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夏の雨 16
しおりを挟む慌てて服を身に付けようとする私を制止する様に私を腕に閉じ込める。
「まだ…いいだろ…?」
半分寝ぼけている優輝には時計が見えていない。
「良くないよ!もうすぐ19時なの。優輝のご両親帰ってくるだろうし、私も帰らないと」
「えっ?もう19時?」顔を上げて時計を見た優輝はやっと腕の力を緩めた。
「優輝も早く服着た方がいいよ」慌てているせいか、ブラのホックが上手く嵌まらない。
辛うじて服装を整えた私は今すぐ帰れる姿になった。
「待って。駅まで送る」いつの間にか優輝は服装を整え、少しついた寝癖も直し終わっていた。
「早いね」ふふっと笑うとまた腕の中に閉じ込められた。
「…帰らないと」
「帰したくないって言葉、ドラマだけだと思ってたけど。本当に言いたくなるもんなんだな」
ボソッと呟く低い声が、幸せ過ぎて麻痺している身体中に染み渡るような感覚がした。
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