31 / 140
第一章
第三十一話 少し経ち
しおりを挟む
冒険者になってから、2週間経った。
だいぶ冒険者生活にも慣れてきたし、収入も安定し始めていた。
そして、ここ最近は貯金も出来るようになっているっていうね。
でも、まだ安心できない。冒険者にとって、骨折程度の怪我は割と日常茶飯事。
そんな骨折等を確実に直すためには、そこそこ高価な回復薬を買うか、治癒院で金を払って頼むしかないんだよねー。
しかもそれ、結構高い。治癒院でも銀貨1枚は余裕で取られるし、回復薬に至ってはその倍の銀貨2枚は取られるのだ。
ん? 俺はどうなのかって?
はっはっは。俺が怪我なんてする訳が……ある。
うん。小さな怪我は毎日あるが、その都度回復で治しているので、問題はない。
だけど……1回だけ腕を骨折しちゃったんだよね。で、即空間転移で街に戻って、治癒院へ行き、治してもらった。
え? 骨折した理由?
ふっ 聞いて驚け。
なんと! 落っこちたんだ!
……まあ、細かい話は俺の名誉を守る為にも端折らせてもらうが、木の上からダイナミック斬撃をオークにお見舞いしたら、衝撃を受け流すのミスって……ボキッてやった。
それだけだ。
「……よし。今日こそは骨折しないように頑張るぞ!」
森の中で、昨日の失態を思い浮かべてしまった俺は、ぐっと腕に力を入れると、そう意気込む。
「きゅきゅきゅ!」
ネムから声援を貰った。
うん。頑張るよ。絶対に、二度と……は無理だろうけど、なるべく骨折しないように気を付ける。
「さ、て……魔物はどこかな~」
俺はいつものように片目だけを他のスライムの視覚に移して、魔物を探す。
ここ最近、使用頻度がめちゃくちゃ多いせいで、だいぶ練度が上がった気がする。
やはり、屋敷での練習よりも、魔物がいつ出てくるか分からない。森の中でやった方が、気持ち的問題で、練度が上がりやすかったりするのかな?
「ふ~む……お、発見!」
いつものように、僅か数秒で魔物を発見した俺はそこへ向かって走り出す。
「……ふぅ……どうだ……?」
木陰に身を潜めた俺は、今日も片目だけ視線をそのスライムに移しながら、もう片方の目でチラリと前方を見やる。
すると、そこにはゴブリンの集団が。数は……7匹だ。
「よし……やるか」
そう呟くと同時に、俺は木陰から跳び出すと、ゴブリンたちを急襲する。
前は空間転移で奇襲してたんだけど、別にゴブリンぐらいだったら、あんなことしなくてもよくね?って思ったんだよね。
で、試してみたら案の定……余裕でした。
「はっ! はあっ!」
剣を振り、3体のゴブリンを死へ追いやる。
今思うと、この2週間で1番成長したのは剣術のような気がする。
「ギャギャ!」
「はあっ!」
だって、俺は屋敷にいた時はずっと1人で鍛錬していたんだから。
理由は勿論、相手がいないから。
あの屋敷で、俺の相手になってくれる奴なんて――いなかった。
「はあっ!」
いくら前世で剣道をやってたとは言え、相手がいなければあまり成長できない。
だから俺は、型の練習をしまくった。
屋敷にいるうちは、強さよりも、どう動けばいいのかを体に叩き込む。
「はあっ!」
「ギャアァ!」
そして、屋敷を出た後に実践をしまくって、それを完全なものにする。
それが、俺の考えだった。
「はああっ!」
「ギャアアアアァ!」
ま、どうやらその考えは正しかったようだ。
と言う訳で無事、ゴブリンを討伐することに成功した。
「ふぅ。来てくれ」
討伐し終えた俺は即座にスライムたちを召喚する。
そして、そこそこ強めの溶解液を持つ変異種スライムに右胸周辺を溶かさせ、魔石を露出させる。
その後、普通のスライムが魔石を引っ張り出し、綺麗にすると、革袋の中に入れる。
「うん。ありがとう」
俺はゴブリンの右耳を手際よく切り取りながら、献身的なスライムたちに礼を言う。
因みに、スライムたちへの報酬は、ゴブリンの死体だ。この子たち、割となんでも食べるからね。
「よっこらせっと」
俺は革袋をリュックサックに詰め、立ち上がると、剣に付着した血を振り払った。
「これでよしっと。それじゃ、次の場所に行くか」
そう呟くと、俺は再び片目の視覚を移し始めた。
だいぶ冒険者生活にも慣れてきたし、収入も安定し始めていた。
そして、ここ最近は貯金も出来るようになっているっていうね。
でも、まだ安心できない。冒険者にとって、骨折程度の怪我は割と日常茶飯事。
そんな骨折等を確実に直すためには、そこそこ高価な回復薬を買うか、治癒院で金を払って頼むしかないんだよねー。
しかもそれ、結構高い。治癒院でも銀貨1枚は余裕で取られるし、回復薬に至ってはその倍の銀貨2枚は取られるのだ。
ん? 俺はどうなのかって?
