上 下
83 / 161
第二章 ダンジョン都市ティリアン

第十六話 かたきは取ったぞ…(?)

しおりを挟む
「……やっと六十階層のフロアボスか……」

 LV上げ重視で各階層を攻略した為、五十三階層に下りる階段と、五十八階層に下りる階段で、それぞれ一晩を過ごしてから六十階層に来た。
 その為、LVはかなり上がっている。
 ー--------------
 名前 ユート・アラキ 不老人族 LV.86
 体力 21800/21800
 魔力 25200/25200
 攻撃 17100
 防護 31800
 俊敏性 23100
 スキル
 ・鑑定LV.MAX
 ・言語翻訳LV.MAX
 ・身体強化LV.9
 ・剣術LV.9
 ・アイテムボックスLV.MAX
 魔法
 ・火属性
 ・水属性
 ・風属性
 ・土属性
 ・光属性
 ー--------------
「ただここまでくるとこの階層の魔物でも百体以上倒さないとLVが上がらなくなってきたんだよなあ……」

 昔はストーム・キャット一体でLVが8も上がったのに、今では百体近く倒してようやくLVが1上がるのだ。

「はぁ~ま、新しい魔法を覚えてからは魔物を倒す速度が一気に上がったんだよな」

 LV.80で新たに覚えたのは〈獄炎地獄インフェルノ〉、〈暴風竜巻テンペスト〉、〈石化煙柱ストーンスモッグ〉だ。
 この三つははっきり言ってとんでもない。
 〈石化煙柱ストーンスモッグ〉は当たればどんな魔物も石にしてしまう火山の噴煙のような煙を作り出せるのだ。
 これは魔力を込めれば込めるほど煙の量も増えていく。ただ、この煙は風属性の魔法で簡単に吹き飛ばせるし、吹き飛んだ煙が俺の方に来たらやばいので、意外と使う機会が限られる。
 〈獄炎地獄インフェルノ〉はダンジョンの床や壁すらも少しだけ溶かすほどの圧倒的な熱量を持った直径十メートルほどの炎の球を飛ばす魔法だ。
 〈暴風竜巻テンペスト〉は天井から床にかけて竜巻を作る魔法だ。更に、これは竜巻を好きなように動かすことも出来る。
 ただ、使うだけでも三割ほどの魔力を使う為、そこから更に操作に必要な魔力を使うとなると、魔力量的に大体十分ほどが精一杯だろう。
 まあ、そもそも〈暴風竜巻テンペスト〉自体が数分で消えるので関係ないが……

 あと、これらの魔法によって溶けたり削れたりした床や壁は粘土のように柔らかくなると、自然と形を変え、ものの数秒で元通りになると、再び固くなるという感じだ。

「じゃ、行くとするか」

 俺の予想だが、この扉の先にはSランクの魔物がいるだろう。

「Sランクの魔物ってどんな魔物何だろうなぁ……」

 俺が知っているSランクの魔物だと、シンさんの足を破壊したリッチ・ロードがいる。
 この部屋にいるのがそれよりも強いのかは分からないが、大幅なLVアップが期待できると思っている。
 俺はそのことを期待しながら扉を開け、中に入った。

「ん~と……あいつかな?」

 部屋の中央にいたのは前に戦ったリッチだ。違うところと言えば頭に金色の王冠を乗せている所や、骨に光沢があるところだろう。
 何という魔物かは既に予想がついているが、一応〈鑑定〉をしてみると、
 ー--------------
 名前 リッチ・ロード LV.78
 体力 7000/7000
 魔力 21900/21900
 攻撃 3800
 防護 8100
 俊敏性 7800
 弱点
 ・光属性
 スキル
 ・超速再生LV.9
 魔法
 ・火属性
 ・土属性
 ・水属性
 リッチの上位種であり、あらゆる面でリッチを上回る。
 ー--------------
 と表示された。

「やはりリッチ・ロードか……」

 シンさんの足を破壊するほどの強さを持っている。油断は出来ない。

「ガゴギガ……ガギャガ……」

 リッチがうめき声……に見える詠唱をした。
 そして、それと共に〈炎槍フレアランス〉×四十が放たれた。

「ま、その程度なら……〈暴風竜巻テンペスト〉!」

 俺はこっちに飛んでくる〈炎槍フレアランス〉をすべて破壊し、そのままリッチ・ロードへ〈暴風竜巻テンペスト〉を移動させた。

「!?ガガ!」

 リッチ・ロードはそれを間一髪で右に跳んで避けると、無詠唱で俺に〈火矢ファイアアロー〉を数十個撃ってきた。

「それじゃ威力が足りないな。〈氷槍アイスランス×四十!」

 俺は〈氷槍アイスランス〉で飛んでくる〈火矢ファイアアロー〉をすべて破壊した。
 そして、破壊してもなお、速度が下がらない〈氷槍アイスランス〉は、そのままリッチ・ロードに襲い掛かった。

