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第二章

第三話 ダンジョン管理所

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 ムートンさんの所へ行き、新しい装備を貰った俺は、ダンジョン攻略をする為に、シュレインの北門近くに来ていた。

「……お、見えて来た見えて来た」

 20分程歩いたところで、目的地のダンジョン管理所に着いた。
 外装は、よくある商会の本店みたいな感じだ。

「よし。入るか」

 ここには2か所の入り口があり、ダンジョン探索をしに来た人が入るのは西側の扉だ。東側の扉は、ダンジョン内で取られた物の取引に来た人が入る場所――言わば、商人及び貴族が入る場所だ。あっちの入り口には人が居るので、うっかり東側に行っても、丁寧に教えてくれるけどね。
 そうして、俺は扉を開けて中に入る。

「えっと……あっちか」

 入ると、そこには1つしかない受付と、酒場があった。ダンジョン探索を終えて帰って来た冒険者で賑わっている。
 そんな彼らを一瞥した俺は、奥にある受付――ではなく、右奥にある階段の方へと向かう。
 階段の横には1人の男性職員がおり、俺がその階段の前まで来ると口を開いた。

「悪いけど、ここから先はDランク冒険者以上じゃないと入れないよ」

 やれやれといった様子で、男性職員は肩を竦める。
 な、何かイラつくな……
 めっちゃ舐められている。
 だが、それは俺の外見故、仕方のないことなのだ。

「Dランク冒険者ですよ。信じないなら、ジニアスさんに確認を取って貰っても構いません」

 若干棘のある言い方になりつつも、俺はポケットから冒険者カードを取り出すと、男性職員に見せつける。

「え、嘘!?」

 男性職員は、目をあらんばかりに見開いて驚くと、俺の冒険者カードをじっと確認する。
 やがて、偽物でないことが分かったのか、バツが悪そうな感じで口を開く。

「わ、悪かったな。そのなりでDランク冒険者だとは思わなかった。通っていいぞ」

「ああ、通らせてもらうよ」

 冒険者カードを返してもらった俺は、それをリュックサックの中にしまうと、地下へと続く螺旋階段を降り始めた。

「やーもうじきダンジョンに入れる」

 念願だったダンジョンに入れることに、俺は喜びの笑みを浮かべた。
 そう。ダンジョンの入り口は、この階段を降り、更にそこから少し歩いた場所にある。
 そうして若干浮かれながら歩いていると、階段の両脇にある窪みの中に、様々な物が入っているのが目に映る。

「丸岩に矢、後は設置型の罠か」

 そこにあったのは、様々な武器。
 何故そんなものがここにあるのか。それは、大量発生などの異常事態が発生して、ダンジョンから魔物が溢れ出した時に、ここで防衛する為だ。
 都市内で魔物が暴れたら、大惨事どころの話じゃ済まんからな。
 そんなことを思いながら、長い螺旋階段を降り続け――ようやく下に辿り着いた。

「おー賑やかだなぁ」

 魔道具によって明るさが確保されたその空間には、多くの冒険者が居た。
 ダンジョンから帰って来た人、これからダンジョンへ行く人などで、溢れている。
 ちょっと血生臭いもするが……まあ、怪我人も多いからね。仕方ない。
 あ、一応ここは魔法で換気されているから、息苦しいとかは無いっぽい。

「じゃ、早速行きますか~」

 準備は既に終えてある。早速行ってみるとしよう。
 俺は冒険者たちの間をすり抜け、横にある受付を素通りすると、奥にあった、更に下へと続く階段の前に立つ。
 ここを降れば、いよいよダンジョンの入り口に辿り着く。
 よし。行こう!……と心の中で気合を入れると、1歩前へと足を動かし――

「ん? おい、小僧!」

 他の冒険者に止められてしまった。
 気配を消して、そろ~っと行ってたのだが、結局見つかっちゃったか……
 面倒なことにならないといいなぁと思いながら振り返ると、そこには背中に大きな斧を背負った、厳つい雰囲気のおじさんが居た。後ろには、こちらを見つめる仲間らしき人たちの姿が目に入る。

「あ~一応言っておくと、俺Dランクですよ?」

「ん? 別にそれは疑っちゃいねぇ。今の動きを見りゃ何となく分かる。だがそれでも、流石に1人で行くのは危ないぞ」

 俺がDランク冒険者であることは当然とばかりに信じてくれたが、代わりに至極全うな忠告をされた。
 確かに、ダンジョン探索って基本1人じゃやらない。最低でも前衛後衛サポーターの3人は必要だ。
 てか、ぶっちゃけ1人で行くのはAランク以上の実力者か、ただのバカの2択なんだよね。

「第一階層を少し見てくるだけだ。仲間からどんな雰囲気か見て来いって言われただけなので」

「それでも危ねぇぞ。帰った方が良い」

 ん~心配してくれるのは嬉しいんだけど、どうしてもお節介だと思ってしまう。
 でも、実際俺の実力だったら、第十階層ぐらいまでならスライムを大して使わずとも行けちゃうと思うんだよね。それ以降になると、前みたいにスライムを大量召喚しないといけなくなる可能性が少なからず出てくるけど……
 すると、そんな俺をじっと見つめていた男性が、深くため息を吐くと口を開いた。

「そんなに行きたいなら、俺たちと一緒に来い。Dランクなら、足手纏いにはならんだろう」

「……え?」

 予想外の誘いに、俺は思わず呆けた声を出してしまった。
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