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しおりを挟む「わ、かんない。どっちだっていいでしょ」
「良くない」
「良くないって…。雄二くんには関係無い話じゃん」
「──関係なく無いって、言ったら…?」
え、関係なく無いって…?どゆこと?
「え、雄二くん……?」
「俺は、選択肢には入れてくんねぇの?」
「せ、選択肢って…」
えっ、えっ…選択肢って。選択肢、とは…?
面喰らっていると、雄二くんは真剣な顔で私の顔を覗き込んだ。
咄嗟に距離を取る。
「──まあ、考えといて」
雄二くんは少し傷付いたような顔をしていた、気がした。
「ただいまー……っと」
ただいま、と言ったところで返事は無い。自分で電気を付けて、自分で冷房を入れる。これが私の当たり前の日常。一人暮らしの女の毎日なんてこんなものだ。
自然に手が冷蔵庫のドアを開ける。さっきスーパーで手に入れたばかりの野菜達の一部を冷蔵庫に入れ、残りは流しに置く。
何も考えたくない。今は。
何も考えたくないときは、料理をするのが手っ取り早い。勝手に手が動いて、どんどん味付けのアイデアが浮かぶ。集中するにはもってこいだ。
ナスの揚げ焼き。キャベツの昆布和え。にんじんしりしり。慣れてしまえば簡単な作り置き。今週の分は作れていなかったからちょうど良い。
ラーメン屋から駅までの車内の会話は仕事絡みだった。戸惑うこと無く、いつも通りでいられた。
違う話題を振られたらどうしよう、と恐れていたのは雄二くんに気付かれてないだろうか…?
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