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第三章 エルフの里

第十八話 剣術修行(仮)

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 次の日の朝、俺は世界樹の下で世界樹聖剣を振っていた。

「はあっ!……違うな。力を入れる向きが」

 俺はあの時目に焼き付けたシャオニンの剣技を再現しようと頑張っていた。〈剣術〉のスキルは使わない。使ったら、あの世にいるシャオニンに馬鹿にされる。それに、あの動きは〈剣術〉のスキルでも再現できないがあった。

「ん~ちょっと相手が欲しいな。〈創造土人形クリエイトゴーレム〉!」

 ずっと素振りをしていても、あまり上達しないと思った俺は、魔力約二十万を全て使って、人間と同じ形、大きさのゴーレムを作ると、そのゴーレムに白輝の剣を持たせた。更に、〈速度付与スピードバフ〉で速度を上げた。

「よし。〈命令オーダー〉、俺の戦闘訓練を手伝え」

 俺がそう命令すると、ゴーレムは剣を構えた。

「では、はあっ!」

 俺はゴーレムに近づくと、躊躇なく世界樹聖剣を振り下ろした。だが、ゴーレムは半歩横に移動すると、白輝の剣で受け流した。

「ちっ まさか自分で作ったゴーレムに攻撃を受け流されるなんてな……」
 俺は攻撃を受け流されたことに舌打ちしつつ、内心で落ち込んだ。

「う~ん……そう言えばシャオニンが最後に言ってたな」

 確か、”人の動きをよく見てね”と言っていた気がする。
 よくよく考えてみれば、俺はずっと自分が狙う場所にしか視線を向けていなかった。

「あ~てかそれって相手に避けてくれと言っているようなものだよな~」

 相手をよく見ている人なら、俺の視線を見るだけで、どこを狙っているのか直ぐに分かる。それなら、対処も簡単にされてしまうだろう。

「よし。これからは相手の視線、体の動きをしっかり見よう」

 今回は相手がゴーレムなので、視線を見ることは出来ないが、それはそれでいい特訓になるのではないだろうか。

「では、はあっ!」

 俺は再び世界樹聖剣を構えると、振り下ろした。
 ゴーレムはそれを見て、半歩横に移動した。そして、再び白輝の剣で受け流そうとするが、二度も同じ手に引っかかるつもりはない。

「はあっ!」

 俺はゴーレムの動きに合わせて、世界樹聖剣を振り下ろす方向を少しずらした。その為、俺が持つ世界樹聖剣と、白輝の剣は衝突した。

 キン!

 そんな音が響き渡った。

「このゴーレム、思ったよりも力があるな……」

 白輝の剣を壊さないように手加減してるとはいえ、今の俺でもかなり手ごたえを感じるほどに強い力を持っていた。

「力づくで押し返すのは何か違うな……」

 力づくで押し返したら剣術とは言えないと思った俺は、ゴーレムが世界樹聖剣にかける力を利用することにした。

「よっと」

 俺は世界樹聖剣の剣先を手前側にすることで、受け流した。

「では、はあっ!」

 俺はそのまま容赦なくゴーレムの背中を切って、完全に破壊した。

「ん~まだまだだが、少なくとも、昨日シャオニンと戦った時よりは成長した気がするな」

 俺は白輝の剣と、世界樹聖剣を〈アイテムボックス〉にしまいながら、そう呟いた。

「さてと……これから忙しくなりそうだなぁ」

 俺は世界樹を眺めながらそう呟いた。
 俺はレティウス様によって、勇者パーティーに推薦されている。そして、俺の強さがあれば、確実に勇者パーティーになれるだろう。そしたら、勇者に戦闘経験を積ませる為にダンジョンに行ったり、魔王の手下を駆除したり、魔王の討伐を手伝ったりしないといけない。

「ん~そう言えばレティウス様からの連絡は冒険者ギルド経由で俺に来るって言ってたな」

 レティウス様は出来るだけ顔を出すよう言っていた。まあ、そう言われたのは昨日なので、まだ行く必要はないだろう。

「さてと……それまではエルフの里でのんびり過ごすか……あ、だけどその前にウォルフさんにシャオニンを見せてくるか」

 あいつはあの強さからして、相当なお尋ね者に違いない。なので、懸賞金とかがかけられていたら、その金額はかなりのものになるだろう。
 俺はそんなことを期待しながら、グランに行くことをクリスにいう為に屋敷にもどった。
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