はっはっは。俺が怪我なんてする訳が……ある。
うん。小さな怪我は毎日あるが、その都度回復で治しているので、問題はない。
だけど……1回だけ腕を骨折しちゃったんだよね。で、即空間転移で街に戻って、治癒院へ行き、治してもらった。
え? 骨折した理由?
ふっ 聞いて驚け。
なんと! 落っこちたんだ!
……まあ、細かい話は俺の名誉を守る為にも端折らせてもらうが、木の上からダイナミック斬撃をオークにお見舞いしたら、衝撃を受け流すのミスって……ボキッてやった。
それだけだ。
「……よし。今日こそは骨折しないように頑張るぞ!」
森の中で、昨日の失態を思い浮かべてしまった俺は、ぐっと腕に力を入れると、そう意気込む。
「きゅきゅきゅ!」
ネムから声援を貰った。
うん。頑張るよ。絶対に、二度と……は無理だろうけど、なるべく骨折しないように気を付ける。
「さ、て……魔物はどこかな~」
俺はいつものように片目だけを他のスライムの視覚に移して、魔物を探す。
ここ最近、使用頻度がめちゃくちゃ多いせいで、だいぶ練度が上がった気がする。
やはり、屋敷での練習よりも、魔物がいつ出てくるか分からない。森の中でやった方が、気持ち的問題で、練度が上がりやすかったりするのかな?
「ふ~む……お、発見!」
いつものように、僅か数秒で魔物を発見した俺はそこへ向かって走り出す。
「……ふぅ……どうだ……?」
木陰に身を潜めた俺は、今日も片目だけ視線をそのスライムに移しながら、もう片方の目でチラリと前方を見やる。
すると、そこにはゴブリンの集団が。数は……7匹だ。
「よし……やるか」
そう呟くと同時に、俺は木陰から跳び出すと、ゴブリンたちを急襲する。
前は空間転移で奇襲してたんだけど、別にゴブリンぐらいだったら、あんなことしなくてもよくね?って思ったんだよね。
で、試してみたら案の定……余裕でした。
「はっ! はあっ!」
剣を振り、3体のゴブリンを死へ追いやる。
今思うと、この2週間で1番成長したのは剣術のような気がする。
「ギャギャ!」
「はあっ!」
だって、俺は屋敷にいた時はずっと1人で鍛錬していたんだから。
理由は勿論、相手がいないから。
あの屋敷で、俺の相手になってくれる奴なんて――いなかった。
「はあっ!」
いくら前世で剣道をやってたとは言え、相手がいなければあまり成長できない。
だから俺は、型の練習をしまくった。
屋敷にいるうちは、強さよりも、どう動けばいいのかを体に叩き込む。
「はあっ!」
「ギャアァ!」
そして、屋敷を出た後に実践をしまくって、それを完全なものにする。
それが、俺の考えだった。
「はああっ!」
「ギャアアアアァ!」
ま、どうやらその考えは正しかったようだ。
と言う訳で無事、ゴブリンを討伐することに成功した。
「ふぅ。来てくれ」
討伐し終えた俺は即座にスライムたちを召喚する。
そして、そこそこ強めの溶解液を持つ変異種スライムに右胸周辺を溶かさせ、魔石を露出させる。
その後、普通のスライムが魔石を引っ張り出し、綺麗にすると、革袋の中に入れる。
「うん。ありがとう」
俺はゴブリンの右耳を手際よく切り取りながら、献身的なスライムたちに礼を言う。
因みに、スライムたちへの報酬は、ゴブリンの死体だ。この子たち、割となんでも食べるからね。
「よっこらせっと」
俺は革袋をリュックサックに詰め、立ち上がると、剣に付着した血を振り払った。
「これでよしっと。それじゃ、次の場所に行くか」
そう呟くと、俺は再び片目の視覚を移し始めた。
609
お気に入りに追加
1,226
あなたにおすすめの小説
称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~
しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」
病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?!
