熱っぽい視線を向けるだけだ。
「えっと……。君が俺の仲間になりたいのか?」
シンヤはそう尋ねた。
すると、コクッと力強くうなずく。
「そうなのか……。でも、どうして俺なんだ?」
「赤猫族の女……。命の恩人には、絶対服従スル……」
「へ?」
シンヤは思わず聞き返す。
だが、彼が思考を整理している間に、ミレアが距離を詰めてきて……。
彼女の口唇が、シンヤの頬に触れた。
「え!?」
突然のことに驚くシンヤ。
その隙をついて、今度は彼の首筋に舌を這わせる。
「ちょっ……! 何してんだよ!!」
慌てて飛び退くシンヤ。
「強い雄の子種がほしイ……。シンヤ、あたしと子どもをつくろウ?」
「いやいやいやいや!」
「ダメ……?」
「いや、そういう問題じゃなくてさ……。命の恩人というだけで、そこまでしなくてもいいぞ?」
「ソレだけじゃない。匂いも気に入った……」
「はぁ……」
「それに、シンヤはすごく強い魔力を持ってイル……。あたしも魔力持ちだからワカル……」
「まあ、確かにそうだけどな」
「きっと役に立つ……。あたしを使ってほしイ……」
そう言うと、ミレアは再び顔を近づけてくる。
「おい……。ちょっと待てって……」
「シンヤ、スキ……。早く赤ちゃんつくろウ?」
「いやいやいやいや!!」
迫ってくる猫娘を押しとどめようとするシンヤ。
だが、ミレアの力は強く、どんどん押し込まれていくのだった。
異世界無知な私が転生~目指すはスローライフ~
丹葉 菟ニ
ファンタジー
倉山美穂 39歳10ヶ月
働けるうちにあったか猫をタップリ着込んで、働いて稼いで老後は ゆっくりスローライフだと夢見るおばさん。
いつもと変わらない日常、隣のブリっ子後輩を適当にあしらいながらも仕事しろと注意してたら突然地震!
悲鳴と逃げ惑う人達の中で咄嗟に 机の下で丸くなる。
対処としては間違って無かった筈なのにぜか飛ばされる感覚に襲われたら静かになってた。
・・・顔は綺麗だけど。なんかやだ、面倒臭い奴 出てきた。
もう少しマシな奴いませんかね?
あっ、出てきた。
男前ですね・・・落ち着いてください。
あっ、やっぱり神様なのね。
転生に当たって便利能力くれるならそれでお願いします。
ノベラを知らないおばさんが 異世界に行くお話です。
不定期更新
誤字脱字
理解不能
読みにくい 等あるかと思いますが、お付き合いして下さる方大歓迎です。
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
辺境の契約魔法師~スキルと知識で異世界改革~
有雲相三
ファンタジー
前世の知識を保持したまま転生した主人公。彼はアルフォンス=テイルフィラーと名付けられ、辺境伯の孫として生まれる。彼の父フィリップは辺境伯家の長男ではあるものの、魔法の才に恵まれず、弟ガリウスに家督を奪われようとしていた。そんな時、アルフォンスに多彩なスキルが宿っていることが発覚し、事態が大きく揺れ動く。己の利権保守の為にガリウスを推す貴族達。逆境の中、果たして主人公は父を当主に押し上げることは出来るのか。
主人公、アルフォンス=テイルフィラー。この世界で唯一の契約魔法師として、後に世界に名を馳せる一人の男の物語である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる