恋とは落ちるもの。

藍沢咲良

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エーデルワイス 9

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19時半。優輝はまだ図書館に来ていない。
仕事が立て込んでいるのだろうか?やっぱり私が持ち帰ろうかな…と考え出した辺りでエントランスに彼が現れた。

エントランスから真っ直ぐこちらに歩いてくる。
「すみません、栞を挟んだまま返却してしまったのですが…」
カウンターで対応しているのが私であるにも関わらず、何故か優輝は敬語だ。他の職員の目を気にしてくれているのだろうか。

「はい。こちらでよろしいですか?」
白い押し花をラミネートした栞を彼に見せる。
「はい。ありがとうございます」
手渡した瞬間、私にだけ聞こえる大きさの声で「じゃ、スタバで待ってる」と耳元で囁いた。

不意打ちを喰らって顔が赤くなってしまう。

「新城さん。今度の飲み会はいつにしようか?」
カウンターすぐ横の席で作業していた志賀さんがすかさず小さめの声で私に告げる。
「えっ?」
「今度の肴は新城さんの新たな幸せ…ですね」
西村さんも楽しそうなんですけど。今日はご主人が双子ちゃんをお迎えする日らしく、いつもより仕事を伸び伸びされている。
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