女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。
そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!?
そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?!
しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。
異世界転生の王道を行く最強無双劇!!!
ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!!
小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!
チート薬学で成り上がり! 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました!
芽狐
ファンタジー
⭐️チート薬学3巻発売中⭐️
ブラック企業勤めの37歳の高橋 渉(わたる)は、過労で倒れ会社をクビになる。
嫌なことを忘れようと、異世界のアニメを見ていて、ふと「異世界に行きたい」と口に出したことが、始まりで女神によって死にかけている体に転生させられる!
転生先は、スキルないも魔法も使えないアレクを家族は他人のように扱い、使用人すらも見下した態度で接する伯爵家だった。
新しく生まれ変わったアレク(渉)は、この最悪な現状をどう打破して幸せになっていくのか??
更新予定:なるべく毎日19時にアップします! アップされなければ、多忙とお考え下さい!
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
異世界王女に転生したけど、貧乏生活から脱出できるのか
片上尚
ファンタジー
海の事故で命を落とした山田陽子は、女神ロミア様に頼まれて魔法がある世界のとある国、ファルメディアの第三王女アリスティアに転生!
悠々自適の贅沢王女生活やイケメン王子との結婚、もしくは現代知識で無双チートを夢見て目覚めてみると、待っていたのは3食草粥生活でした…
アリスティアは現代知識を使って自国を豊かにできるのか?
痩せっぽっちの王女様奮闘記。
捨てられ従魔とゆる暮らし
KUZUME
ファンタジー
旧題:捨てられ従魔の保護施設!
冒険者として、運送業者として、日々の生活に職業として溶け込む従魔術師。
けれど、世間では様々な理由で飼育しきれなくなった従魔を身勝手に放置していく問題に悩まされていた。
そんな時、従魔術師達の間である噂が流れる。
クリノリン王国、南の田舎地方──の、ルルビ村の東の外れ。
一風変わった造りの家には、とある変わった従魔術師が酔狂にも捨てられた従魔を引き取って暮らしているという。
─魔物を飼うなら最後まで責任持て!
─正しい知識と計画性!
─うちは、便利屋じゃなぁぁぁい!
今日もルルビ村の東の外れの家では、とある従魔術師の叫びと多種多様な魔物達の鳴き声がぎゃあぎゃあと元気良く響き渡る。
転生させて貰ったけど…これやりたかった事…だっけ?
N
ファンタジー
目が覚めたら…目の前には白い球が、、
生まれる世界が間違っていたって⁇
自分が好きだった漫画の中のような世界に転生出来るって⁈
嬉しいけど…これは一旦落ち着いてチートを勝ち取って最高に楽しい人生勝ち組にならねば!!
そう意気込んで転生したものの、気がついたら………
大切な人生の相棒との出会いや沢山の人との出会い!
そして転生した本当の理由はいつ分かるのか…!!
ーーーーーーーーーーーーーー
※誤字・脱字多いかもしれません💦
(教えて頂けたらめっちゃ助かります…)
※自分自身が句読点・改行多めが好きなのでそうしています、読みにくかったらすみません
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる