恋とは落ちるもの。

藍沢咲良

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「はい。じゃあ待ってるから」

本を鞄に入れるとエントランスに向かっていった。
相変わらず姿勢の良い人だ。
ぼんやりと後ろ姿を見つめていると、貸出希望の利用客がやって来た。通常通りの一連の仕事に戻る。



閉館10分前になると、館内の戸締まりを始める。
今日は利用客が少ないから早めに施錠が出来そうだ。

20時ちょうどにエントランスの施錠をする。
今日の施錠はスムーズだ。


「お疲れさまでした」
職員全員が図書館を出ると、各自駅の方向へと歩き出す。

「あれ?新城さん?」
いつもと違う方向に向かって歩く私に志賀さんが声を掛ける。


ずっと待ってると言われた手前、行かない訳にいかない私はスタバに向かう事にした。


「ちょっと、諸用がありまして」

志賀さんが意味ありげに口角を上げる。
「そっか、お疲れさまでした」

「はい。お疲れさまでした」

これ、次の勤務で尋問されるやつだな…。
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