「ガガ……グガ……」

 リッチは詠唱(?)をすると、〈氷壁アイスウォール〉で防いだ。
 リッチ・ロードの〈氷壁アイスウォール〉は思いのほか固く、ほとんどが防がれてしまった。
 だが、流石に全てを防ぎきることは出来ず、残り数個の所で破壊してしまった。
 そして、その残った〈氷槍アイスランス〉が今度こそリッチ・ロードに当たった。

「ガ…ガ」

 リッチ・ロードは肩や頭が破壊され、普通の魔物ならすでに死んでいてもおかしくはないのだが、こいつは〈超速再生〉という動画の巻き戻しを疑うようなスピードで体を再生させた。
 だが、再生している間は無防備なので、これで仕留めることが出来る

「では、消えろ」

 俺はそう言うと素早くリッチ・ロードに近づいた。
 そして、白輝の剣を高速で振り回すことでリッチ・ロードをバラバラ……というよりは細切れにした。
 だが、それでも再生しようとしていたので、素早く魔石を没収し、〈アイテムボックス〉に入れた。

「よし、これでシンさんの仇は取ったな」

 シンさんの足を破壊したリッチ・ロードは既に倒されているのだが、気分的な問題で言ってみた。

「じゃ、進むか」
 俺はリッチ・ロードを倒したことで現れた扉を開くと、部屋の外に出た。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

50代後半で北海道に移住したぜ日記

江戸川ばた散歩
エッセイ・ノンフィクション
まあ結局移住したので、その「生活」の日記です。

→誰かに話したくなる面白い雑学

ノアキ光
エッセイ・ノンフィクション
(▶アプリ無しでも読めます。 目次の下から読めます) 見ていただきありがとうございます。 こちらは、雑学の本の内容を、自身で読みやすくまとめ、そこにネットで調べた情報を盛り込んだ内容となります。 驚きの雑学と、話のタネになる雑学の2種類です。 よろしくおねがいします。

呪われた悪役令嬢は隣国の王太子に溺愛される

伽羅
恋愛
交通事故に遭って死んだはずなのに、気が付けば猫になっていた。 前世の記憶と共に、昨夜の夜会でセドリック王太子に婚約解消を告げられた事を思い出す。 そしてセドリック王太子の傍らには妹のキャロリンの姿が…。 猫になった私は家を追い出され、彷徨っている所を偶然通りかかった人物に拾われて…。 各話のタイトルで少し遊んじゃってます。 笑って流していただけると幸せます。

外れギフト魔石抜き取りの奇跡!〜スライムからの黄金ルート!婚約破棄されましたのでもうお貴族様は嫌です〜

KeyBow
ファンタジー
 この世界では、数千年前に突如現れた魔物が人々の生活に脅威をもたらしている。中世を舞台にした典型的なファンタジー世界で、冒険者たちは剣と魔法を駆使してこれらの魔物と戦い、生計を立てている。  人々は15歳の誕生日に神々から加護を授かり、特別なギフトを受け取る。しかし、主人公ロイは【魔石操作】という、死んだ魔物から魔石を抜き取るという外れギフトを授かる。このギフトのために、彼は婚約者に見放され、父親に家を追放される。  運命に翻弄されながらも、ロイは冒険者ギルドの解体所部門で働き始める。そこで彼は、生きている魔物から魔石を抜き取る能力を発見し、これまでの外れギフトが実は隠された力を秘めていたことを知る。  ロイはこの新たな力を使い、自分の運命を切り開くことができるのか?外れギフトを当りギフトに変え、チートスキルを手に入れた彼の物語が始まる。

