恋とは落ちるもの。

藍沢咲良

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嫉妬 4

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新井くんについてはもう一つ困っている問題がある。

新井くんは私を「亜樹」と名前で呼ぶ。

同じ剣道部の仲間たちは男女問わず名前で呼び合っているので、自然なことではある。新井くんに対しても「義紀よしき」と部内では私も呼んでいる。


先日私と新井くんが練習メニューについて廊下で話していたときに偶然優輝が通りかかった。そのタイミングで新井くんが私を「亜樹」と名前で呼んでいて。優輝の顔が一瞬険しくなったのを私は見逃さなかった。


「もう新井くんの話はいいよ。楽しいこと考えよう?」
まだ絡められている指を優輝がそっとなぞったり、摘んだりするからくすぐったい。

「そうだな…。俺ん家でも行く?」
「いいよ。DVDでも観る?」

今日は久しぶりのデートで。優輝の家でゆっくり過ごすのもいいかもしれない。

「DVD、観れればいいけどな」
小さい声で呟く。

「ん?どゆこと?」
「何でもない。安田から借りたお笑いのDVD面白かったから、一緒に観よう」


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