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紅に染まる 8
しおりを挟む「その披露宴、俺も行ってるわ。式は沖縄でやって、披露宴だけこっちでやってたんだ」
「じゃあ澄麗と同じ会場にいたんだ」
「そうなるな」
世間は狭い。縁ってすごい。澄麗と朔さんにもこんな繋がりがあったなんて。
「悠さんのお話と時緒さんのことって、もしかして繋がってるの?」
口にしてから気がついた。もっとやんわりとオブラートに包んで聞くべきだったと思う。デリケートなことを尋ねるにはあまりに直球過ぎた。
朔さんは一瞬目を見開いて、すぐにいつもの表情に戻した。
「……どうして、そう思った?」
「朔さん、顔に出てるよ?」
私には秘密にしないといけない案件だったろうに。その朔さんの言葉はイコール肯定だよね。
あ、とバツの悪そうに彼は頭を掻いた。
「碧を、出来るだけ巻き込みたくないんだ」
私の目をじっと見つめて懇願するように朔さんは私に訴えた。お願いだから、もうこれ以上聞かないでくれと願っているのは、声を発しなくてもわかる。
「朔さん。もう私、このことは知らぬ存ぜぬでは済まないと思うの。澄麗の彼氏の九条先生は……時緒さんの弟で、私の同僚でもあるの」
知っていたのか知らなかったのか、朔さんは硬い表情を崩さない。
「そして……時緒さんと一緒に暮らしてる英は、私とも澄麗とも、梨愛とも仲が良いの。ねえ朔さん。このままではいられないの。何とか上手く解決して、みんなが幸せになれる道を探りたいの」
懇願する私を、彼は静かに見下ろしていた。
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