【完】大きな俺は小さな彼に今宵もアブノーマルに抱かれる

唯月漣
BL
「は? なんで俺、縛られてんの!?」  ゲイである事をカミングアウトの末、ようやく両想いになったと思っていた幼馴染みユウキの、突然の結婚の知らせ。  翔李は深く傷付き、深夜の繁華街でやけ酒の挙げ句、道路端で酔い潰れてしまう。  目が覚めると、翔李は何者かに見知らぬ家のバスルームで拘束されていた。翔李に向かってにっこり微笑むその小柄な彼……由岐は、天使のような可愛い外見をしていた。 「僕とセフレになってくれませんか。じゃないと僕、今すぐ翔李さんを犯してしまいそうです」    初めての恋人兼親友だった男から受けた裏切りと悲しみ。それを誤魔化すため由岐に会ううち、やがて翔李は由岐とのアブノーマルプレイの深みにハマっていく。 「お尻だけじゃないですよ。僕は可愛い翔李さんの、穴という穴全てを犯したい」    ただのセフレであるはずの由岐に予想外に大切にされ、いつしか翔李の心と体はとろけていく。  そんなおり、翔李を裏切って女性と結婚したはずの親友ユウキから、会いたいと連絡があって……!? ◇◆◇◆◇◆ ☆可愛い小柄な少年✕がたいは良いけどお人好しな青年。 ※由岐(攻め)視点という表記が無い話は、全て翔李(受け)視点です。 ★*印=エロあり。 石鹸ぬるぬるプレイ、剃毛、おもらし(小)、攻めのフェラ、拘束(手錠、口枷、首輪、目隠し)、異物挿入(食べ物)、玩具(ローター、テンガ、アナルビーズ)、イキ焦らし、ローションガーゼ、尿道攻め(ブジー)、前立腺開発(エネマグラ)、潮吹き、処女、無理矢理、喉奥、乳首責め、陵辱、少々の痛みを伴うプレイ、中出し、中イキ、自慰強制及び視姦、連続イカセ、乳首攻め(乳首イキ、吸引、ローター)他。 ※アブノーマルプレイ中心です。地雷の多い方、しつこいエッチが苦手な方、変わったプレイがお嫌な方はご注意ください。 【本編完結済】今後は時々、番外編を投下します。 ※ムーンライトノベルズにも掲載。 表紙イラスト●an様 ロゴデザイン●南田此仁様

悪役令嬢に転生しましたが、行いを変えるつもりはありません

れぐまき
恋愛
公爵令嬢セシリアは皇太子との婚約発表舞踏会で、とある男爵令嬢を見かけたことをきっかけに、自分が『宝石の絆』という乙女ゲームのライバルキャラであることを知る。 「…私、間違ってませんわね」 曲がったことが大嫌いなオーバースペック公爵令嬢が自分の信念を貫き通す話 …だったはずが最近はどこか天然の主人公と勘違い王子のすれ違い(勘違い)恋愛話になってきている… 5/13 ちょっとお話が長くなってきたので一旦全話非公開にして纏めたり加筆したりと大幅に修正していきます 5/22 修正完了しました。明日から通常更新に戻ります 9/21 完結しました また気が向いたら番外編として二人のその後をアップしていきたいと思います

間違い転生!!〜神様の加護をたくさん貰っても それでものんびり自由に生きたい〜

舞桜
ファンタジー
 初めまして!私の名前は 沙樹崎 咲子 35歳 自営業 独身です‼︎よろしくお願いします‼︎  って、何故こんなにハイテンションかと言うとただ今絶賛大パニック中だからです!  何故こうなった…  突然 神様の手違いにより死亡扱いになってしまったオタクアラサー女子、 手違いのお詫びにと色々な加護とチートスキルを貰って異世界に転生することに、 だが転生した先でまたもや神様の手違いが‼︎  転生したオタクアラサー女子は意外と物知りで有能?  そして死亡する原因には不可解な点が…  様々な思惑と神様達のやらかしで異世界ライフを楽しく過ごす主人公、 目指すは“のんびり自由な冒険者ライフ‼︎“  そんな主人公は無自覚に色々やらかすお茶目さん♪ *神様達は間違いをちょいちょいやらかします。これから咲子はどうなるのかのんびりできるといいね!(希望的観測っw) *投稿周期は基本的には不定期です、3日に1度を目安にやりたいと思いますので生暖かく見守って下さい *この作品は“小説家になろう“にも掲載しています

ソーダの魔法〜ヘタレな溺愛初彼氏は炭酸飲んだら人格変わってドSになっちゃうやつでした〜

緒形 海
BL
真野深月(まの・みつき)20歳、最近自分がゲイであることを自覚し始めた大学生。 ある日のバイト帰り、深月は居酒屋ホールスタッフ仲間・篠原蒼太(しのはら・そうた)から突然の愛の告白を受けてしまう。 デカい図体に似合わず気弱で優しすぎるヘタレ気味な蒼太。はっきり言ってあまり好みのタイプではなく……考えた末、深月はお試しとして1週間の期間限定で交際okの返事をすることに。 ただ、実は…蒼太にはある秘密があった。 彼は炭酸の飲み物がめちゃくちゃ苦手で、一口でも飲んでしまうと人格がチェンジしてしまうという謎体質の持ち主だったのである…。 受け⚪︎真野 深月 まの みつき MM 攻め⚫︎篠原 蒼太 しのはら そうた SS 人格豹変もの&ソフトSMチックな話が書きたくて生まれた作品です。 R18指定。過激描写のシーンがあるエピソードには▽マークが入ります。背後にご注意くださいませ。 いろんな炭酸が出てくる予定…です。 ヘタレでドSでヤンデレ気味な溺愛攻めに愛されるといういろいろてんこもりのよくばりセット☺︎ハピエン保証♡

処理中です...