恋とは落ちるもの。

藍沢咲良

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「はい」

「他に何か借りられますか?」
頑張れ私のポーカーフェイス!

「新城亜樹さんを…借りたいのですが」
利用客目の前にして固まるのは初めてだ。自分が目を見開いてしまったのがわかる。

「ひ、人の貸し出しは…しておりませんが…」

「…亜樹だろ?なあ、仕事何時に終わんの?」彼が身を屈めて私の耳元で囁く様に話す。

「閉館して施錠したら…終わりますが…」

「閉館何時?」

「20時です」

「ん、じゃあそこのスタバで待ってる」

「え」行くなんて言ってないけど。

「来るまでずっと待ってるから。で、その本借りたいんだけど」

そうだ、貸出予約の本だった。彼は本を借りるつもりで来たんだった。

「貸出カードをお願いします」
彼の提示したカードと本に貼られたバーコードをスキャンする。

「3週間以内の返却をお願いします」
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