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tentations[トンタシオン 〜誘惑〜] 2

「ねぇ満紘」
ん？と顔を上げた彼は目を細めて私を見た。そんな優しい顔されたら追及しずらい。

でも負けない。

「こないだ、夜中に電話してたでしょ」
一瞬真顔になった。でもすぐにまた目を細めて優しい顔に戻った。

「こないだ……いつだろう？仕事の電話だったらしてたかもな」
思案している表情で、きつねうどんの最後のひと口を食べ終えた。
「梨愛」
この上目遣い。もしや……。
「まだ足りない。おかわり、作って？」
追及してる真っ最中ですけど？そんな、捨てられた子犬の目で私を見ないで欲しい。

「……うどんでいい？」
「勿論！」
まあ嬉しそうにくしゃっと笑うじゃん。この笑顔が、私には可愛くて。ああ、癒される……。じゃなくて！うどん作ったらもう一回、仕切り直さないと……。




「──で、満紘？」
「ん？もっかいする？」

二杯目のうどんを食べてる最中にも追及は失敗に終わり。食器を片付けたら……と思っていたら例によって満紘がバックハグをしながら攻めてきた。

「デザート、食べてない」って甘い低い声で耳元で囁かれて、抵抗出来る人がいたら教えてほしい。耳元で色気爆発させるの、反則でしょ。

気付いたらキッチンで立ったままなのに、あられも無い姿にされていた。その頃には脳の奥深くまで、とろっとろに溶かされていた。



私に追及は向いてないみたい──。